Episode3
ほんとにいつになったらこの生活慣れるのかなー。
それにしても一昨日のパーティーはいろんな事があったな〜。ワキールも見たし。シャビーブにも…。
「ナターシャ!もう、暴れないでよー。しっかりしてよねー。」
アイーラが頬を膨らませて少し怒りながら髪をとかしてくれる。
そう、しっかりしないと。なんたって今日はディアナ主催のお茶会があって王子全員来るらしいの。
そのために今日もフル装備、ドレスにアクセサリーにヘアアレンジ、全てが完璧!
お茶会はディアナのお茶会用の部屋でやるみたいだから馬車での移動なんだよね…。緊張がやばい。
でも最初に拍子抜けする出来事があったの。
馬車を降りるとすぐに、
「ナターシャ〜!大丈夫?元気にしてた?この前川の横で倒れていたらしいじゃない!大丈夫なの?」
状況をうまく理解できず目を白黒させてしまっている私を見てアイーラがフォローしてくれた。
「ディアナ様、ナターシャはこの前川の横で倒れてから記憶が曖昧なところがあります。申し訳ありません。」
「まぁ、そんな。ナターシャが1番辛いわよね、私のことは徐々に思い出して頂戴?まずは他の方々が来るまでお話しましょ?」
ディアナと話して分かったことがいくつもあった。最初は私のことをザーヒーの恋敵としてみて色々な嫌がらせをしていたけれど私がザーヒーのことを恋愛対象に見ていなかったので謝罪をして親友になったこと。
ディアナは冷酷だってアイーラから聞いていたけれど話してみると次から次に色々なことを話してくれる。
ディアナは心からナターシャのことを大切にしていることが分かった。
そうしている間にナターシャの友達や知り合いが来てついにシャーマが来た。
「ごきげんよう。ディアナさん、ナターシャさん。」
いかにも敵色ある目でこちらを見つめていて思わず目をそむけてしまった。
お茶菓子とお茶を食べたり飲んだりしていると6人の王子全員が到着したみたい。
ザーヒーはディアナの隣に座りシャビーブは当然のように私の隣に座り、続いてアーリフも隣に座る。
ターミルはすぐ女に囲まれて見えなくなってる。ワキールが手を振りながらゆっくりと私の方へ来る。
サーディクは2年前に結婚したらしい妻のリリーと話している。穏やかだなー。
ワキールは今日も体調がいいからと影武者をたてずに自分自身で来ているみたい。
アーリフは前に私が訪ねていた天体の話をしてくれてそれをつまらないのかシャビーブはお茶菓子を次から次に口の中に放り込んでいる。
ディアナもザーヒー達と楽しくおしゃべりしながらたまにこちらにも話しかけてくれる。
ここだけを見ればとっても楽しいお茶会なんだけど…。
シャーマがずっと鬼のような形相でこちらを睨みつけているの。それが怖くって。
それに気づいたワキールがシャーマとの間に入るように私の前に座って微笑んでくれる。
そこからしばらくは穏やかな時間が流れたんだけど…。
「ねぇ、ナターシャさん!私ナターシャさんの演奏聞きたいな〜。」
私の隣に来てほほえみながらそういう彼女の目は笑ってなくて恐ろしかった。
急な無茶振りで私への嫌がらせに決まっている。けれどこの場では何か演奏しないときっと空気が悪くなってしまう。
ディアナがシャーマを止めようとしたとき私は勇気を振り絞ってナターシャに言った。
「どのような演奏をいたしましょう。」
そのまま話が進み私は琴のような弦楽器を演奏することになった。
楽譜はディアナが出してくれてちゃんと読めるけれど演奏できるかがとても心配。
ディアナや王子達が心配そうにこちらを見ている。シャーマからの誘いのわけなんだから何か罠があるに違いない。
ただ何もハプニングが起こることなく私は演奏を終えることができ、安心したその時。
なにかに躓いてしまってこけそうになった。
この国でこけることは不吉とされていてこけると災が起こるって噂されているの。
もちろんこけたのはシャーマが足を引っ掛けたからなんだけど。
「大丈夫ですか?ナターシャさん。災いが起こらないといいですね。」
ばかにするように私の耳元でささやき人の中に紛れ込んでしまった。
みんな私に近づこうとしない、なぜなら災は移されるという言い伝えもあるからだ。
ほんとに、なんで私気をつけてなかったんだろう何かあると思っていたのに。
涙をこらえながら立ち上がろうとしても足が震えて立てなくてどうしようもなくなってしまった時に1つの太い声が沈黙を破った。
「確かに転んだら災いが起きるって噂はあるけれど、王家の書物を読んだらあれは元々王家の男児のみで女児には関係のない話らしいよ。だから大丈夫。」
「それに転んだからといって不幸なことが起こるなんて論理的に説明なんてできないからな。」
「安心しろよ、俺前派手にころんだことあるけど何も起きなかったし。」
ワキール、アーリフ、シャビーブがそんなことを言いながら私の元へ近寄ってくれる。
ディアナもその後を追って来てくれる。
色々あったけれどお茶会は楽しい気持ちで終わることができたんだけど。
最後までシャーマは私のことを睨みつけていたからきっとこの後も嫌がらせをされるんだろうなと思いながら歩いてたら急に顎を掴まれていわゆる顎クイをターミルにされたの。
「ほら〜。そんな顔で歩くなんてナターシャらしくないぞ〜。元気出せよ〜。」
「もぅ、なんでターミルはそんなにいつも明るいの?」
「女の子たちが癒やしてくれる♡」
ほんとにターミルは女子からの人気が1番王子の中で多いせいか昔から女遊びがたえないの。
その割に妻は1人しかいないから遊び人って言われてるんだよねー。
でもターミルと話すときは地元の友だちと話す感じで気分が明るくなるんだよね。
あー!明後日はザーヒーの誕生日だから王宮に招かれるじゃん!
よーし!うじうじしてないで売られた喧嘩は買っていこう!
私はシャーマとしっかり決着をつけることにしたの。
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