表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

67/73

第67話:回復術師は稽古をつける③

 ◇


 そんなこんなで、クラインさんに魔法を教えることになってしまった。


 クラインさんは王国最強の魔法士で、俺は回復術師。


 立場が逆なような気がするのだが、気にしたら負けだ。


 まあ、俺にとっても咄嗟の魔法のコントロールは未だに苦手なので、教える過程で何か新しい気づきがあるかもしれない。


 そう考えれば悪い話ではなかった。


 あと、実はこれは報酬も出る。


 一日で金貨十枚……十日分の生活費だから、かなり割りの良いバイトではある。


 思いきり魔法を使える場所でなければ稽古はできないので、闘技場に移動したのだった。


「練習であまり目立っても仕方がないので——」


「おっ、中央区画ステージが空いてるじゃねえか! ユージ、ラッキーだったな!」


「……いつもは埋まってるみたいな言い方ですが」


「人気の場所だから埋まってると思うぞ。なぜか俺が行くといつも空いてるんだが」


 多分、目立つから誰も使ってないんだろうなぁ。


 やれやれ……。


 本当はただでさえギルドマスターに稽古をつけるという目立つことをするのに、目立つ場所でやりたくはない。


 しかし、依頼の発注者であるクラインさんがそこでやりたいというのだから、ここでやらざるを得なさそうだ。


 俺たちが中央区画に移動すると、周りがザワザワとし始めた。


「ユージとギルドマスターが上がっていくぞ!」


「まさか、また決闘を見られるのか⁉︎」


「うおおおおおおおおお!!!!」


 案の定の反応ではある。


 しかし、これなら決闘じゃないと分かれば興味をなくして帰ってくれるかもしれない——という期待もできそうだ。


 ——と、思ったのは一瞬のことだった。


「今日は決闘はしねえぞ! しねえが、なんと! 俺がユージに魔法のレクチャーをお願いした! 見ていきたい奴は見ていきやがれ‼︎」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「あのユージの魔法が明かされるのか‼︎」


「これは楽しみすぎるぞ! 来て良かったぜ‼︎」


 どうやら、こっちの方が盛り上がってしまったようだった……。


「あ、あのユージ……頑張ってくださいね」


「私も陰ながら応援しているわ」


「シロもその辺で見てるー」


「……ああ、応援サンキューな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ