命を紡ぐ《3》
覇王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする、略して『はおほの』、始まります!(始まらない)
名:ユキ
種族:覇王
クラス:?域へ?る者
レベル:214
HP:999086/999086
MP:1960349/1960349
筋力:20029
耐久:24870
敏捷:24005
魔力:58651
器用:46274
幸運:120
固有スキル:魔力眼、言語翻訳、飛翔、不屈、王者の威圧、精霊魔法
スキル:アイテムボックス、分析Lv.10、体術Lv.6、原初魔法Lv.8、隠密Lv.6、索敵Lv.7、剣術Lv.5、武器錬成Lv.8、魔術付与Lv.10、罠術Lv.6、大剣術Lv.8、偽装Lv.7、危機察知Lv.7、舞踊Lv.3、意識誘導Lv.4、毒耐性Lv.4
称号:異世界の魔王、覇龍の飼い主、断罪者、人類の敵対者、死線を潜りし者、龍魔王、覇龍の伴侶、精霊王が認めし者、魔帝、覇者たる王
まず、クラスが読めなくなっている。
これもまた、今の俺には見る資格がないということだろう。
まだまだ今の俺では、足りないと言われているようだ。
そして――『覇者たる王』という、新たな称号。
覇者たる王:大いなる魔が力を肉体に有し、ヒト種において並び立つ者の存在しない覇者。そこに至る者は、本来は、存在しない。
「……本来は存在しない、か」
もうここまで来ると、数値を見てもよくわからなくなってくるが……もしかすると俺は、ヒト種の中で最もステータスが高くなったのかもしれない。
この種族、そして称号が示すことは、そういうことなのだろう。
故にこの魔王の肉体は、より相応しい『覇王』なんて種族に変わったのだと思われる。
……ま、あくまでヒト種の中で、という括りは変わらんだろうがな。
これでもまだまだ、魔境の森にて最も魔物の強い、西エリアを攻略することは出来ないだろう。
以前よりは、もっと奥地まで入って戦えるようにはなっているだろうが……その見極めは行わないとな。
本物の龍族のような規格外にはまだまだ勝てないだろうし、首を飛ばされたら生物は死ぬ。
この世界は過酷である。
俺はもう、俺だけの命ではない。
気を抜いては、ならないのだ。
ただ――また一歩、レフィに近づくことが出来たか。
今回種族進化をして、それが、俺は何よりも嬉しい。
「……それにしても覇王か。レフィと一緒に、世紀末覇者みたいになっちまったな」
帰ったら、七つの傷を持つ男ごっこでもするか。うん、そうしよう。
そんなことを思いながら、俺は自身の肉体を見る。
初めて種族進化をした時と同じく、特に外見に差異はない。
自らの肉体に、以前よりも魔力が満ち満ちているのはわかるが、それだけだ。
が、俺の身体の部位は、まだある。
俺は、消していた翼を背中に生やす。
二対だった翼は……おわっ、三対になってんな。
一対目はコウモリだかドラゴンだかわからないような翼で、二対目は悪魔っぽい禍々しい翼で……この三対目は、骨っぽいな。
黒の、骨の翼。
飛膜はボロボロで、というかほぼ無いに等しい。もうほぼ翼の役割を果たしてないぞ、これ。
髑髏状態の、ルィンから力を貰ったからだろうか。
禍々しくて大分カッコいいが、ぶっちゃけ俺は超好きだが、どう見ても主人公とかではなく悪の親玉が生やしているような翼である。
うーん、勇者がいたら討伐されちゃうね、これ。確実に。
今の勇者は俺の嫁さんだけど。
一つ苦笑を溢し、次に左手の神槍を見る。
俺が知っているのは第二形態までだが……現在のこの槍は、第三形態となったこの槍は、俺の知っているものよりさらに荘厳さが増していた。
薙刀のような槍身全体に、今までなかった何か紋様のようなものが走っており、それが淡く輝いている。
全体的に、一回りデカくなっただろうか。
そして、その紋様は槍のみならず俺の腕までをも走って、肩まで到達しており、こちらもやはり淡く輝きを放っている。
一見すると、神槍が俺の腕を浸食しているようにも見えるが、これはそうじゃない。
俺を保護し、力を与え、槍を十全に扱えるようにするための『強化外骨格』といったところだろう。
以前の戦争の時のように、勝手に俺の魔力を吸い始めることは、もう二度とないはずだ。
あれは外から無理に力を込め、強引に扱っていたようなものなので、言ってしまえば俺の扱い方が悪かっただけだと今ならばわかるのだが……ったく、あの時は本当に酷い目に遭ったな。
パンドラの箱を開けることにビビりまくっていたが、まさか槍の先にいたのが、あんな茶目っ気のある愉快な神様だったとは。
過去を思い出し、思わず笑みを浮かべながら俺は、分析スキルを発動して神槍を見る。
神槍ルィン:魔の神ルィンが、自らの魂の欠片を用いて生み出し、鉄の神ドヴェルグによって完成した槍。その槍に貫けぬものはなく、ただ真っ直ぐに全てを穿つ。今槍は、次代に引き継がれた。
品質:???
以前は全てが文字化けして全く読むことが出来なかったが、今は読めるようになっていた。
鉄の神ドヴェルグ……そう言えばシセリウス婆さんが、神槍と神杖を見比べた時に、武器の意匠が同じだと言っていた。
ルィンは、神の名が付く武器はそれぞれの神がそれぞれの力で生み出したと言っていたので、そこを不思議には思っていたが、もしかすると武器を武器としての形にしたのは、鉄の神によるものだったのかもしれない。
そう、様々な変化について思考を巡らしていると、右手に握っていたエンが念を飛ばしてくる。
『……主、魔力の質、変わった?』
「おう、実は今、神様と話しててな。その神様が、力をくれたんだ」
『……そうなの? すごい、エンも神様とお話したかった』
「残念だが――本当に残念だが、もういなくなっちまったんだ。俺も、もっと話をして、色々と聞きたかったよ」
エンに言葉を返しながら、俺は神槍の魔力を散らし、第二形態、第一形態へと戻す。
ん、本当に扱いが簡単になってるな。
前は、魔力を散らそうと思えば常に暴発する危険性があったのだが、もうそんなことは起きないだろう。
――ありがとうな、ルィン。アンタの力は、今後も使わせてもらうよ。
神槍をアイテムボックスの中にしまい、エンの刀身を肩に担ぐと、事が終わったことを察したのか、後ろに下がっていた三人がこちらまでやって来る。
「おにーさん、その三対目の翼……もしかして……」
「種族進化、っすか?」
「あぁ、覇王になった。種族『覇王』って何だって感じではあるがな」
あと、翼が増えるの、ここで打ち止めだと助かるところである。
魔王の肉体だと、この先また種族進化する日は訪れそうだし……四対目以上は流石に邪魔だろう。
いや、まあ、覇王なんて種族にさらに先があるのかどうかは知らんが。
俺の言葉に、ネルが圧倒されたような表情になる。
「覇王……レフィと、同じ領域……」
「言っておくがネル、今の俺が百人いてもアイツには勝てないから、決して同列ではないぞ」
第三形態の神槍を構えた俺百人なら、と思わなくはないが、つまりそれだけしないと勝ちが見えないような、レフィは規格外の存在なのである。
思うんだが……アイツなら、ルィンに見せてもらった神々の戦いに加わっても、普通に生き残って勝ちそうだよな。
つか、たとえ俺がどれだけ強くなって、どんな武装をしていようが、根本的に俺はレフィには敵わないので、何百何千と俺がいても勝利するのは無理か。
「……でも、そういう存在と比較されるような世界に、ご主人は足を踏み入れたってことっすよね。何と言うか……本当に、すごいって言葉しか出て来ないっす」
『……ん。主はいつでもすごい』
「おう、ありがとな。まあでも、こんなのはただの数字だし、油断すると良くないのはわかってるから、いやもうホントに身に染みてわかってるんで、気を付けます……」
「うーん、一気に覇気がなくなったね」
「フフ、覇気がない覇王とは如何にって感じっすけど、まあそれがご主人っすからね!」
「ぐっ、リュー、い、言うじゃねぇか……」
『……どんまい、主』
と、気の抜けた話をしている俺達の横で、真剣な表情を崩していないドワーフ王が口を開く。
「……神は何と?」
……やっぱり、ドワーフ王は何かを知ってるんだな。
「ん、俺のやりたいようにやって、命を全うしろと言われたよ。俺がどういう存在で、この世界が何なのかってのも教えてもらった。ドワーフ王、アンタが知っていることを聞いてもいいか?」
「うむ……儂が知っていることは、全て話そう。とりあえずお前さんら、ここから戻ろうか。儂はこの熱にも慣れておるが、お前さんらにゃあ、ちと熱いじゃろう」
「む、それもそうだな。よし、一回戻ろう――」
そう言って一歩を踏み出そうとした瞬間、俺の身体は俺の意思とは反して上手く動かず、フラッとその場に倒れそうになる。
「! おにーさん!」
「ご主人!」
慌てて手を伸ばしてきたネルとリューが両側を支えてくれたおかげで、転倒を避けることは出来たが、身体が思うように動かない。
足がグラつく。
歩くという動作が、上手くいかない。
まるで借り物であるかのような、他人の身体を動かしているような気分だ。
驚いた。
疲労とかを感じている訳ではないので、全然わからなかったが……まだ肉体が、この変化に馴染んでいないということか。
……無理もないな。
幾ら変化しやすい魔王の肉体とて、今回の急激な変化を受け入れるには時間がかかるということなのだろう。
前回は、寝てた時に勝手に種族進化していたので、それを感じなかったのか。
しかも、能力値の急激な上がり具合は、確実に前回以上だしな。
そう言えば、ウチにやって来たクソ龍をぶっ殺した時も、こんな感じで上手く身体が動かなかったっけか。
「……すまん、ドワーフ王。話はまた明日聞こう。今日はちょっと……無理かもしれん」
「……そうじゃな、その方が良かろう。嬢ちゃんら、儂が変わろう」
「悪いな、助かるよドワーフ王」
そうして俺は、ドワーフ王に肩を貸してもらいながら、祠を後にしたのだった。
『ド?ヌス?の??』
ウチで神話の話を聞いた際、出て来たこの表示。
何なのかわからない、千年溜め続けても届かないであろう、莫大なDPを要求するコイツ。
今も、その文字は変わらない。
まだ俺には資格が足りていないようで、依然文字化けしたままだ。
しかし、もう、答えはわかった。
恐らくここに入る文字は――『ドミヌスへの昇格』。
ダンジョンは、成長すれば、最終的にドミヌスへと至るのだ。
ステータス……どうにか書いてみたけど、整合性が取れてる気がしねぇ!
これ忘れてるよ! とか、これちょっとおかしいよ! っていうのがあったら、遠慮なく言ってもらえると助かりやす。いや、マジで。




