表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ラッキョウの梅酢漬け

作者: 天海波平

 クソ不味い!!


 これが私の第一声であった。

 思えば………

 スーパーなどに生の梅や梅酒の容器やらが並ぶころ。

 同じようにラッキョウとラッキョウの酢が並ぶようになる。

 私は基本、大手食品メーカーの大量生産された梅干しやラッキョウは買わない。

 それは単純に甘くて口に合わないからであるが、それではいわゆる田舎漬けと言ったものを手に入れようと思ったら、買う場所までの移動に時間が掛かるのと、量の割に値が張ると感じてしまう。

 それで毎年ではないが梅干しを自分で作ったりする。

 ある年、スーパーの梅干しコーナーでふと思ったことがある。


 ラッキョウを梅酢に漬けたら美味いんじゃないかと………

 あの爽やかに酸っぱい梅酢と、ラッキョウのシャキッとした歯応えが合わさったら美味いのではないかと………

 そう私は思った、いや感じたのだ。

 それで私は普段買うことのないラッキョウを衝動買いに近い形で購入した。

 そして台所で一生懸命にひとつひとつ薄皮を剥いていくのだ。

 嫁はこのような漬け物類は食べない、ゆえに自身で作る。

 ちまちまと薄皮を剥いでいく。

 そんなに大量に買った訳ではないが、買ったラッキョウはなかなか減らない。

 だんだん腰が痛くなり、“買わなきゃよかった”と思い始めたころ。

 “梅酢(去年漬けたやつ)が少ない”ことに気付いた。

 どうしようかと考えた時にパックで梅酢が売られていることを思い出し、さっそく購入する。

 そしてガラスビンにいそいそとラッキョウを入れ、市販の梅酢を入れたのだが、入れた後のその時気付いた。

 この梅酢……… ぜんぜん酸っぱくない………

 塩っぱいだけ、赤い色がついてるんだからそれなりに酸っぱいと思ったけどぜんぜん違った。

 ほとんど塩水。

 この時の絶望をあなたは理解できるだろうか。

 何てこったい! やられちまった!

 騙され、詐欺られたような感覚におちいってしまうが、もはやどうしようもない。

 そりゃあ、少しは思ったよ。

 梅干しを作る時の酢なんだろうと、ラッキョウの酢と違うよって。

 でもさ酢って言ったら酸っぱいのが酢じゃん。

 “漬け水”とか“梅干し用塩水”って表記にして欲しい。

 しかし、しかし、だからと言って失敗だとか食べれなくなった訳では無いと思い。

 そのまま冷蔵庫で保存してて。

 頃合いを見て食べた時の感想が冒頭の文である。


 うん、ショッパイ

 シャキッというかカリッというか食感はあるんだけどぜんぜんショッパイ。

 梅の香りもほとんどしない、褒めるところといえばピンクに染まったところだけ。

 捨てるのは勿体ないのでそのまま冷蔵庫に入れたままになっていた。


 ところがこれ最近発見したのだが、ピクルスのような使い方したら悪くない、結構イケる。

 味にアクセントをつけるのに有効だと思う。

 あんまり入れすぎると不味いけど、ちょこっとだけならケーパーの代わりにも使える。

 それとスープの具材にもなる、これも入れすぎるとラッキョウ臭さが出るけど少量なら玉ねぎやエシャロットと何ら変わらない。

 どうやら無駄にはなりそうにない。

 喜ばしいことである。


 このラッキョウが無くなる頃には、また梅やラッキョウがスーパーに並ぶだろう。

 今度もう一度チャレンジする予定である。


 今度こそは梅干しの、あの口をすぼめたくなるほどに酸っぱい感じのものにしたいと思う。

読んだ後に唾が出てたら腕立て10回な!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 腕立てします! (*`・ω・)ゞ ラッキョウ食べたくなってきた。 ( *´艸`)
[良い点] スープの具材!なるほど...φ(..)メモメモ ラッキョウはあまり使ったこと無かったですが、色々試してみると面白そうですね。 [一言] 腕立て10回行ってきます(笑)
[良い点] 凄い!食べてもいないのに、味が想像出来ました(笑) さすがの筆力なのですヽ(=´▽`=)ノ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ