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魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
子供

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閑話:戦争の火種は、無数に存在する

 続きが書き終わらなかったので一旦閑話。


 ――ダンジョンでの、ある日のこと。


 基本的に仲が良い少女組の中で、珍しいことにイルーナとエンが喧嘩をしていた。


「無し!」


「……有り」


「むむむ、エンは意志が固いことをよく知ってるけど、でもこれだけは言わせてもらうよ! エンのそれは、おかしいよ!」


「……いいや、我が家で食べる時に必ず一緒に出て来る。つまりそれは、一緒にあるべきものであるということに他ならない」


「でも、おにいちゃんは掛けないもん!」


「……レイラは掛ける」


 彼女達が言い争っている問題。


 ――からあげに、レモンを掛けるか否か。


 それは、世界を二分し、大戦を引き起こしかねない論争である。

 誰も彼もが己こそ正義であると信じ、己が主張を掲げ、それを譲ることはない。


 そう、世はまさに、からあげにレモンを許容する派と、いやいらないだろ派の二派閥による大戦争の時代なのである……!


 なお、この戦争の亜種として、目玉焼きソース醤油戦争や、きのこっぽい菓子とたけのこっぽい菓子戦争などが存在しており、世界とは火種で溢れ返っているのだ。


 と、その時、二人の言い争いを横で聞いていたシィが、彼女らに待ったを掛ける。


「はい! レモンよりも、シィはマヨネーズくんがいいとおもいます! マヨネーズくんは、さいきょーなので!」


「シィは何でもマヨネーズ付けたがりだから、論争に参加する資格はありません!」


「……同意」


「えー、ひどいなー、ふたりとも」


 ぶー、と唇を尖らせるシィだが、実際彼女は味が濃いものが好きなだけなので、論争に参加する資格はないのである。


「からあげは、それだけで完成されてるの! だから、そこにさらに別の味を足す必要はないはずだよ!」


「……その理屈はおかしい。それなら、白米も完成されているけれど、白米を白米だけで食べることは少ない。つまり料理とは、単体だけで考えるものではなく、組み合わせることで無限大の可能性を生み出すもの」


 と、そこで、再びシィが口を開く。


「はい! しろいごはんにあうのは、おかかのふりかけだとおもいます!」


「それは全然関係ないし、一番美味しいふりかけは鮭のふりかけだよ!」


「……それには異議がある。そもそもふりかけではなく、おかずと一緒に食べることが白米の味を最も際立たせる。でも、あえて言うなら、一番美味しいふりかけはたらこ」


「たらこは、なんかもう全部たらこになっちゃうよ! ふりかけって感じじゃない!」


「……むむ。それはそうかもしれないけど、でも美味しいことは間違いない」


「それは……そうだけどさ! わたしも好きだけど!」


「シィもすきー!」


 二人の熱を帯びた言い争いは、加熱していく。


 確固たる信念を持つ二人は、たとえ家族が相手でも、いや家族が相手であるからこそ、目を覚ましてほしいと、必死に言葉を紡ぐのだ。


「……こうなったら、仕方がない! おにいちゃん!」


「……そっちがその気なら、レイラ」


 そうして彼女らが呼んだのは、大人組の二人。


「えーっと……どうした、イルーナ」


「どうしましたかー?」


「おにいちゃん! エンがね、からあげにレモンは必須って言うの! おにいちゃんも、レモン掛けない人でしょ? だから、あのわからず屋にレモンはいらないって教えてあげて!」


「……わからず屋はそっち。レイラ、からあげにレモンは必須っていうこと、しっかり教えてあげて」


「いや、俺は別に、レモンあっても無くてもどっちでもいいんだが……」


「なるほど、わかりましたー。しっかりからあげにレモンの良さをお教えしましょうかー」


「お、おにいちゃん! そんなんじゃ負けちゃうよ! レイラおねえちゃんは、あんなにやる気いっぱいなのに!」


 慌てるイルーナを見て、ユキは若干戸惑いながらも、レイラに向き直る。


「お、おう。そうだな。わかった、他ならぬイルーナの頼みだ。――からあげにレモン! 問おうレイラ、何故と! からあげがあったらレモンと、みんな当たり前のように考えてるが、何故その二つをわざわざセットにするのか!」


「最初にからあげという料理を教えてくださったのはユキさんですし、その付け合わせとしてレモンを用意したのもユキさんですけどねー」


「そうだった。イルーナ、からあげにレモン、最初に用意したの俺だった」


「い、いや、でもおにいちゃんはレモン、掛けないでしょ!」


「それもそうだ。からあげは単体でも美味しいのに、わざわざレモンを掛ける必要はないはず!」


「ですが、レモンを掛けることによって酸味が加わり、味にキレが生まれるのですよー。確かに、レモンが無くともからあげは美味しいでしょうー。ですが、レモンがあることで、その美味しさがさらに際立つのですー」


「イルーナ、マズい。やっぱり負けそうだ」


「お、おにいちゃん!?」


「……主と言えど、たわいなし」


 ちなみに、その日の夕食はハンバーグであった。


 ハンバーグは至高。


 その点において彼女らは意見の一致を見たため、「人には人それぞれの好みがある。が、ハンバーグは美味しい」という結論に至ったことで、終戦した。


 こうして歴史に、からあげレモン大戦争の一幕が追加されるのである――。


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こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
赤ちゃん達が成長したらどっちに付くのかな。新しい派閥でも作るのかな。
[一言] 一つ目はそのまま、二つ目はレモン、三つ目はちょっとマヨネーズのせてな蝙蝠ですw 次は「目玉焼きに何かけるか」戦争かな?
[一言] その内ギョーザのタレは何派閥戦争も勃発してしまう。
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