表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
ダンジョン改造

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/613

閑話:両親へ

 イルーナの家族は、死んだ。


 人間達が襲いに来て、両親は彼女を守ろうと武器を取って人間と戦い、多人数が相手でも最後まで一歩も引かず――そして、死んだ。


 彼らがイルーナに宛てた最後の言葉。


「生きて……」

 

 (さと)い彼女は、両親が自分のために死んだことを理解していた。だからこそ、絶望の中を必死に逃げ、一縷も見出(みいだ)せない望みの中、ただただ両親の思いを踏みにじらないようにと身体に鞭を打ち、足を進ませたのだ。



 そして――両親の命を掛けた願いは、叶った。



 今の彼女の周りには、家族とも言える者達がいる。


 まず、ユキ――イルーナのおにいちゃん。


 優しく、面白く、イルーナに血を与えてくれる、大好きな人。イルーナのために色々気を遣ってくれ、「ありがとう」とイルーナの心の中でいつも思っている。

 

 血というのは、ヴァンパイアにとって『生』と同じ。生きる上で必ず必要となるものであり、故に神聖視すらされている。


 それだけ大切な『血』を、動物じゃなく人からもらうなら、お母さんにとってのお父さんみたいな人からにしなさい、とイルーナは教えられており、それがとても大事なことだということは彼女においても重々理解していた。


 だからこそ、自分を救ってくれた人が、自分のために血を分け与えてくれることが本当に嬉しくて、イルーナはすぐに彼に懐いてしまった。


 今では、彼と一緒にいると、とってもあたたかい気持ちになり、この上なく安心してしまう。


 そして、レフィ――イルーナのおねえちゃん。


 ちょっとおかしな口調で、おねえちゃんと言う割には子供っぽいところもあるけれど、でも困った時にはとっても頼りになる人。彼女のことも、イルーナは大好きだった。


 ちょっと前に一緒に暮らすことになった、レイラおねえちゃんとリューおねえちゃん。


 最初は、レフィおねえちゃんに『お妾さん』という言葉を聞き、それがどんなものなのかを聞いてちょっと怒ってしまったけど、でも二人ともすごくいい人で、今ではとっても仲良し。


 ペットのリルとシィもいる。あの子たちは、いつもイルーナの遊び相手になってくれて、ちょっと退屈だな、と思う時も、いつも楽しませてくれる。


 そんなみんなに囲まれて、イルーナはいつしか、毎日笑顔を浮かべていた。


 ――今日もここは楽しく、おとうさんとおかあさんがいなくなった悲しい気持ちを癒してくれます。


 だから、心配しないでください。二人のおかげで、今イルーナは、とてもしあわせです。



 ありがとう、おとうさん、おかあさん――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] ええ話やっっっ(号泣)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ