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第53話:回復術師は見張られる

 ◇


「はぁ〜天国です……」


「それには同感だわ。でも、温泉って初めてなんだけど、こんなにヌメヌメするものなのね」


「このヌメヌメはお肌がツルツルになるって噂ですよ。それにしても……むむ、リリア……」


「な、何よ!?」


「おっぱい大きくてうらやま……生意気です!」


「リーナも十分デカいわよ!? それに大きけりゃいいってものでも——」


「いいえ、ユージは多分大きいのが好きなんです。そんな気がします! 前のパーティでは私が一番だったんですけど、上には上がいるものですね……」


 リリアの胸部をジッと見るリーナ。

 客観的にリーナもなかなかの大きさだし、正確に測らなければ大きさの違いなどわからないほどの違いでしかないのだが、リーナは羨ましそうに眺めていた。

 それと同時に、リリアもリーナの方が綺麗に盛り上がっており、形が優れているのではないかとじっくり観察している。


「ちょ、ちょっと失礼しますね!」


「きゃあああ!?」


「なかなかの弾力ですね……なるほど」


 リリアの胸を背後から鷲掴みにするリーナ。

 湯煙で大事な部分は隠れているのだが、客観的にすごい画である。


「急に何するのよ!? もう仕返しするしかないじゃない!」


「はううう!? リ、リリア……ダメです!」


 女湯の露天風呂でこのような騒ぎが起こっていたということはユージが知る由もない……。

 それからほどなくして、


「す、すみません……リリア。さっきはちょっとやりすぎました」


「まあ……それは私もだし、おあいこよ」


「リリアは優しいです……」


「それで、リーナが言ってた話って? ほら、ユージのことで何か言いたそうにしてたわよね? 何か積もる話があるって」


「あ、忘れてました。そういえばありましたね」


 キョトンとしていたリーナの表情が、少し真面目なものになった。

 リーナはチラッとリリアの顔を確認して、


「リリアって、ユージのこと狙ってるんですよね?」


「な、なによ急に……そんなことないわよ?」


「じゃあ私がもらっても良いってことですか?」


「それはダメ! 絶対ダメ!」


 のぼせたのかと見紛うほど顔を赤くし、照れ隠しで顎まで浸かるリリア。

 言葉にならない言葉が文字通りぶくぶくと泡になって消えた。


「やっぱりそうなんですね。……まあ、私は最初から分かってましたけどね」


「そ、そんなことは……だいたい、リーナはどうなのよ! 私のことばっかり聞いてズルいわ!」


「私ですか……? 私は、ユージになら何をされても良いです!」


「はっきり言うのね……。なら、私だって……」


「言葉で言わなくても、見ていればわかります。ユージは女たらしなので、仕方ないです。リリアに手を引けと言うつもりもないです。ただ……」


「ただ……?」


「ちゃんと言っておいた方が潔いと思うんです。それに、知っておけば泥棒猫が出てきた時に協力できますよね」


「それはそうね。そういうことなら……」


 仲良く手を握る二人。

 いずれ奪い合うことになるとしても、現時点では同じ志を持つ仲間——

 より二人の仲が深まった瞬間だった。


 そんな矢先。


「あれ? なんか今ユージの声がしなかった?」


「この裏は男湯の露天風呂なので、ユージの声がしても不思議じゃないと思いますけど……どうかしたんでしょうか。心配です」


「もし転んで怪我なんてしていたら……心配だわ……。私、ちょっと様子を見てくるわ!」


「え、でもどうやって……?」


「木の壁一枚で分けられてるだけだし、そこをよじ登れば上から様子くらい見れるわ」


「が、頑張ってください! 私は下で万が一の時はリリアを受け止めますから!」


「その時はお願いね!」


 リリアはユージを心配し、必死に壁をよじ登った。

 蒸気で濡れてツルツル滑る壁にストレスを感じつつも、順調に登り進める。


 そして、男湯の様子を見ることに成功した。

 女湯同様に湯気で視界が悪いが、ユージの姿ははっきりと見える。


「あれ……?」


 ユージを見つけられたところまでは良かった。

 だが、ユージの隣には見たことのない女の姿があった。妖艶な雰囲気の黒髪女性。

 明らかに初めて会ったような雰囲気ではない。


 仲睦まじ気な様子で会話に興じているのだ。

 リリアは裏切られたような気持ちが込み上がってきているのを感じた。


「どうしたんですか? 大丈夫そうですか?」


 先ほどのリリアと同じようにユージを心配するリーナ。

 リリアは無言で壁を降りた。


「緊急事態よ、リーナ」


「え、それってもしかして大変なことが!?」


「ええ、ユージは泥棒猫にたぶらかされているわ」


「ええええええええ!?」

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