表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/73

第10話:回復術師は勘違いする

 驚き、目をパチパチさせる受付嬢。

 スーハースーハーと深呼吸し、俺を二度見した。


「な、なんですかこれは!?」


「討伐証明だけど……?」


 それ以外に何があるというのだろうか。

 面倒臭いコレクターみたいに人に見せびらかす趣味はないぞ。


「そんなことわかってます! そうではなく、この量です!」


「あ、もしかして少なかったのか……?」


 いくらなんでもサクサクと倒せすぎたもんなぁ。

 一人で依頼を受けたのが初めてだから、知らない間に討伐対象外の魔物ばかりと戦っていた可能性も考えられる。


 満遍なく倒してたはずなんだが、初心者が陥る罠なのかもしれない。

 などと思っていたのだが——


「多すぎって意味ですから! れっ……無の紋章がどうとか、そんな次元を超えています! いったいこの数をどうやって……まさか、証明素材を買いましたね!?」


「そんな金あったらこの依頼受けないよ……」


 金持ちが名誉のため手早く冒険者ランクを上げる際に討伐証明を購入するということはある。

 しかし当然依頼を受けるよりも割高で取引されるので、俺みたいな貧乏人がする意味はない。


「それもそうですよね……。ということはこの数を……無の紋章が本当に……ありえない……」


 一人でブツブツと呟く受付嬢。

 もうすぐ終業時間なのにこんなにゆっくりしていて良いのだろうか。


「それで、証明部位の数だけ依頼を達成したことにしてもらえるか?」


「あ、はい。それはもちろん……。ちょっとお待ちください」


 カウンターの下から書類を取り出し、書き込んでいく受付嬢。

 一分ほどで全て終えたらしく、金庫から今回の報酬を持ってきた。


「金貨7枚の依頼なので、10件達成で金貨70枚です。ご確認ください」


 俺はサッと金貨の数を数えた。

 お金は大切。たまにギルド職員が金額を間違えていることがあるので、確認は必須だ。


「問題ない、ちゃんと70枚ある」


 俺が答えると、受付嬢がほっと息を吐いたのが聞こえた。


「あの……」


「うん?」


 受付嬢が申し訳なさそうな目を俺に向けていた。

 ついさっきまで劣等紋だからとバカにしていたみたいなんだが、どういう風の吹き回しなんだろうか。


「その、紋章だけを見て失礼な対応をしてしまい申し訳ありません。まさかこんなに実力がある方だとは知らず……」


 冒険者ギルドは紋章で差別することはない。

 どこまでも実力主義であるが故に強い冒険者はどれだけ職員に不遜な態度を取ろうが大事にされるし、職員は冒険者に不快な思いをさせてはいけないのだ。


 逆に言えば劣等紋でなくとも結果を出せなければ扱いは同じだったりする。


 まあ、実際に劣等紋は俺やリーナみたいな例外を除けば戦闘には向いていないから、最初の受付嬢の態度は仕方がないと言えば仕方がない。


 イラッときたのは確かだけどな。


「知らなかったのは仕方がない。これから、劣等紋だからといって真価を見極める前に扱いに差をつけるのはやめてくれればいい」


「胸に刻みます……」

皆さまの応援に励まされモチベーションが上がっています!


感想で「1話が短い」と指摘を受けるのですが、実は本作はスマホ読者の方が多い関係で1ページ当たりを少なめに設定しております。(決して話数稼ぎをしているのではありません)


しかしできるだけ「早く物語をお届けしたい」という思いもあります。

そこで本日3回更新し、文字数を更新速度で補うことといたしました!

今後もモチベが続く限り複数回更新を続けていこうかと思います!

今後ともよろしくお願いいたしますm(_ _)m


【補足】

……と思っていたのですが分量が多い方がありがたいとのお声が多かったので『第17話』から二倍ほどに増量しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 良いんじゃねw 軽薄だけど賢明な心変わりだと思うよ。
[気になる点] >冒険者ギルドは紋章で差別することはない。 いや受付のギルド職員だけじゃなくて他の冒険者達も思いっきり差別してたやん。 ギルドが差別しないなら、社会的にはともかく所属している冒険者達も…
[一言] 仕事に支障がないていどでと愚考いたします!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ