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画策

 さて、計画を実行してから数日が経つが、主人公と春名は優樹菜なしでもちょくちょく会っているようだ。もちろん優樹菜関係の相談もあるが、春名自身との交流もあるようだ。春名が機嫌の良い笑みを浮かべながら惚気ていた。何と言ってもプレゼント貰うということから主人公にかなり心を許したようだ。後から知ったことだが、春名の特殊な家庭環境ではプレゼントなんて貰うことはなかったから仕方がない。いつかわたし自身も春名の家庭環境に向き合わなければならない。


 さてと、もう少し2人きりにしてみようかな。


 解き終わった数学の問題を眺めながら次のプランを練ることにした。手元のシャープペンシルをくるくると回しながら考えてみる。

 終盤になったら、あの誕生日プレゼント選びイベントがあるが、いかんせん数ヶ月くらい先だ。それまでお預けにするのは忍びない。やはり別のイベントをこちらが提供する必要がある。まだ季節冬前なので時期的には期末試験関係はどうだろうか。ノートの空白の部分に期末試験と書き込み、その左下に主人公の似顔絵、右下に春名を描いてみる。主人公は途中編入ということもあり、成績優秀でオールマイティにできる。かなり上位に食い込んでいたはずだ。ちなみに優樹菜は学年トップである。(中身はわたしだが、その辺はなんとか上手くいっている)それに対して春名は初等部からエスカレーター式で上がってきており、中の中くらいをキープしている。勉強はそこまで優先していないし、そこそこを意識しているようだ。優樹菜に教える、という仕事内容は言わずもがな優樹菜には必要ない。


 これはイベントにはいい感じではないだろうか?


 主人公の絵の下にオールマイティ、春名の絵の下に理系科目が不得意、と書き込んだ。不得意と知ったのは転生してからだ。ゲームをしていても知り得なかったことを知ることができるのはこちらとしても嬉しい限りだ。ちなみに勉強関係では優樹菜ルートで春名は登場しないので、そこは想像でしかなかったが想像通りであった。そんな成績事情からすれば、一緒に勉強イベントがベストだろう。この世界に転生してから春名の様子を(愛でるという名の)観察をしていると試験前からソワソワする様子が見られた。わたしから離れるとすぐに試験勉強をしていたため成績をキープするのもなかなか大変なのだろう。わたしは口角を上げるとまたシャープペンシルをくるくると回した。とりあえず誘うきっかけを考えねばならないな…。


「ではこの問題を……七宮さん、解いてください」


「はい」


 不意に指名されたことへの動揺を隠しつつ返事をし、席を立つ。おそらく難易度が高めの問題だろう。「とりあえず難しい問題は七宮に解いて解説してもらえば何とかなる」説が教師感で定着しているのではないかと思う。それくらい基礎ではなく、応用の方によく指名されている。前をちらりと確認すると空白部分は応用の最後の問題だった。やっぱり、と思いながら自身のノートを持ち、今は指定された問題に集中することにした。










「やっぱりすごいなあ!七宮さんは」


 数学の授業が終わり、隣の席の主人公が話しかけてきた。ちなみに先程、応用を解き、解き方の解説をし終えたところで授業終了のチャイムがなった。完璧に解いたそれはまだ黒板に残っている。


「まあ門矢さんったら。そんなに褒めても何も出ませんよ」


 口に手を当ててにこりと笑いながらそう返すと、主人公は手をひらひらと振って否定した。そういう意味ではない、と。


「さすが学年総合1位だね。俺に応用の解き方を教えてほしいくらいだよ」


「まあそんな必要…」


 ない、と言いかけてぴたりと止まる。このお願いから切り込んだ方が自然じゃないか?降って沸いたお願いに興奮を隠しきれず口元が緩む。


「では期末試験も近いですし、一緒に勉強しませんか?春名も誘って」


「春名さんも?」


「ええ、態度にはあまり出さないですがいつも試験前に慌てているようなのでついでに」


「それはいいね」


 あっさりと賛同してもらえたことに安堵する。これで環境は整った。


「では明日からわたしの家で勉強しましょう。設備は整っているのです」


「ありがとう」


 ゲーム画面で見慣れた台詞をさらりと言うとチャイムが鳴った。ああ、こんなイベントがあったなあと思い出す。次の授業開始の合図だ。古典の教科書とノート、そして古語辞典を取り出して机の上に置く。主人公もそれを見て慌ててそれに倣った。


 さて、後は春名を誘うだけか。


 大方のあらすじを整理しながら教室に入って来た古典教師を見つめていた。

覚えているうちに書き上げてしまいたいです。

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