閑話:ダンジョンの夏休み《1》
いつもいつも、たくさんの感想をありがとうありがとう。
――真・玉座の間にて。
皆と共に朝食を食べながら、俺は言った。
「諸君――今日は、海水浴に行こう!」
「ふあ……む? 草原えりあに新たに海でも追加するのか?」
眠そうに一つ欠伸をしながら、そう問い掛けてくるレフィ。
「いや、幽霊船ダンジョンの方を整備してたら、いい感じの綺麗な浅瀬を見つけたんだ。せっかくだから、みんなで遊ぼうと思ってな!」
「海水浴かぁ……おにーさんと一緒に行った海、楽しかったなぁ」
以前、二人だけで海で遊んだのを思い出したのか、途端にニコニコするネルに、リューが羨ましそうな様子で口を開く。
「む、いいなぁ……ウチ、海行ったことないから、泳げるかわかんないんすよねぇ」
「あ、じゃあ僕が教えてあげるよ。大丈夫、そんなに難しくないから」
「プカプカうけば、らくしょーだヨ! リューおねえちゃん!」
「シィちゃん、ウチらの身体は、シィちゃん程浮かないんすよ……」
シィのスライムの身体は、水より密度が小さいらしく、メッチャ浮くもんな。
今の人型形態の時とかはそうでもないんだが、スライム形態の時はむしろ潜れない。
一緒に風呂に入ると、楽しいのか、スライム形態に戻ってよく水面でデローンと脱力している。
溶けてんじゃないかと、見ていて微妙に不安になるんだよな、あれ。
「かいすいよくー? って、泳ぐのー?」
「……泳ぐのは、楽しい」
「あぁ、いっぱい泳いで、色んな遊びをするんだ! 見ろ、全員の水着も、すでに用意してあるぜ!」
「それはそれで、少々気持ち悪いんじゃが……」
人数分の水着をアイテムボックスから取り出すと、呆れたような顔でそんなことを言ってくるレフィ。
「勿論これが気に入らなかったら、他の水着も出してやるぜ! DPカタログは無限大だからな、どんなニーズでもお答え出来ましょう! フーハハハ!」
「お主がとても海水浴に行きたいことはわかったが、とりあえず飯時に出すでないわ。行儀が悪いぞ」
「あはは、それじゃあ朝ごはん食べたら、みんなで準備しよっか」
「了解っす、お出掛けの準備っすね!」
「あら、ではお昼はお弁当ですねー。晩ご飯は……」
「晩は、バーベキューにしよう。やっぱ外で食べる時は、バーベキューしないとな!」
「やったぁ! お肉いっぱい食べたい!」
「……バーベキューは、素晴らしい」
「エンちゃん、おにくだいすキだもんね~。シィもすきだけど!」
「ふむ、バーベキューは良いの。焼くのは同じじゃろうに、何故ああも美味く感じるのかの?」
「俺も詳しくは知らんが、炭火がいいらしいぜ。肉汁が肉の中に留まりやすいらしい」
そうワイワイと騒ぎながら、俺達は朝食を進めた。
当日に行こうと言って、行けるこの楽さ。
これがダンジョンの利便性の良さよ……全国の父親が嫉妬しちゃうね!
* * *
それから、何だかんだと準備を終えて一時間後。
「……素晴らしい」
移動した浅瀬で俺は、眼前に広がる光景に、感動して打ち震えていた。
セクシーな、ビキニを着込んだ大人組。
フリフリの、可愛い水着を着た幼女組。レイス娘達もまた、おニューの水着人形に憑依し、皆と同じように海気分を満喫している。
幼女達はもう可愛さが天元突破しているし、大人組も色気がヤバババで言語野が著しく低下しそうになるし、色々と半端ねぇ。
そう、半端ねぇ。半端ねぇのだ。
桃源郷は、ここにあったのだ……!!
「ほれ、着てやったぞ。全く……下着みたいな服じゃの。どうじゃ、ユキ」
俺が言語野に莫大なダメージを負っていると、全裸を見られても全然気にしないくせに、少し恥ずかしそうにしながらそう聞いてくるレフィ。
「すげー綺麗だ。最高過ぎる。皆メチャクチャ似合っててもうヤバい。マジで」
「……す、素直に褒められると、それはそれで気恥ずかしいものがあるの」
「えへへ……おにーさんも、よく似合ってるよ!」
「知ってはいたっすけど、ご主人は結構いい身体してるっすよねぇ。細身で、それでいて程良く筋肉質で」
「あ、リューもやっぱりそう思う? いいよね、特におにーさんのこの腹筋!」
「うむ……同感っす。これは素晴らしいものっす」
ツンツンさわさわと、俺の腹筋や脇腹を触ってくるネルとリュー。
「あっ、ちょ、お前ら、あははは! や、やめろって」
「まあまあ、そう言わずに!」
「そう言わずにっす!」
「くっ、ひひひ、い、いいだろう、そういうことをしてくるなら、俺にも考えがある。人の身体を触る時は、自分の身体を触られることを覚悟して触ることだ!」
「何それ――ってあははは! ちょっとおにーさん、く、くすぐったいよ!」
「ひゃんっ、ご、ご主人、うひひひ、負けないっすよぉ!」
俺は仕返しに彼女らの脇腹や腹筋を弄り回し、彼女達の柔らかい身体を思う存分に堪能する。
うむ……うむ。
今日は素晴らしい日だ。
「レイラ、お主、やはり抜群のぷろぽーしょんをしておるのぅ。ちと、羨ましいぞ」
「私よりは、レフィ様の方が均整に整った身体付きをしていらっしゃると思いますよー? ……それにしてもこの恰好、流石に少し、恥ずかしいものがありますねー」
幸せな攻防を嫁さん達と繰り広げていると、そう会話を交わすレフィとレイラ。
確かにレフィの言う通り、水着になると、こう……レイラのアレの凄さがわかる。
加えて、普段冷静沈着な彼女が白い肌を赤くし、着慣れぬ水着にちょっと照れている様子も非常に素晴らしい。
今日俺、素晴らしいばっか言ってるわ。
「あ! おにーさん、視線が嫌らしいよ! レイラの胸の方ばっか見て!」
「むむむ……やっぱりレイラのおっぱいは、反則っす」
「い、いや、そんなことは……ないぞ」
バレている。
吸い寄せられそうになる視線を、意志の力で抑えていたつもりだったのだが……けど、仕方ないだろう。
リューの言う通り、アレは反則だ。
男なら絶対誰だって見てしまうだろう。
――と、そんな感じで大人達で盛り上がっていたのだが、逆に幼女達には少し退屈させてしまったらしい。
イルーナが俺の手をクイクイと引っ張って、口を開く。
「ねー、早く海いこー? もう待ちきれないよー!」
「うーん、きれいなとこロだね~」
「……いっぱい泳ぐ」
「あぁ、ごめんごめん。それじゃあ、海に入る前に、怪我しないよう準備運動するぞー!」
「「はーい!」」
「……はーい」




