世界の意味《2》
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視界が歪む。
意識が、グルングルンと回転するかのような、おかしな感覚。
ここにいるのに、ここにいない。
俺は今、立っているのか、それとも座っているのか。
倒れているのか、逆立ちしているのか。
確かなのは、腕の中にあるサクヤの重みだけ。
握っていたはずのエンの感触すら遠くなる中で、我が息子の存在感だけは変わらずそこにあり、俺は、必死で彼の身体を抱え続ける。
――いつの間にか俺は、サクヤと共に、白い空間に立っていた。
全てが白く、上下左右が何もわからない、ここが広いのか狭いのか、そんな判別すら付かない場所。
「ここは……」
……見覚えがあるな。
いつか俺が、魔族の神ルィンと話をした時と、同じ空間。
違うところと言えば、周囲を見渡しても、ここには誰もいないという点だろう。
扉を潜ったことが契機で、ここに来たのだろうが……しかし、何もない。
そして、違いはもう一つ。
前回この空間に訪れた時は俺一人だったが、今は腕の中にサクヤがいるということだ。
……サクヤが俺に抱っこをねだったのは、共にここへ来るためだったのか。
息子を見ると、彼は俺の緊張を解すかのように、にへっと笑ってその小さな手で触れてくる。
「……はは、おう、そうだな。せっかくの冒険だ、なら楽しまないとな」
「あうぅ!」
「おうよ、未知に対する姿勢にこそ、男の本領は発揮されるってものさ。……つってもサクヤ、これ、どこ行けばいいのかわかんないぜ? 何にも無いし」
「あばぁ?」
「おう、まさにあばぁって気分だ。こんな真っ白じゃあ、自分の立ち位置すら……ッ!?」
そこで俺は、下を見て、気付く。
そこには、光の球があった。
ここが何も無い空間だと思ったのは、どうやら大間違いだったらしい。
あまりにも巨大過ぎて、そこにそれがあると気付けなかっただけだったのだ。
ただ輝くだけの、光球。
俺は、あれを知らない。
しかし、直感的に、あれが何なのか。
俺は、理解することが出来た。
「ドミヌス、か……」
ドミヌス。
世界そのもの。
現れた俺達に対し、ドミヌスは何も言葉を発さない。
俺達とは違う在り方の生命体であるため、そもそも俺達という個人を認識しているのかすらわからない。
……というか、ドミヌスってのはこの世界そのもので、つまりは大地そのものだろ?
なら、ここにあるのはいったい――。
――ソレハ、言ウナラバ世界ノ精神体。私達デ言ウトコロノ、心臓。
その声に、俺は振り返る。
いつの間にかそこには、小さな姿があった。
少女。
腰まであるような、長い、艶のある黒髪。
美しい、人形のような顔立ち。
ただ、少女が生きていないのであろうことは明白で、何故なら彼女は、肉体が半透明だった。
レイス娘達みたいな種族という可能性もあるが……まあ、この様子からして、そういう訳ではないのだろう。
少女の姿に俺は見覚えがなく、だがドミヌスがある場所にいる女性、という点では、もしかしたらと思うものがあった。
「――ガイア、か」
――正解。ヨク知ッテルネ。
地の女神『ガイア』は、ニッと笑ったのだった。
◇ ◇ ◇
「アンタは……骨じゃないんだな?」
――? 骨ッテ、グロイジャン。
グロいじゃんって。
い、いやまあ、確かにそうかもしれんが。
何だ、骨で現れるか半透明で現れるかは、選択可能なのか。
「……ルィンの影絵だと、ガイアを表すものは大人な女性だったが」
――大人デショ?
「……えーっと」
――大人デショ?
「……はい、そうっすね」
――ン、ヨロシイ。
満足そうに頷く少女に対し、思わず苦笑を溢す。
厳かな感じで出て来た割には、口調が軽い。
アンタ、立場的には創造神だろうに。
ルィンが見せてくれた影絵で、この神様が大人な姿で描かれていたのは、どうやら気を遣っていた結果らしい。
「……それで、ここは?」
「いうおぉ!」
――オー、可愛イ赤子。可能性ノ塊。ソレニ、ドコカ懐カシイ気配。ナルホド、ソレデ……。
こちらに近付いてきたガイアは、ツンツンとサクヤの頬を突く。
透明なせいで、その手は突き抜けたが、それでもどこか嬉しそうに彼女は笑い、サクヤもまた、楽しそうに笑っている。
しばしそうしていた少女は、やがて満足したのか、俺の質問に答える。
――ココハ、現世デアッテ現世ニアラズ。夢デアッテ夢ニアラズ。マア、謎空間ダト思ッテオキナサイ。
「……アンタは、ずっとこの場所にいるのか?」
――イイエ、私ハ既ニ死者。死者ガ現世ニアルハ摂理ニ外レル。ココガ特殊ナ場ト言エド、ルールハ一緒。
「じゃあ、幽霊か」
――フフ、エェ、ソウネ。私ハ、ドミヌスガ生ミ出シタ、幻影トデモ言ウベキ存在。幽霊ト言ワレテモ、否定ハ出来ナイワネ。
「生み出した……」
――私ガ説明シロ、トイウコトデショウ。ドミヌスハ、喋レナイカラ。
……説明役として、彼女は今生み出された、ということなのか。
「……なら、聞かせてくれ。俺達は、何故ここに呼び出されたんだ?」
――イイデショウ、教エテアゲル。ト言ッテモ、ソウ難シイ話ジャナイ。後継者タル者ガコノ場ヲ訪レタ。ダカラ、ココニ呼バレタ。ソンナニ深イ理由ジャナイワ。
……なるほどな。
今回は、神槍の時とは違って結構突然な感じだと思っていたが、向こうが俺に用があってどうの、という訳ではなく、単純に俺がここに来たから、自動的にというか、自然とここに呼び出されたということなのだろう。
顔くらい見てやるか、ってくらいのつもりなのかもしれない、ドミヌスは。
「後継者、か……ダンジョンが、ドミヌスの種子、みたいなものなんだよな?」
――ソノ通リ。神槍ヲ持ッテルヨウダシ、ルィンニ聞イタノネ。アナタト共ニアルノハ、『原初ノ世界』ヨ。
「……この遺跡についても、聞いていいか?」
――エェ、勿論。モウ大体想像付イテルカモシレナイケレド、ココハ、『始マリノ地』。世界ノ雛型トシテ生マレ、ソシテ、役目ヲ終エタタメ放棄サレタ場所。
この言い方だと……俺達が、『ヴェルモア大森林遺跡』と呼ぶこの場所を、彼女らはただ『始まりの地』とだけ呼んでたのか。
そして、少女の姿をした神は、語る。
まず、最初にあったのがこの城の、さらに一室だけだったらしい。
そこにいたのは、女神ガイアのみ。他には何もなく、ただドミヌスによって知識を埋め込まれていたため、何をすべきかはわかっていたそうだ。
最初は、彼女も俺のような異世界人なのかと思ったが、どうやらそういう訳でもないようで、気付いた時にはそこに己がいて、己の役割があったのだと。
そこから始まる、世界の創造。
まず、ある程度の権能を持った眷属――つまり神々を生み出し、その神々に『ヒト種』の創造と繁栄を任せた。
その間に、ガイアはこの地底世界を造り上げ、ヒト以外の生物を生み出し、地底世界の外をも発展させていった。
そうして原初の人々が十分に増え、外の自然環境がしっかりと整ったところで……この場所の役割は終了した。
世界が、次の段階に突入したからだ。
この場所は、言わば仮住まい。
だからここは、本当に最初期にのみ使用され――と言っても、五千年くらいはここで生活していたようだが――、あまりに便利過ぎる環境に染まり切らぬよう、外が充実した時点で放棄したのだという。
――アナタハ、前世ガアルノネ。
「……あぁ。この世界じゃない場所の出身だ」
――ソレハ、別ノドミヌスネ。アナタニハ、混沌タル力ガアル。ダカラ、コチラニ呼ビ出サレタノデショウ。世界ヲ更ナル混沌ニ巻キ込ムタメニ。
「世界を更なる混沌に巻き込むって……そう聞くと、何か俺、すごいヤバいヤツみたいだな」
世界規模で混沌を齎す者なのか、俺は。
……ま、まあ、場違いに皇帝とかやってた時期もあるし、少なからず影響は及ぼしたかもしれないが。
そうか……俺が選ばれたのは、そういう理由があったのか。
――フフ、デモ、悪イコトジャナイワ。混沌タル者トイウコトハ、アナタハツマリ、誰ヨリモ『ヒト』ナノヨ。愛ガアリ、憎悪ガアリ。喜ビガアリ、哀シミガアリ。純粋デ、複雑デ、トテモ一言デハ表セナイ、『ヒト』ソノモノ。
「…………」
――ソシテソレハ、アナタノ子ニモ受ケ継ガレテイル。誰ヨリモ『ヒト』タル者ノ、混沌トシタ性質ヲ。
「……息子には、何か不思議な力がある。それも、俺の影響ってことか?」
――正シクハ、アナタノ力ト、奥サンノ力ト、ソシテ『箱庭』の力ガ合ワサッタ結果ネ。誰ニモ予測出来ヌ、大イナル因果律ヲ引キ寄セル者。大事ニ育テナサイ。アナタノ子ハ、世界ヲヨリ混沌トサセルデショウ。
箱庭とは、ダンジョンのことだったな。
世界をより混沌に、ね。
精霊王のお墨付きに、創造神のお墨付きまで加わっちまったな。
「……お前、本当に、頑張らないとな。父ちゃんもしっかり付き合うからよ」
「うばぁ! あう!」
よくわかっていない様子で、ご機嫌に手足を動かす我が息子。
――フフ、可能性トイウモノハ、イツ見テモワクワクスル。ア、ソウソウ、ココニ来タッテコトハ、アノ謎解キ、解イテ来タンデショ? ドウダッタ?
「あ、すまん、それウチの息子が、俺達が考えるより先に解いちまった。だから、まともに攻略してないわ」
――エッ。
「今言ったこの子の不思議な力のおかげで、ギミックとか無視してあっという間にここまで来られたぞ」
――エー! 何ヨソレ! 頑張ッテ考エタノニ! 難シクナリ過ギズ、カツ侵入者ナラ追イ返セルヨウニッテ!
「あうぅ?」
――グ、グヌヌ……確カニコノ子ノ能力ナラ、ソウイウコトモ出来ル、カ。……仕方ガナイ、コレモ混沌タル生物ノ進化ト捉エルベキネ。
ぐぬぬって。
憤慨したような様子を見せ、だが対象がサクヤであるため、怒るに怒れないような感じになる神様。
これが創造神か……人に言っても信じてくれないだろうな。
何と言うか、ちょっとポンコツ風味を感じられる神様である。
創造神がこれなら、その影響を受けて生まれたのであろうルィンとかが、茶目っ気に溢れていた理由もよくわかるというものだ。
――何ヨ、ソノ顔ハ。
「い、いや……というか、侵入者を追い返すって言ったが、あれどう見ても殺しに来てるだろ。謎解きエリアは謎解きって感じだったが、警備用ゴーレム、強過ぎだろう」
――アー、アレネ。ドヴェルグノ奴ガ、ソウイウノ好キデ、イッパイ造ッテタノヨ。シカモ、ルキネリアスガ、囃シ立テテ「モット造レ」ッテ言ウモノダカラ、ドヴェルグモ調子乗ッテ。ソレハモー、余ッテルノヨ。
ドヴェルグは、確かドワーフの神で、ルキネリアスは、龍族の神だったな。
仲が良かった、という話を、いつか精霊王に聞いたっけか。
やれやれと言いたげな様子でため息を吐く彼女に、俺は笑い声を溢す。
「はは……アンタら、本当に仲が良かったんだな。楽しそうな光景だ」
――ソウ……ネ。マ、楽シイ日々デハアッタワ。上手クイッタコトモ、失敗シタコトモ、数エ切レナイ程タクサンアッタケレド、私ハ良イ生ヲ送ッタ。命ヲ全ウシタワ。
「……そうか」
命を全うせよ。
命を謳歌せよ。
それが、命ある者の責務である。
神々は、始まりの者として……特にその思想が強かったのだろう。
「……神々で戦争になったのは、死者を蘇らせようとしたからか」
――ソレモ聞イタノネ。ソウ、私ノ眷属達ハ、争ッタ。タダ、ソレモ人ノ性。愛故ニ憎シミハアル。殺シ合ウコトハ、生物ガ生物タル範疇。チョット悲シイコトデハアルケドネ。ソレハ、ドミヌスノ望ンダモノノ一環ナノ。
殺し合いは生物の範疇、か。
きっと、その通りなのだろう。殺し合わない生物などこの世に存在しない。
生きとし生きる者は、何かを殺して生きている。
ヒトがヒトを殺すこともまた、ドミヌスが望む混沌の一つなのだ。
「アンタは、ドミヌスとコンタクトが取れるのか?」
俺は、真下を見る。
輝く、巨大な光球。
それは、脈打つかのように少しだけ大きくなったり、小さくなったりしており、生きているのだということが窺える。
女神ガイアもまた、同じものを見ながら口を開く。
――イイエ、ソウイウ訳ジャナイワ。ドミヌスニハ意思ガアル。ケド、私達ノ持ツモノトハ全然違ウ。推シ量ルコトハ出来テモ、明確ニ意思ヲ伝エテクルコトハ無イ。タダ、ドミヌスモマタ生物。自ラヲ成長サセル、トイウノガ最モ大キナ望ミダトイウコトハ、間違イナイワネ。
「…………」
多分……彼女とドミヌスとの関係というのは、俺と、俺のダンジョンと同じようなものなんだろうな。
俺は、ダンジョンに意思があることはわかる。
だが、直接それを伝えてきたことは、今まで一度もない。
ただ、あるがままに。
俺が変えるがままに。
ドミヌスもまた、そういう存在なのだ。
俺は、彼女の言葉を吟味するように考え込み、それから口を開く。
「……もう一つ聞かせてくれ。俺と息子がここにいるのは……偶然なのか?」
――聞キタイノハ、ココヘ至ル道筋ニ、果タシテ運命トデモ呼ブベキモノガ、存在スルノカドウカ、ネ?
「……そうだ」
少女は、笑う。
悩む若人を、導くかのように、慈愛に満ちた表情で。
――大イナルモノハ、アルノカモシレナイ。シカシ、ソレハ私達ニハ遠キモノ。考エル必要ハ無イワ。アナタハ、確カニアナタノ手デ、己ノ生ヲ全ウシテイル。安心ナサイ、アナタノ喜ビモ、アナタノ苦悩モ、全テガアナタノ選ンダ結果ヨ。
「……そう、か」
――タダ、一ツ。アナタハ、『神槍ルィン』ヲ手ニ入レタ。ルィンハ、『導キ手』ノ一人。ソレヲ持ツ者ハ、何カ大キナモノニ巻キ込マレルコトガアル。彼自身ガ、ソウデアッタヨウニ。ダカラ、ココニマデ到達シタノハ、ソノ力ガ少シハ働イタノカモネ。
「……導き手か」
あの神様は、最初に『導キ手ハ、吾カ』と言っていた。
何か、そういう役割があったのだろう。
そう言えば、神槍を保管していた龍族の長老ローダナスが言っていたが、これを以前武器として振るっていたヤツは、確か俺と同じように、ヒトでありながら龍族の王になったんだったな。
なるほど、神槍を得てから、神代に何かと縁があると思っていたのは、どうやら勘違いじゃなかったらしい。
――アァ、アト、コノ遺跡ノコトハ、アナタニ任セルワ。適切ニ管理ナサイ。私達ガ干渉スルノハルールニ外レルカラ。タダ、アマリ悪用シテハ駄目ネ。ココハ、既ニ役目ヲ終エタ場所ナノダカラ。
「あぁ……わかった。任せてくれ」
女神はコクリと頷き、そしてふと、ドミヌスの方を見る。
――ン、名残惜シイケレド、ソロソロ、時間ノヨウネ。マダ、名前ヲ聞イテイナカッタワ。教エテクレルカシラ?
「俺は、ユキ。この子はサクヤだ」
――ン、覚エタ。デハ、ユキ。サクヤ。聞キナサイ。
少女は、厳かな、だがどこか優しげな。
まさに女神のような表情で、言葉を続ける。
――命トハ、大変ナモノヨ。辛ク、苦シク、先ノ見エナイ迷路ミタイ。デモネ、迷路ッテ、本来楽シイモノジャナイ? ソノ先ニ何ガアルノカ、ソコニドンナ景色ガアルノカ。ソウイウ喜ビヲ、見逃シテハ駄目ダワ。苦シミト同ジヨウニ、喜ビハドコニデモアルノダカラ。
彼女の言葉は、どこまでも人に寄り添ったものだ。
難しい説法などなく、まるで母がしてくれる寝物語のような、祖母が語る昔話のような。
だから、きっと……こんなにも、スッと胸の中に入ってくるのだろう。
――肩ノ力ヲ抜イテ。気楽ニ、命ヲ楽シミナサイ。ソレガ、命アルアナタ達ノ特権。混沌タルヒトガ持ツ恩寵。
女神ガイアは、サクヤの頬に手を添える。
サクヤは、その手に触れようと両手を伸ばすが、掴めずに不思議そうにしている。
そんな我が息子を見て、彼女はクスリと笑う。
――短イ時間ダッタケレド、二人ノオカゲデ私ハ、私ノ世界ノ先ヲ、少シダケド見ルコトガ出来タ。アリガトウ。
「いや……こちらこそ、だ。アンタと話をすることが出来て、良かった」
――後輩ダモノ。コウシテ道ヲ示スノハ、私達ノ役目ダワ。ホラ、ドミヌス、アンタヲ発展サセテクレテル子ヨ。セッカクナンダカラ、アンタモ何カ言ッタラドウ?
彼女の言葉に反応するかのように、眼下のドミヌスは、ドクンと一度脈動する。
――今ノハ……多分、「元気デヤレヨ!」ッテ感ジネ!
「多分なのか」
――アンナ風ニ光ルダケデ、詳シイコトガワカル訳ナイデショ! 全ク、ココマデ世話シテヤッタ、私ニ対シテモコウナノヨ? 愛想ガ悪イト思ワナイ?
「はは、まあ、信頼は感じられるぜ? アンタが、自分の一部というか……そういう近しい存在だとは思ってるんじゃないか?」
――ソウ? マア……ナライイケド。フン、全ク、相変ワラズ素直ジャナイワネ、ドミヌス。
その瞬間だった。
この白い空間に来た時と同じように、ぐにゃりと視界が歪む。
足場が不確かになり、自分の立ち位置がわからなくなるような感覚。
――アッ、チョット! モー、融通ガ利カナインダカラ。ショウガナイ奴。
己の五感全てが、どんどんと遠くなっていく中で、ため息を吐くような女神ガイアの姿が見え――そして最後に、俺の耳に彼女の言葉が残る。
――サア、我ガ子供達。元気デネ。命ヲ楽シミナサイ。世界ニハ、面白イモノガイッパイヨ。