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第73話:回復術師は王都を目指す①

 ◇


 闘技場でクラインさんへの指導をした二週間後。


 俺たちはゆっくりと部屋で寛いでいた。


「まだ魔物が復活しないんですね」


「平和なのは良いけど、こうなるとちょっと暇に感じちゃうわよね」


 俺が魔王を倒したことによりサンヴィル村周辺の魔物は激減してしまった。


 魔物の減少に応じて冒険者ギルドが抱える依頼の数も激減してしまっている。


 少しずつ魔物の数は復活して来ているらしいのだが、まだ俺たちが依頼を受けるのは控えてほしいらしいとのことだった。


「こうなると、冒険者としては商売上がったりだな。もちろん平和なのは良いことではあるんだが……」


 幸い、俺たちはガーゴイル戦やフェンリルの偵察任務でたくさんの報酬を得ている。


 お金にはまったく困っていないのだが、俺たちの活動を通じて『劣等紋』という存在の地位を向上させるという目標は足踏みせざるを得ない。


 どうしたものか、と思っていたところ—


 ピンポーン。


 来客を知らせる部屋の呼び鈴が鳴った。


「誰でしょうか?」


「誰かと約束なんてしていたかしら」


 心当たりがないのだが、わざわざ部屋を尋ねてくるということは俺たちに何か用があるのだろう。


「俺が出てくるよ」


 部屋の扉を開け、尋ね人を確認する。


 艶やかな黒髪。黒水晶のように透き通る瞳。童顔のわりに大人びた妖しい雰囲気。


「おっ、ヘルミーナか。久しぶりだな」


「ええ、お久しぶり」


 俺たちの功績を使者を通じてフェルラント王国に伝え、王国側からの返事があり次第俺たちに伝えてくれると聞かされていた。


 魔王関連のことで調べることがあったらしく、ここ二週間ほどは姿を見ていなかったが、俺たちのもとへ来たということは王国側からのメッセージを伝えに来たのだろう。


「説明はここでいいかしら」


「どうせなら上がっていけよ」


「そ、そう……じゃあ、お言葉に甘えて」


 なぜかヘルミーナは緊張した様子で部屋に入った。


 リーナが人数分のお茶を出したところで、ヘルミーナから説明が始まった。


「まず、結論として。国王陛下はユージたちのことを大きく評価してくれているわ。ユージが言っていた『無の紋章持ちのみによるパーティで倒した』という事実はすぐに大々的に取り上げたとのことよ」


「おお……それは良かった!」


「大事なことですもんね〜」


「これは大きな前進ね」


 ヘルミーナは大丈夫だと言っていたが、無の紋章……劣等紋への風当たりは強い。


 忌み嫌われている紋章だけのパーティが国の英雄になるのは都合が悪いと考えるかもしれない——と少しだけ思っていたが、杞憂だったようだ。


「そして、ここからはお願いになるのだけど……一度『レジェンド』が揃って私たちと一緒に王都に来てもらえないかしら」


「俺たちが王都に?」


「ええ、勲章を授与したいそうなのよ」


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