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魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
ダンジョンの日常 vier!!!!

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リルの変化《2》

 先に言っておくけど、今後一生、リルとリル一家が人化することはないよ笑


 リルはね、モフモフな狼だから良いのよ。

 モフモフに非ずんば、リルに非ず。これを標語に掲げてやっていきたいね!



 突如、リルの身体が光に包まれる。


 まるで空間から滲み出るかのように、空間から漏れ出た光がリルの身体に集まっていき――そして、変化は終了する。


「おぉ……」


 いつの間にか、リルは、透明な甲冑のようなものを身に纏っていた。


 馬鎧、というのだろうか?


 リルが付けるなら狼鎧だろうが、要するにそういう感じでデザインされた、単独ではなく上に誰かが乗る(・・・・・・・)ことを想定されている造りになっている。


 何か湯気のような、闘気のようにも見えるものがリルから昇っているが、これは魔力だな。

 可視化される程の、具現化された濃密な魔力で構成されているということだ。


 眼とか特に濃密だ。視覚の強化もされているのだろうか?

 多分、夜に見たら、目が火の玉にも見えることだろう。


 そして、鎧全体に走る、見たことのある紋様。


 ……鎧の形状から見ても、これは、俺の種族進化が影響を及ぼしたんだろうな。


 神槍の第三形態時と、よく似た意匠だ。

 なかなかスタイリッシュで、超カッコいい。


 次に俺は、まだ確認していなかったリルのステータスを見る。


「……すげー上がってんな」


 俺が覇王となった際に変化したのと、同じくらいリルのステータスが成長していた。


 強い。

 等級で言えば、恐らく大災害級に足を踏み入れたところか。


 大災害級である。

 災厄級の次に来る等級だ。


 ……まあ、災厄級と大災害級の間にはとんでもなくデカい壁がある訳だが。


 そして、ステータスの中に俺が見慣れぬものが、二つ。


 クラスの『覇狼』と、ユニークスキルの『荒神化』というものである。


 覇狼か……まず間違いなく、俺の『覇王』に呼応して、変化したのだろう。


 違いと言えば、成長幅は俺とほぼ一緒であるはずにもかかわらず、俺の方は説明欄にハッキリと『そこに至る者は、本来は、いない』と書かれているのに対し、リルの方は『だが、種の限界へは、未だ至っていない』と書かれていることか。

 

 以前レフィが言っていたが、ポテンシャルに関して言えば、やはり龍族並のものを有しているのだろう、フェンリルは。


 覇王になった俺に対し、リルの種族は変化無しのようだが、まあレベルが千に近いレフィが種族進化していない以上、百年とか二百年とか、それくらい経っても種族進化はしないんだろう。


 と言っても、種族進化に関しては、ポンポン変化する魔王の方がおかしいのだろうが。

 多分、ヒトの器で強さの限界を超えるためには、幾度もの種族進化が必要になるんだろうな。


 そして――『荒神化』というユニークスキル。


 確かに今のリルは、神々しさがある。

 元々リルは凛々しいイケ狼であるが、今の輝く超モフモフに、この圧倒される鎧。


 ウォーウルフ達が信仰し、そうではない獣人族でも気後れするだけの神聖さと、威圧感が、今のリルにはあった。


「荒神、か。メッチャカッコよくなったな、リル」


「クゥ……」


「ハハ、大丈夫だ、その力は俺達に害為すものじゃない。急だったかもしれんが、ただ力が増えただけだと思ってくれていい」


 これは、ルィン由来の力だ。

 あの神様が、何か大きなデメリットのあるものを残すとは、到底思えない。


 というか、そういうのがあったらちゃんと説明する神様だろう、あの人は。


 近い内、祭壇でも作って祭ろうか。


 あと、俺の方は神槍がないと変化出来ないが、リルの方は違うんだな。

 何か差があるんだろうか?

 

「クゥ?」


「おう、実は俺、種族進化してな。その関係でお前も変化したみてぇだ。今見せてやる。――レフィも、見ててくれ」


「む、わかった」


 俺は、アイテムボックスから神槍を取り出すと、唱える。


「命を謳え、我が槍よ」


 次の瞬間、以前と同じように槍が変化を始め、それに伴って俺の身体も変化を迎える。


 リルと同じような鎧が右腕に生成され、それが肩までを覆う。


 ……リルを見て気付いたが、改めて見ると、俺も闘気モドキが身体を覆ってるな。


「ほう……なるほどの。そっくりじゃ」


「……クゥ」


 リル奥さんの、「これは……凄まじいですね」という言葉に、レフィは頷く。


「うむ。元々あの槍は、儂を殺せる性能があったが、今はその力を十全に引き出しておるのがわかる。種族進化と合わせ、恐らく、大災害級。リルと共にあったならば……どこまでになるか、計り知れん」


「クゥウ」


 レフィの言葉に続き、「大概の生物は、気配だけで周辺から逃げ出すでしょうね。何も知らなければ私も、間違いなく避けていたでしょう」と、リル奥さんが鳴く。


「実際、この森の生物も、すでに周辺から軒並み消え去っておるな。……ユキ、この後は大丈夫か? 本格的に、気配を紛らわせる方法を教えよう」


「あぁ、是非とも頼む」


 ホントに、どこにも行けなくなっちまうからな。

 

「クゥ?」


「おう、向こうで俺は、ルィンっていうこの槍に入っていた神様に会ったんだ。もういなくなっちまったが……こうして力をくれてな。俺は種族進化を果たして、お前もまた、クラスが上のものに変化したんだろうよ」


「……クゥ」


 俺の言葉に、「神、ですか。……あなたは、相変わらずですね」と、ちょっと呆れたような苦笑を溢すリル。


「クク、ほんにそうじゃな。此奴、外に出れば、必ず騒動を起こしておるからの。これから此奴に付いていく時は、互いに一層注意を払わねばな」


「い、言っておくが、俺の方から何かしたことなんて、ほとんどないからな? 巻き込まれたものがほとんどであって」


「じゃが、今回はお主が原因で起こったことじゃな」


 ……まあ、そうなんだが。


 俺は、誤魔化すように一つ咳払いし、言葉を続ける。


「それより、他のペットどもは、お前みたいに変化したのか?」


「クゥ」


 リルは、「いえ、自分だけです」と答える。


 ……得た力を分散させず、ダンジョンがリルのみに注ぎ込んだ、って感じか?


 ウチの防衛の要は確かにリルなので、その判断は正しいだろう。


 量より質、というのはこの世界における真理の一つだ。

 数を揃えるよりは、圧倒的な個を用意する方がこちらの世界では強い。


 そのことを、ダンジョンも理解しているのだ。


「そうか……リル、どうやら俺らは、神族にとっての後輩に当たるらしいぜ。お前も、ダンジョンから生まれた魔物だから、立場的には神様達と同じだろうし」


 そういう意味では、俺とリルは同じ存在だ。

 両者とも、ダンジョンによってこの世に生み出されたのだから。


「神族の後輩か。これでまた一つ、お主の肩書が増えた訳じゃな」


「……クゥ」


「クゥガウ」


 リル奥さんの「何と言うか……すごい方ですね、ユキさんは」という苦笑交じりに言葉に、リルが「この人はいつもこのような感じだ。慣れた方が良い」と答える。


「カカ、ここにおれば、嫌でも思い知るじゃろうよ、リル妻よ。お主も、難儀なところへ来てしもうたな」


「……クゥウ?」


「いや、まあ……そうなのじゃが」


「クゥ」


「……言うではないか、お主も。全く、これじゃから長命種は。……リルは少々気苦労が多く、生き方が不器用じゃから、その調子で支えてやるんじゃぞ」


「クゥウ」


 ちょっと気恥ずかしそうに、頬を赤くしながらそう言うレフィに、リル奥さんは楽しそうな様子で、上品に笑って頷く。


 その間、俺とリルは何も言えないので、お互いの顔を見て曖昧に笑うのみである。


 我が家は女が強いが……リル一家も、同じになりそうだ。


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こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] そういえば、リルの奥さんの名前は?
[一言] ”ペットども„ と言い方は好きになれない せめて”ペット達„又は”リル達„だと思う でも本当に家族って思ってるなら”ペット„ って言わないけどね… ”家の子(リル)達„って言うかな普通は…
[一言] かかぁ天下で笑って尻に敷かれる家は安泰じゃ( ´∀`)
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