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魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
ダンジョンの日常 vier!!!!
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耳かきと尻尾かき


「よしレフィ! 来い!」


「…………」


「さあレフィ! 来い!」


「お主は先程から何をやっておるんじゃ?」


 怪訝そうな顔で、そう溢すレフィさん。


 床に座っていた彼女の横には、綺麗に畳まれた幾つかの洗濯物。


 もうレフィも、あれくらいの家事は余裕で出来るのだ。


「え、何って、ここんところ、代わりばんこでレイラ、リュー、ネルといたから。だから、次はお前なんだと思って」


「いや、別にとりわけ何かを決めておった訳じゃないんじゃが……」


「あ、そう。……それなら、今回は俺が甘えさせてもらおうかな!」


「わっ……全く、お主は」


 俺は、正座で座っていたレフィの膝上に、ごろんと頭を乗っけて横になる。


 柔らかい、太ももの感触。

 レフィの良い香り。


 すると我が嫁さんは、やれやれと言いたげな口調で、口を開く。


「ほんに、しょうのない奴じゃのう。……ついでじゃから、耳かきでもしてやろうか」


「お! じゃあ、是非頼む」


 一旦立ち上がったレフィは、近くのテーブルの引き出しから一式を取り出し、近くにティッシュを一枚敷く。


 そして正座で座り直し、ポンポンと自身の膝を叩く。


 促されるままに再度レフィの膝の上に頭を乗せると、彼女は耳かきを開始した。


 ジョリ、ジョリ、と耳の内側を掻かれる、こそばゆく、心地よい感触。


「ん……こういうの、本当に上手くなったよな、お前」


「時折、イルーナにもやっておるでな。お主の場合は鼓膜を突き破っても別に構わんが、間違ってもあの子に怪我はさせられん」


「おっと、旦那の耳も、もうちょっと大事に扱ってくれてもいいんだぜ」


「……ふむ。では、多少は慈しんでやろうかの?」


「へっ?」


 そう言って、レフィは。


 耳かきの棒を抜いたかと思うと――ペロリと。


 俺の耳を、ひと舐めした。


「うひぃあっ!?」


「おっと、耳かきの途中じゃ。危ないから動くでないわ」


 ニヤリと笑みを浮かべ、思わず身体を浮かせかけた俺を、無理やり再度寝かせる。


 力では、俺はレフィには逆立ちしても敵わないので、大人しく従うしかない。


 そして悪乗りしたコイツは、止まらないのだ。


 耳の形に合わせて舌を這わせ、耳たぶをカリッと甘噛みし、吸い、舌で転がす。


 丁寧に、丹念に、ゆっくりと。


 耳に掛かる吐息。

 ピチャピチャと、唾液に濡れる感触。

 

 ゾクゾクと、背筋が痺れる。

 身体が跳ねそうになる。


 脳みそが蕩けてしまいそうだ。


「うっ、いひっ、くっ」


「ほう、これは、なかなかクセになる舌触りじゃの。今後、小腹が空いたらお主の耳を食べるとしようか」


「そ、それで腹は膨れねぇだろうが!」


「しかし、がむを食べるような感じで、何となく腹が膨れそうな感じがあるじゃろう?」


 何を言ってんだお前は!


「うむ……ネルからの情報で、どうやらお主は耳が弱いらしいと聞いておったが。今後は、重点的にここを攻めるとしようかの」


 あ、アイツのせいか!


 ネルめ、余計なことを……!


「ほれ、反対側もやってやるぞ? 反対側を向け、ユキ」


「……い、いや、もう十分に、綺麗にしてもらったかなって」


「何を言うておる。耳かきは両耳をやらねば意味がないじゃろう? ほれ、はよう反対を向け」


 俺が逃げられないようがっちり片手で抑えながら、妖艶な笑みでそう言うレフィ。


 くっ……ま、まずい。

 このままでは、良いようにやられて、出来上がるのはぐったりした力のない魔王である。


 ……よ、よし。


 反撃だ。反撃しなければ。 


 俺は、頭をレフィの腹部側に向けると同時、手を伸ばす。


 掴むのは――尻尾。


「うにゃっ!?」


「おう、どうした? 耳かきの続き、するんじゃなかったのか?」


 一転攻勢。


 俺は、レフィの尻尾を弄り始める。


 スーッと指を這わせ、滑らかな感触を楽しみ。


 そして、左手で尻尾の先をスリスリと擦り、右手はレフィの服の中に入れ、尻尾と臀部の境目をさわさわと撫でる。


 ビクッ、ビクッ、と身体を反応させるレフィ。


 今度は俺が、彼女の膝上からニヤリと笑って見上げて、我が嫁さんは顔を赤くしてこちらを睨む。


「……へ、へんたい」


「いやいや、何を言いますか。我々、夫婦なので。これくらいのスキンシップは普通と言いますか」


「……そうじゃな。ならば儂も、すきんしっぷの一環として、耳かきを続けてやるとしようかの!」


 そう言ってレフィは俺に顔を近付け、再び耳を舐めてくる。


 同時に、耳から流れ、ペロッと頬までをも舐められ、俺の口から変な声が漏れる。


「うひっ……れ、レフィさん、そこは耳じゃないですよ」


「そうか? ではここか?」


 今度は首筋をツーッと舐められ、あむあむと咀嚼するように甘噛みされる。


 あごの裏に舌を這わせられ、思わずビクンと俺の身体が跳ねる。


「っ……じゃあ俺は、いひっ、お返しにもっと尻尾かきをしてやんねぇとな」


「何じゃ尻尾かきって――あにゅっ」


 そうして俺達は、互いに『耳かき』と、『尻尾かき』をし続け。


 ……我々の良くないところは、一つ熱中し始めると、互いに全く周囲が見えなくなるという点だろう。


「――ねー。イチャイチャするのは別にいいんだけど……もうそろそろ、イルーナちゃん達、戻ってくるよ?」


 呆れたような、ネルの声で我に返る俺達。


 頭が茹だり、全身が沸騰しそうになっていた俺に対し、潤んだ瞳でこちらを見下ろすレフィ。


「…………」


「…………」


 しばし見つめ合った後、俺とレフィは立ち上がり、無言で離れ、それぞれ別のことをやり始める。


 そんな俺達を、ネルは生暖かい目で見ていた。

 発売日が近いので宣伝をば。

 今作品の12巻が、11月10日に発売します!


 もう12巻だよ、12巻……いつもいつも、読んで下さり、本当にありがとうございます。

 どうぞよろしく!

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こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
[良い点]  レフィの「……へ、へんたい」で不覚にも萌えてしまった。  それにしても、レフィ回とリュー回のイチャイチャ度は他の二人とは一線を画しますね。  まあ一線を画すというか、実際に一線越えてます…
[良い点] 可愛い [一言] これを 読むと心がぽかぽかして癒やされる〜
[一言] あれ?続きは?
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