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第70話:Sランクパーティ、脱獄を企てる①

 大商人を襲ったものの、ユージたちに捕らえられたゼネスト率いる『デスフラッグ』は、王国北部のスカーレット刑務所に収容され、それぞれが狭い独居房に閉じ込められていた。


 部屋は簡素なもので、石のベッド、トイレ、それ以外は少しの生活用品のみ。


 スカーレット刑務所の房は、パノプティコン構造が採られている。


 中央に監視塔があり、少し離れて壁伝いにアパートのような形でたくさんの房が横並びになっている。


 逃げ出す者がいればすぐに看守に見つかってしまうような形だ。


 この国では一般的なものだった。


「おい、八九九番、運動の時間だ。出ろ」


「ういっす!」


 丸刈りになったゼネストだが、その瞳に反省の色はまったく現れていない。


 一日に三十分だけ運動の時間が与えられ、それ以外は一日に七時間の強制労働。


 それ以外は基本的に部屋から出られない。


 この時間を、ゼネストは何よりも楽しみにしていた。


 いや、ゼネスト以外のパーティメンバーも同様だった。


 運動場。


 囚人を逃さないよう十メートルほどの高い塀に囲まれ、塀には触れると痛みを感じるトゲ状の魔道具が設置されている。


 中央には監視塔があり、看守が目を光らせている。


 更に二十四時間体制で武器を持った屈強な看守たちが見回りをしている。


 もともと王国内でも厳しい刑務所だったが、Sランク冒険者であるゼネストたちが収容されたことで更に監視が強化されていた。


「アルク、準備は進んでるか?」


「もちろんっすよ。道具を集めるまでが一番苦労したっすね。ゼネストの兄貴の方は順調っすか?」


「おうよ、抜かりなくやってる。誇り高きSランクパーティがこんな小汚え場所で何年も閉じ込められるなんざ御免だからな」


「さすがゼネストの兄貴! まあ、ライセンス取り上げられてもうSランクじゃないっすけどね」


「あ゛?」


 ゼネストはアルクをギロッと睨んだ。


 ギルドの重大な規約違反で収まらず、未遂ではあったものの山賊行為をしてしまった『デスフラッグ』のメンバーは既に冒険者ライセンスを取り上げられてしまっている。


 刑期を終えれば再度受験し、最低ランクからスタートすることはできるのだが、現状はアルクが言う通りになってしまっている。


 思いの外ゼネストを怒らせてしまったことに気づいたアルクは、冷や汗を流した。


「じょ、冗談っすよ! というか、Sランクとかそういう前時代的なものは似合わないっすよ!」


「ふむ、それもそうだな」


 なんとか機嫌を取り戻したことに安堵するアルク。


「じゃ、じゃあ時間ないんで、他の奴らの状況も確認してくるっす!」


「おう、任せたぞ」


 秘密裏に動いている脱獄計画は、パーティメンバー全員で無事にこの監獄を抜け出すことを目標にしている。


 アルクはゼネストから離れると、看守に悟られないよう自然にパーティメンバーのもとへ向かうのだった。

お久しぶりの投稿になってしまいすみません!!

これから更新頻度増えると思いますので、引き続きお楽しみいただけると幸いです。


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シリーズとして続巻を刊行できるかは第1巻の売り上げが非常に重要です。

ご興味のある方はぜひお近くの書店やネット書店、あるいはE-honなどの取り寄せサービスでお手にとっていただけると幸いです。


店舗特典などにつきましては活動報告の方で描かせていただきました!


ぜひぜひよろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 本当に根が腐っているね。この元Sランクパーティーは。
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