表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界勇者は常識知らず〜魔王を討伐した勇者が、地球で魔王とダンジョン配信始めました  作者: 冬狐あかつき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

230/257

230話 四十五階層まで



 紬の作ってくれたご飯をつまんで軽く小腹を満たすと、緑の絨毯の上で横になった。

 魔力回復能力が高い白の絨毯は紬の治療に使っているため、あまり回復能力は見込めないが、それでも使わないよりはマシである。


 【食っちゃ寝すると牛になるんだぞ】

 【この勇者どれだけ食ってんだよ。化け物か?】

 【有志の人の計算によると、大体八キロ食べたらしい】

 【今日はこれで休む予定なのかな?】

 【流石にハイスピードで疲れたんじゃね? こんなに食べてすぐには動けないでしょ】


 体感で五分程度横になったところで、物音に反応して起き上がる。

 噴水の水が循環している間はモンスター避けの効果がある。

 食事中にそう理沙から伝えられたのだが……。


「牛?」


 体格のいい牛が一匹立っていた。

 頭には水晶で出来た角がついており、俺の声に反応して小首を傾げる。


 【食っちゃ寝すると牛が来ちゃった】

 【宝石種じゃん】

 【このタイプの宝石種初めて見るかも】

 【出現条件が特殊だからね】


 魔法の絨毯から降りて相手の出方を待つと、牛に敵意はないようで噴水の元へ歩いていく。

 牛は俺に無防備な背中を見せながら、ごくごくと水を飲み始めた。


『今すぐそいつをどかして。その牛、害悪モンスターだから』


「害悪? こいつが?」


 無害に見えるが本当は強いのだろうか。

 理沙からの忠告に、牛の首根っこを掴んで引き離すと、溢れるほどあった噴水の水が消失してしまった。


【やっぱクソうぜえな安全地帯破壊】

【あれだけの時間でもダメなのか。結構シビアだね】

【どう対策するの?】

【満足するまで魔石放りこむか、その前に仕留めるか】

【動物愛護団体の者です。この害悪モンスターは動物ではないので力の限り攻撃してください】

【攻撃するな、じゃないんだ】


 水が無くなったことにより、スケルトンたちが一斉に走ってきている。

 水が失われたことで安全地帯の効果がなくなったのだろうということはなんとなくわかる……が、索敵範囲外にいたスケルトンまで反応しているのは何故だろうか?


「まあ休憩出来たしどうでもいいか」


 スケルトンを相手するより先に、牛のモンスターの首をへし折る。

 牛のモンスターは悲鳴を上げるが、魔石に還ることはなく、俺の手の中で暴れ始めた。

 手を離して牛を観察すると、不自然に曲がっていた牛の頭が、細かく痙攣しながら元の位置に戻る。


【おちっこちびった】

【怖すぎわろた】

【年齢制限入りました】

【こいつアンデット?】

【生命力と回復力が高いタイプ。生半可な攻撃は何しても無駄】

【他のモンスターの助けも呼ぶしな。大嫌いだよ牛ちゃん】


『一定量のダメージを蓄積させないと倒せないみたい。面倒だったら次の階層に行くのも手よ』


「任せとけ。それなら得意だ」


 理沙からの提案を受けて、俺は背後から遅いかかってきたスケルトンの体を掴み――興奮気味に鳴く牛に向かって、スケルトンを投げつけた。


 衝撃に耐えきれなかったスケルトンの体がバラバラに分解され、牛の体に無数の穴を開ける。

 負傷した牛は瞬く間に回復していくが、残弾には困っていない。


 自ら飛び込んでくる投擲物を活用しながら、攻撃を続けていった。


【なあ、知ってっか? こいつ魔石爆弾の連投も耐え抜いたんだぜ】

【魔石爆弾じやなくてスケルトンの連投にするべきだったな】

【人間技じゃねえ】

【いつから勇者が人間だと錯覚していた?】

【一定量のダメージ超えると逃げるんだけど、そんな余裕無さそうだね……】

【死んじゃった。ザマァ】

【めちゃくちゃ嫌われていて親近感が湧くでござるよ】


 程なくして牛は消滅し、地面にはスケルトンが残した大量の魔石と牛の角であった二本の水晶が落ちていた。


 全てを回収すると探索を再開する。

 運が良かったのか悪かったのか、今日の目的である四十五階層に到達するまでに五匹の宝石種と遭遇した。


 猿一匹、ネズミ二匹、蛇一匹に最後は言葉を話すカラスだった。


 カラスは戦闘能力は皆無である代わりにどんな声色に変えることができるらしい。

 俺としてはどうでもいい能力だなといった感想だが、複数人での探索が当たり前な地球では、戦闘中に味方の声色を真似られて混乱させてくるため、他の探索者からは結構嫌われているようだ。


 そして帰宅する前に四十五階のフロアボスを倒すことになったのだが……。

 四十五階層のフィールドはかなり大きく作られた円形闘技場だった。

 至る所に松明が取り付けられた台が設置されており、地面には種類問わず幾つもの武器が落ちている。


「何だこいつ?」


 てっきり武器を扱う人型のモンスターが出てくるのかと思ったが、出現したフロアボスは見たことがない特殊な風貌をしていた。

 一言でいえばヌメヌメとした触手が集まった球体だ。


 その全体は不安定で、触手は色とりどりの奇妙な模様を浮かべながら、うぞうぞと動いている。


 【出たなR18モンスター】

 【モンスター不人気投票10年連続1位きたー】

 【勇者様、お願いだから抵抗しないで】

 【攻撃を受ける訓練をするのも悪くないよ?】

 【腐女子がアップを始めました】

 


 


近況ノートの方にも書きましたが、少し前から新作を二作品執筆しております。


何故二作もあるのかというと、そのどちらもこの作品と同時期、又はそれよりも前に書こうとしていた作品です。


恐らく最終的に片方に絞って投稿するようになると思いますが、どちらにするかまだ決めかねているので、確定したらまた近況ノート等で発表させてもらいます。


ジャンルはどちらもハイファンタジー。

細かいことは近況ノートに書いていますので、そちらをご確認ください。

また、カクヨムの方の近況ノートでそれぞれ1話試し読み出来るようになっています。

興味のある方は見にきてください。

感想等いただけるとこちらも嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ