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魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
みんなで旅行しよう

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エルレーン協商連合へ《1》


「旅行だー!」


「りょこーまつり、かいさい!」


「……素晴らしい祭り。毎日開催しても……いや、毎日はダメ。学校も楽しい」


「え~、シィは……うーん……たしかに、がっこーまつりもたのしい!」


 シィの言葉の後に、レイス娘達が「祭りだ! 祭りだ!」と言いたげな様子で踊っている。可愛い。


「あはは、うん、いいね、旅行祭り! 僕も楽しみだよ。来週なら……うん、長く休んでも大丈夫かも!」


「よし、それじゃあその日程で行こう。イルーナ達も、そのつもりでな。学校の先生方には、こっちで挨拶しておくから」


 遠出をするとなると、この世界だとどうしても日数が掛かるからな。


 今回も飛行船で向かうことになると思うが、幸いローガルド帝国からエルレーン協商連合へ向かう航路は、半日も掛からないと聞いているので、一日か二日程度で済むだろう。飛行船が出来る前なら、さらにその倍は掛かっていただろうが。


 ……いや、言わば海外旅行な訳だし、それなら前世でも一泊二日とか二泊三日は不可能か。 


「わかった! あ、でも今、おししょーさん達、いないよ?」


「え、そうなのか?」


「うん! 何かの遺跡に、エミューと一緒に解析に向かったって聞いてるよ」


「へぇ……お師匠さんの仕事かね?」


 俺の言葉に、レイラが反応する。


「恐らく、そうでしょうねー。私が里にいた頃も、何度か師匠の助力を得たいという依頼が届くことがありましたからー」


「なるほどな……まあわかった、じゃあレイラ、そっちの連絡はお前に任せていいか? 俺はローガルド帝国に行って飛行船の状況とかを確認してくるわ」


「はい、お任せくださいー」


「儂らは、リウとサクヤが旅先で何が必要になるか、考えるとするかの。最悪、ユキがおればでぃーぴーでどうとでもなるじゃろうが、それに頼り切りになる訳にもいかんしの」


「そうっすね、そうするっすか」


「はい! 僕は、お出かけ用の服を用意してあげたらいいと思います!」


「はい! 泣いたらすぐあやせるように、お気に入りのおもちゃを用意してあげたいです!」


「……ベビーカー。あれは必須。外で見たことないけど、絶対便利だってわかる」


「えーっと、えーっと……はい! シィは、ふたりがりょこーいってもあんしんできるよう、こもりうた、おぼえます!」


 シィの言葉の後に、まずレイが「じゃあ私、ダンス覚える!」と言い、ルイが「だ、ダンス? じゃ、じゃあ私もそれ!」と言い、ローが「幻影魔法で、あやす特訓しないと」と言う。


「はは、ま、それじゃあ、それぞれで分担して、旅行準備するか!」



   ◇   ◇   ◇



 そうして、各々が旅行に向けて準備を始める。


 ああでもないこうでもないと荷物の用意を行う女性陣。


 今までとは違い、新しくリウとサクヤの分の荷造りがある訳だが、それが本当に楽しいらしく、皆でずっときゃあきゃあと仲良く楽しんでいた。


 何と言うか、女性陣の楽しみ方って感じだ。俺は完全に任せきってしまっているが、あの様子なら俺が手を出さない方が良いだろう。


 本当に色々用意しているようなので、その分荷物は多くなるだろうが、我が家に限ってはどれだけ荷物が多かろうが問題ないからな。


 荷造りしたバッグを、そのまま俺のアイテムボックスか、各々が持っている空間魔法が発動可能なポーチに入れるかすれば、完全に手ぶらで旅行が可能だ。楽なもんである。


 その間俺はというと、ローガルド帝国を訪れ、エルレーン協商連合に向かう飛行船の予約と、エルレーン協商連合大使館への連絡を行っていた。


 とっくに皇帝ではなくなった身だが、「俺達一般人だから関係ないし!」と連絡も無しに向かうのは、流石に良くないだろうからな。


 いや、俺としては本当はそうしたいし、気遣う方も気遣われる方も面倒だとは思うのだが、これは最低限の礼儀だろう。


 だから、こっちの様子を聞きがてら、ついでに現皇帝にも挨拶しようと思ったのだが、彼はもう目が回って吐き気を催すくらい忙しいらしく、「ユキ様がお呼びならば、恐らくお越しになると思われますが」とか言われたが、軽い言付けだけ残して遠慮しておいた。


 どうやら、皇帝として奔走しているようだ。倒れない程度にそのまま頑張ってくれ。


 ……礼儀を気にする魔王。微妙に小物っぽいな。


 まあいい、今の俺は、魔王兼保護者兼夫兼父なのだ。その四分の三の部分が、礼儀を気にするのだということにしておこう。


 その分、魔王の時は傍若無人となり、世界は阿鼻叫喚し、恐怖に包まれることになるだろう。フハハハ!


「何じゃユキ、阿呆っぽい顔をして」


「何でもない」


 そんなこんなでやって来た、旅行当日。


 俺達はローガルド帝国の発着場にて、乗船待ちをしていた。


 非常に多い人の出入り。

 もはやここは、この国の心臓部と言っても良いのかもしれない。


 巨大な全身に血を送り、頭脳を十全に働かせるための場所だ。


 ――ローガルド帝国とエルレーン協商連合は隣接しているため、飛行船で最短距離を行くと、五時間程度で着くことが可能らしい。


 それだけ近いせいで、例の戦争が起こる前は結構バチバチやっていて、それが理由で彼の国もまた参戦した訳だが、この二国間での戦争はもはや起こらないだろう。


 経済的な損失が、大き過ぎるからだ。


 そうなった場合、必ず他国の仲裁――特に魔界王が手を出してくるだろうな。


 他種族との交易地点という立ち位置になっているのはローガルド帝国だが、エルレーン協商連合は全ての飛行船の中継点だ。


 駅の数は他の国と比べて倍近くあり、それ故に、例えば直線距離ならローガルド帝国の方が近いが、一度エルレーン協商連合に寄ってから向かった方が最終的には早く着く、みたいなことも起こり得る。


 役割が違うが、どちらの国の航路ももはや、各国の経済圏に組み込まれているため、勝手なことをされては困る訳だ。


 少しずつ、だが確実に、この新体制も固まりつつあるのである。


「おっ、七番艦だ。あれが今回俺達の乗る飛行船だな。見ろ、リウ、サクヤ。あれが飛行船だぞ!」


 ベビーカーに乗せている二人に、飛んでいる飛行船を指差して見せる。


 なお、この世界にベビーカーなどというものは存在せず、故に大分奇異な目線を送られているが、便利なので気にせず使っていこうと思う。


 この世界でも流行ればいいな、ベビーカー。


 ちなみに、そこに乗っている二人だが、リウは耳をピコピコ動かし、周囲を警戒と不安と興味が混じったような様子で観察しており、そしてサクヤは全く気にせず寝ていた。


 どうやら今日のサクヤは、お眠らしい。本当に、赤子の段階で性格に差が出ている二人である。


 やっぱりリウは、獣人族の血を引いていて感覚が鋭いから、こういう変化を機敏に感じちゃうんだろうな。


「飛行船、また乗れるの、楽しみだねぇ!」


「ひこーせん、たのしいからね! まどに、かじりついちゃう!」


「……流れる景色を見ているだけで、一日過ごせる」


 待合所の窓から、ワクワクを隠せない様子で飛行船の様子を見ている少女組とレイス娘達。


「ウチはちょっと、二人が泣かないか心配っすねぇ。飛行船の中って、独特の空気と臭い、あと振動もあるっすから」


「あー、まあな。お前も前に酔っちゃってたし、特に感覚の鋭いリウが少し心配だな。サクヤは何か……意外と気にせずにいるような気もするが」


「リウは、耳も鼻も良いからのぉ。サクヤは良い意味で、ユキの鈍感さを引き継いでおるとは儂も思う。泣く時は普通に泣くが」


「そうだな、なんか気に入らなかったら力いっぱい泣くもんな、二人とも。そう言われると、ちょっと不安になってきたわ」


「あ、二人の泣き声対策なら、任せてよ! 僕、遮音結界張れるから、二人が共鳴して、もう爆音で泣きじゃくっても、外に音は漏らさないよ!」


「おっ、流石勇者様。頼りになるぜ。よし、その魔法を、『勇者の安眠魔法』と名付けよう!」


「いや遮音結界だって言ったけどね。でもそっちでもいいよ!」


「ネル、お主最近、はっちゃけ過ぎではないか……? 良いことではあるんじゃが」


「まだ足りないねー! ね、おにーさん!」


「うむ、勇者とは、それ即ち『はっちゃける者』という意味を持つとか持たないとか、伝承があったりなかったりするそうだ」


「あったりなかったりするんですねー」


「はいはい、とりあえずみんな、もう飛行船が発着場に到着するっすから、準備するっすよー」


「うーい」


『はーい』


 パンパンと手を叩き、みんなを纏めるリューに連れられ、俺達は乗船準備を始めた。

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こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
[良い点] サザエさんのエンディング風味な乗り込み具合。 [一言] この世界のご婦人方から見たら、奇異に見る前に有用性にすぐ気づくじゃろうて。
[良い点] みんな可愛い。 リューさんが完全に保護者と化してて成長を感じる……。 [一言] 今回も楽しく拝読しました。 次回の投稿も楽しみに待っています。
[一言] 誤字報告です、「あ、二人の鳴き声対策なら、任せてよ! 僕、遮音結界張れるから、二人が共鳴して、もう爆音で泣きじゃくっても、外に音は漏らさないよ!」 泣き声
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