閑話:クリスマススペシャル2020
みんなが色々と意見をくれる中、そんなことなど全くお構いなしに入るクリスマス閑話。
……季節ものだからね! 仕方ないね!
「――さあ、大人達よ。今年もこの季節がやって来た! 気合を入れていくぞ! ネル、レイラ、晩飯の準備はどうだ?」
「下拵えはバッチリ終わってるよ!」
「ケーキの用意ももう少しで終わりますよー」
「よし、リュー、バーベキュー場の準備はどうだ?」
「はい、こっちもバッチリっす! あとは炭に火を入れるだけっす!」
「素晴らしい。覇龍サンタ、お前はどうだ? プレゼントは?」
「うむ、しかと全て確認してあるぞ。要望通りのはずじゃ」
「了解だ。そして覇龍サンタ、本番でボロを出さないように、サンタ口調のリハーサルどうぞ」
「フォッフォッフォ! 儂が覇龍サンタじゃ! 一年間良い子にしておったお主らに、プレゼントを持ってきたぞ! ……儂は、いったい何をやっておるんじゃろうなぁ」
「お前が鹿は嫌だって言うから、サンタ役をプレゼントしたんじゃないか。代わりに俺とリルが鹿になるんだぞ? なぁ、リル」
「いや、まあ、それはそうなんじゃが……あとリル、前々から言っておるが、お主も嫌なら嫌と、はっきり言って良いんじゃからな? この阿呆の遊びに、律義に全て付き合う必要はないんじゃぞ?」
「クゥ……」
「はいはい、二人とも、リル君困ってるからそこまでにしてあげなよ」
「リル様は、相変わらず不憫っすねぇ……」
「フフ、仲が良くて何よりじゃないですかー」
――今日は、クリスマスである。
幼女達が外で遊んでいる内に、大人組でクリスマスパーティの準備だ。
飾り付けは、一週間前くらいに全員で行っているので、現在ダンジョン内はクリスマス仕様となっている。
草原エリアに雪を降らすかどうかもちょっと迷ったのだが、今日は外でバーベキューをする予定なので、やめた。確実に寒いだろうからな。
また後日、雪遊びをしようと思う。
クリスマスの夕飯にバーベキューってのはどうなのかと思わなくはないが、これは幼女達の希望だったりする。
彼女らにどんなご馳走がいいかと聞いてみたところ、満場一致でそれがいいと返ってきたのだ。
以前やった時は、クリスマスっぽくターキーとかそういう料理を用意したのだが、どうやらバーベキューならそういうものも全部一緒に楽しめるという魂胆であるらしい。
まあ、確かにターキーとかもその場で焼けば見た目も華やかだろうし、クリスマスっぽい料理であるローストビーフとかパエリアとかも用意しておけば一緒に食えるしな。
勿論、通常の焼肉や焼き野菜、海鮮もアリだ。
そういう意味では、幼女達も良い選択をしたと言えるだろう。
我が家でやるイベントごとにバーベキューは付き物だし、俺らも好きだから、普通に嬉しいしな。
ちなみに現在俺達がいるのは、草原エリアの一画に造った、ふた月に一回くらいの割合で使用しているそのバーベキュー場だ。
今回、新しくモミの木をダンジョンの機能によって近くに生やし、我が家のペット達にも協力させながら、デカいクリスマスツリーを完成させた。
俺の思い付きや、イベントに合わせ、どんどんダンジョンの防衛とは全く関係のないものが追加されていくが、今更だから気にしないでおこう。
「予定時刻まで、残り三十分だ。お前ら、今日を楽しみにしていた幼女組を――」
――と、大人組で気合を入れていた時だった。
突如、パァン、と数発のクラッカーが鳴らされ、紙吹雪と紙テープが辺りに舞う。
驚きながら、俺達が振り返ったそこにいたのは、サンタコスに身を包んだ幼女達。
「めりーくりすまーす!」
「くりすまーす!」
「……めでたき良き日」
ニコニコ顔の幼女達の横で、元気良く飛び回るレイス娘達。
レイス娘達は、クリスマス用の特別人形に憑依しているようだ。
「お、おう、どうしたんだ、お前ら? ご飯はもう少しだけ先だぞ?」
「よくぞ聞いてくれました! わたし達は……えっと、何だっけ?」
「ごはんがたのしみーズ、だよ!」
「……違う。幼女サンターズ。ご飯は楽しみだけど、シィはそれに意識が行き過ぎ」
「あっ、そうだっタ! シィたちは、サンタさんなのです!」
「そうなの、今日はサンタさんなの! いっつもおにいちゃん達に、色々してもらう側だからね! だから今日は、逆にわたし達がサンタになって、幸せを届けるの! 具体的には――歌います!」
「いっぱいれんしゅーしたよ!」
「……練習も楽しかった。レイスの子達と、ペット達が協力して演奏してくれる」
エンの言葉の後、待機していたらしいペット達が、各々タンバリンやマラカス、シンバルらしきものを足で掴んだり咥えたりしながら奥から現れ、そして俺達と共にいたリルもまたそちらに参加する。
どうやらリルも幼女達の企みに参加していたようだ。
うわ……マジか。
最近、よく歌ってるなとは思っていたが……このためだったのか。
実際に彼女らが何かをしている様子を見ていたため、それが俺達のためにやっていたことだというのがわかり、現時点で言葉にならないような嬉しさが胸の内に込み上げてくる。
それは俺以外の大人組も同じなようで、皆嬉しそうな、幸せそうな顔をしていた。
あと、ペット達よ。
お前ら、本当に器用で何でも出来るな。
ダンジョン防衛とは無関係のことにいっつも協力してくれて、ありがとうな。
「さ、おにいちゃん達は、そこに座って! ご飯の準備は、この後に一緒にするから!」
「エンちゃん、きょくめいを、どうぞ!」
「……ん、一曲目は――」
そして、幼女達によるクリスマスライブが開始した。
本当にしっかりと練習したらしく、歌自体は勿論、ハモリも完璧で、合間に入る振り付けも非常に可愛らしいものだった。
何より本人達が楽しそうにしているのがよくわかり、故に自然とこちらも、どうしようもなく楽しくなってくるのだ。
レイス娘達とペット達による演奏もまた、文句の付けようもない素晴らしさで、大人組は手拍子をしたり、拍手をしたり、歓声をあげて目一杯に盛り上げる。
そうして俺達は、クリスマスを過ごす――。
今年はこれで最後。
来年は正月閑話を一つ書いてから、まだスッキリしていない部分をスッキリするよう続きを書こうか。
今年もありがとうございました! 来年もどうぞよろしく!




