12ページ ルー
本来はクリスマスに投稿予定だったのですが……吐きました。
皆!体調不良に気をつけよう!!
「さて魔法の説明だったね。何が聞きたいのかな?と言っても、何を質問していいのかもわからないって感じだね」
はいと小さくうなずいた。
「ユウ。まず魔法と聞いてどのようなことを思い浮かべる?丁寧語とか気にしなくていいから、出来る限り本心で」
そう問い聞かせられ、勇は魔法と言うのはよくあるファンタジー物を思い浮かべた。
魔力とか何とかの謎エネルギーを使用し、物理法則や、質量保存の法則など知らんぷりし、浮いたり、火を出したり、植物を急速に成長させたりする……。いわゆる便利道具だ。
「そうたぶん……君が考えてるもので間違いないと思うよ」
なるほど……しかし。
「じゃあなぜ魔法が発見されてはいない?そこまで便利な力なんだ。マスコミや権力者だって黙ってはいられない」
そんな便利なものがあるのなら誰だって使うはずだ。また在るのならばそれなりに記録されているはずである。また魔法なんて何も持ってなくても使えるのだから、軍事的には邪魔なものを消すいい機会になるはずだ。
「いや、魔法は発見されているよ……誰もそのことを信じてはいないだけで、そしてそれが実証されたのも近年だ……それも偶然に近い」
遺跡を調査中に謎の建築物が発見された。その遺跡は何千いや何万もの時代が経っていたが老朽化もなく解読できない文字が書いてあった。そこで奇妙な石と古びた本を発見されていた。
その石は奇妙なエネルギー波を持っていて、何かに使えるのではないかと研究を進めていた
そしてある研究者がそれを何とか解析してしまったらしい。
わかったのは二つ。
一つ目は、この世界には神と言われる超次元的な生命体がいる事だ。その神々はまだ地球に眠っていて平穏が保たれている。
二つ目は、その石が神の身体の一部……言わば欠片である。
「なるほど……だからあの身体能力が……」
「案外驚いてないの」
いいえと振るう。
「驚きましたよ……でも実感がなくて」
「そうね……私も。まぁ世界の真実を知っても実感なんてないか」
アルは腕を組み直し見つめなおした。
「ここからは仕事の時間よ。仕事内容を説明するわ」
神と呼ばれる存在は今は休眠状態と言っても、その使徒たちが今徘徊している状態らしく、神々を目覚めさせようと躍起になっているらしい。
「その使徒たちを我々は神話生物と呼称している」
神話生物たちは表に出てくることはなく、その神を信仰している教団に力を貸して勢力を伸ばしている。
「つまり、神話生物を討伐する事が仕事と言う事か」
「実際には人を相手にする可能性があるけど」
……やる?手をこちらに伸ばす。
と、ここならまだ引き返せるぞと、声が聞こえて来たよな気がした。
けれど……。
「やるよ……」
ここで断っても、秘密を知ったからには!とか言って殺されるのがオチだ。
ならば了承するしかないだろう。
「そうか……わかった。ようこそ教会へ、私達は君のことを歓迎するよ。よろしくねユウちゃん」
出された腕を俺は握り返した。
◇
「で?何で名前を知っていながら、明かさなかったんだ」
アリスは確かにショッピングモール時に俺の本名を読んだ。
それを何故黙っていたのか気になったのだ。
「別に理由はないけれど。まぁ、後でそのほうが得かなと独断と偏見で、そう思っただけ」
まぁ、明かしたほうが良かった?とこちらに振り向きながら、緑の瞳を向けてくる。
(何がしてぇのか分からないな……)
「いや、明かさなくていい」
「そう」
「……なぁ、どこに行くんだ?」
ずっとアリスの後を付いてきたがここが何処だかわからない。道案内があればちがうのだろうが。
「さっきの所で武器とか装備を整えるのよ。多分、二人一組になるから」
「一緒に行動するのか?」
「逆に聞くけど新人を戦地に送って戦えるかい?」
「そうだな」
言い合っていると武器開発室にたどり着いた。
「やぁ、また……会ったね」
扉を開けると銀髪の少女が気怠そうに右腕を上げた。
アリスが小さくため息を紡ぎながら「武器を用意して」と言い放った。
「武器?あぁ、同業になったんだね……おめでとう」
よっこいしょと姿勢を正し、「クリスタルを見せてくれない?」と。
……?
クリスタルとはアルが言っていた破片だろうか。
「そう。わかりやすく言えば、クリスタルを着けた物は……なんでも武器になる。私はその外装をつくっているだけ……」
つまり外装を変えれば強化されると言うのか……。
しかし、そんなもの付いていただろうか?
「なぁ、クリスタルと言うのを見た事ないんだが」
「え!」
銀髪少女はもう一度、奥から日本刀を取りだして。
「本当だ……ついてない。いったいどうやって……。」
つまり武器が強化できないということで合っているのだろうか?
外側を強化して、クリスタルをはめ込むことによって作られる。
クリスタルがない物で殴っても魔力障壁に阻まれる。
「じゃあ、なんでダメージが入ったんだ?」
「わからない。よう研究が必要。取りあえず刀……返すね」
刀を受け取り仕舞う。
「取りあえずこれを」
そう言い少女が奥から武器を持ってくる。
シンプルな黒ナイフが3つ、そして拳銃の上に筒のようなものが乗っていた。
「大きいナイフは予備で……小さ目の物が投げナイフ」
「この銃もどきは?」
手に持って見ると、金属特有の冷たく独特の音が聞こえる。
よく見ると筒の上にサイトが付いてある。
「それはキャリコM950aって言って……上の筒が弾倉になっていて……装弾数50発で弾幕はれるよ……」
この銃は見てのとうり特別な構造をしており、それにより脅威的な装弾数を誇るらしい。
「君は身軽さを重視している見たいだから……長物よりこれの方が良いと思って」
ありがとうと言いながら、これらの武装を懐に入れた。
「これから宜しく。えっと」
「ルーで良い。よろしくね」
差し出された手を握り返した。