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第59話:回復術師は成功する

 ◇


「はい……はい、そういうことなんです。デスフラッグの僕以外のメンバーが共謀して明日やってくる商人を襲うということで……」


 俺たちは冒険者ギルドに移動した後、予定通りに事を進めていた。

 まずはラックが冒険者ギルドの窓口で明日起こる事件を通報するのだ。


「そうだったのですね……。報告ありがとうございます。この件は直ちに対処させていただきますので——」


 受付嬢がメモを取り終わったタイミングでヘルミーナの出番である。


「ちょっと横で聞いていたのだけど、それが本当ならかなりの大事じゃないかしら?」


「え、失礼ですがあなたは……? あまり見かけたことがないような……」


「私はヘルミーナよ。こういう者……理解してもらえるかしら」


 ヘルミーナは用意していた王国騎士団の手帳を受付嬢に見せた。

 受付嬢はそれを見た途端血相を変え——


「し、失礼いたしました! まさか騎士団の方がいらしていたとは……あの、それでどういったことで……?」


「この子、噂で聞いた話によればペナルティ持ちって話よね?」


「そうですね……。先日ギルドの規約に違反したということで……」


「ええ、もちろんそれはそうでしょうね。ギルドは正当な判断をしたと私も思うわ。でも、この一件はそれを凌駕する特大リークだと思わないかしら?」


「事実であれば、そうですね……。信憑性も非常に高いですし、ギルドとしてもありがたい情報だと思います」


「こういう時ってなんだったかしら、情報提供者にはなんらかの特別報酬が出たわよね」


「え、ええ……当然、事実である確認が取れた時点でお支払いしますが……」


「その特別報酬は、確かペナルティの相殺にも使えたわよね」


「え、ええと……」


 受付嬢は冷や汗をかきながら、手元の規約集を確認する。


「あっ、はい……そうなっていますね。よほどのことがなければ適用されないようなので私も初めて知りましたが……」


「この件ではどうなるのかしら?」


「犯罪の悪質性、リーク情報の信憑性などから鑑みて……ラックさんのペナルティは残り日数すべて相殺が可能であると判断します……」


「そうね、私もそう思うわ。じゃあ今から依頼を出してくれる?」


「は、はい……わかりました! 明日ということですし、今から緊急で冒険者に連絡を——」


 受付嬢が慌てた様子で連絡が取れそうな冒険者を探し始めたので、最後に俺たちの出番だ。


「たまたま寄ってみたら、急を要する案件があるみたいだな。俺たちなら手が空いてるし、受けられるぞ」


「あっ、ユージさん! たまたまいらっしゃるなんてなんという奇跡でしょう!? 話を聞かれていたのですね! 非常に助かります。今から依頼書を作成しますので、お受けしていただけますか!?」


「もちろんだ。任せてくれ」


「ありがとうございます! なんだか今日はイレギュラー案件なのにスムーズすぎてびっくりしています……!」


「ま、まあ日頃の行いがいいからじゃないか? ほら、いつも頑張ってるし……さ」


 こうして俺とヘルミーナの狙い通り、ラックのペナルティ相殺の話をまとめることができた。

 明日、ラックの話通りゼネストたちが現れてくれればすべて丸く収まるという算段である。


「な、なるほど……こういうことだったのね」


「さすがはユージです!」


 急いでいたので二人には何も話さずギルドに連れてきたのだが、この会話の流れでしっかりと理解してくれたらしい。


「というわけで、二人とも明日は頼んだぞ。期待している」


「はい! え、でもどうしたんですか? ユージも一緒ですよね?」


「何言ってるんだ? 明日の依頼は二人に任せようと思ってたんだが?」


「「え、ええええ!?」」


 何を驚いているんだろう?

 あの程度なら、今の二人でもどうにかなると思ったんだが……。


 というか、このくらいどうにかしてもらえないと魔王となんて戦えないだろう。


「頑張れよ!」


 俺はリーナとリリアの肩を叩いたのだった。

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