第11話:回復術師は買い物に出かける
その後、正式に俺がリーダーを務める新パーティ——『レジェンド』を結成し、リーナをパーティメンバーとする届け出提出した。
強気なネーミングだが、『絶対に名前負けしない』という自信の現れでもある。
パーティと名乗るからにはもう少しメンバーが欲しいところではあるが、劣等紋がリーダーを務めるパーティということで敬遠される可能性が大いにある。
しばらくはリーナと二人で実績を作っていくとしよう。
まあ、それに仲間に入れたくなるような人材なんてそう簡単に落ちているものではないしな。
焦らずコツコツだ。
◇
冒険者ギルドを出た後、俺とリーナは横並びで村の商業地区の方へ歩いていた。
どこか宿をとってゆっくり休みたい——というのが本音だが、そうもいかない事情がある。
「ユージ、ところで商業地区に行ってどうするんですか? 買い物なら明日にしても……」
「リーナの装備を揃える。明日も朝から依頼を受けたいし、なるべく今日のうちに済ませておきたいんだ」
「私、装備ならありますよ?」
自身が来ているローブを指差しながら言うリーナ。
「もともとリーナはどのランクのパーティにいたんだ?」
「えっと……Cランクです! 追い出されちゃいましたけど……」
「そんなもんだろうな。さすがにその装備じゃ話にならない。リーナの装備はどう見てもDランクパーティが着るものだし、武器もそんなもんだ。いきなりSランク——とまでは行かなくても、Bランクくらいは……んん?」
「……どうかしましたか?
きょとんと首を傾げるリーナ。
俺は一つ気になったことがあって、『解析』を使って、リーナの装備をじっくり観察した。
「この装備……Dランク向けの量産装備かと思っていたが、違うみたいだな。Dランクのわりには性能が高すぎる。こんなのどこで買ったんだ?」
「普通にお店で買いました。あっ……けど、ちょっと加工はしました!」
「加工?」
「私、付与魔法を人以外にも使えないかなって思って、工夫してローブにかけてみたんです。まだ剣には付与できてないんですけど」
なんでもないことのように話すリーナだが、これは凄いなんてもんじゃない。
装備に付与魔法をかけるなんて今まで聞いたこともないし、発想すらしなかった者が大半だろう。
「リーナ、詳しく聞きたい。それってどんな装備にも付与できるのか……?」
「はい、できると思います! ユージの装備にも付与してみましょうか?」
「いや、後でいい。それなら、今すぐAランク用の装備を買いに行こう。有り金全部使ってもいい」
「ええええ!? どうしちゃったんですか……?」
リーナ……この子は、無自覚すぎて自分がどれだけヤバいかということを知らなさすぎるな。
俺のように自分のことをちゃんと理解できるようになれ、とまでは言わないがもうちょっと自覚できるようにさせなきゃいけないかもしれない……。
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