表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王になったので、ダンジョン造って人外娘とほのぼのする  作者: 流優
龍の里

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

323/613

確執

 コミックの方、さらに重版して三刷りしていただいたようです。

 ありがてぇ、ありがてぇ……こっちも頑張らなければ。最近投稿遅めだからなぁ。


 というか、三刷りって結構すごくないか?

 漫画描いていただいてる作者さんには、頭が上がらんな……。



 しばしの間、挨拶を交わしたり酒を酌み交わし、大酒飲みの龍族達に呆れたり笑ったりしながら、宴を過ごしていた時。


『龍王よ。一つ、聞いてもらいたい』


「ん、何だ」


 そう言葉を返すと、ローダナスは酒に酔った赤ら顔ながらも、少し真面目な顔――龍族なのでそこまで表情の差異がわかる訳ではないが――を浮かべ、言葉を続ける。


『今後、もし里の外で龍族の若い者を見かけることがあれば――そしてその者が暴れてるようなら、少し、声を掛けてやってほしい』


「? 声を掛ける?」


『うむ。お前さんの出来る範囲でいい。あまり、外界の者達に迷惑を掛けるな、とな。龍王であるお前さんの言葉ならば、彼奴らも耳を傾けるであろう』


 と、俺の膝上を陣取り、俺達に身体を預けて眠ってしまったエンの頭を撫で、機嫌良さそうにしていたレフィが、ス、と鋭くさせた視線をローダナスへ向ける。


「勝手なことを言うでないわ。そのような面倒ごと、お主らがやればよいじゃろう。何故儂の旦那がお主らの尻拭いをせねばならん」


『うむ、尤もな言葉である。故にこれは、老龍の戯言(たわごと)として聞き流してもらって構わぬ』


 ローダナスの言葉に、尚もレフィは言いたいことがありそうだったが、しかし俺は彼女の肩をポンと叩いて止め、彼に向かって言った。


「とりあえず、どういうことなのか教えてくれ」


『感謝する』


 小さく頭を下げてから、ローダナスは話し始めた。


『そうじゃのう……まずは、この里の問題について話そう。儂ら古龍の年寄衆と、古龍にまで至っていない若い衆には、少し確執がある』


「確執?」


『うむ。儂ら年寄が日々に安寧を求め、逆に若い衆は日々に変化を求めるという、差異から来る確執だ。若い衆はこの里の在り方に不満を持ち、その原因である儂らに反発する。若い衆の(みな)がそうという訳ではないが……我慢ならなくなった者は、この里から出て行ってしまうのだ』


「……なるほどな」


 言っていることは、わかる。


 それは別に、龍族に限らずとも、似たようなものだろう。

 勿論例外はいるだろうが、基本的な在り方として、老いた者は安寧を求め、若者は刺激を求めるものだ。


 だが――龍族と他の種族の決定的に違う点としては、龍族は歳を取るにつれ(・・・・・・・)強くなる(・・・・)、ということか。


 この世界だと、生きた月日に比例して肉体がどんどん魔素に順応していくため、強くなっていくのだ。


 龍族の年寄衆が、『古代龍』ばかりになるのはそれが理由だと、レフィから聞いている。

 元々別の種族の龍だったところを、魔素に順応することで種族進化し、古代龍へと至るのだ。


 レフィが龍族の中でも圧倒的な、圧倒的過ぎる強者である理由は、彼女だけ生まれた時から古代龍であり、つまり元々魔素との親和性が非常に高い肉体を持っているため、そこから際限なく魔素に順応していったが故に現在の強さになっている訳だ。

 

 要するに何が言いたいのかと言うと、この里を動かす力を、強者である年寄衆が実質的に握っているのだろうということだ。

 故に外に意識が向いている若い衆と、内に意識が向いている年寄衆で求める在り方が分かれてしまう。


 別に、年寄衆が何かを強制したりしている訳ではないのだろうが……それでも若いヤツらは、不満を覚えるのだろう。


 龍族がどうのというより、長命種故の、問題か。


『レフィシオスのように、理を内に宿して外へと出るのならば別に良いのだ。好きなことをし、好きなように生きれば良い。だが今回、多くの若い衆が里から出てしまい、その中で数体心配な者がおることも事実でな。特に、ギュオーガと親しかった者達に、他種族を見下す傾向があってのう』


 いつかのクソ龍の一派か……迷惑なもんだ。

 思い通りにならなかった世界から、何でも自分の思い通りに出来る世界に出たことで、力に酔い痴れ暴れまくる、と。


 確かにありそうな話である。


「アンタらが、その心配なヤツらを自分達で連れ戻さないのは、昼間に言っていた、龍族という種全体の危機に繋がるから、か」


『うむ、そういうことだ。……それに、儂らが外に出て連れ戻すとなると、恐らく戦闘になる。儂らが暴れた場合など、文明が簡単に滅び去る。儂らは、手加減が出来ん。実際幾度か、龍族が原因で滅んだ文明があってな。そのような力は、簡単に振るうべきではない』


 お、おう、まあレフィも最初は力の加減に四苦八苦して、無数の皿を割ったしな。


 手加減出来ない龍族が暴れたらそりゃあ、ヒト種なんてひとたまりもないだろう。

 古代龍なんて、生物型核兵器みたいなもんだ。それはもう簡単に死の大地を生み出すことが出来るのだろう。


「……話はわかったよ。けど、言っておくが俺はアンタらと比べると大分弱い。悪いが自分の命を掛けてまで他者のために尽くすつもりは俺にはないぞ」


 俺は聖者じゃなければ、ネルのような他人のために戦える勇者でもない。

 俺は俺のためだけに命を張る。知らんヤツのために自分の命を投げ打つつもりは毛頭ないのだ。


 龍王だからと言って、龍族の全員が全員俺の言葉を無条件に聞く訳ではないだろうし、そんな危険な役目は御免被りたいのが本音である。


『それは理解しておる。実際、出て行った若い衆の中には気性の荒い者も多い。――故に、これをやろう』


 そう言ってローダナスは、突如空間に亀裂を生み出し――アイテム(・・・・)ボックス(・・・・)らしきものを開き、その中から取り出したものを俺に手渡す。


「これは……槍、か」


 ローダナスに渡されたのは、黒一色の、材質が何かわからない、槍。

 単一の素材を加工することで出来ているようで、一見すると杖のようにも見える程飾り気が少ない。

 

 金属っぽくはあるが、しかし光沢はなく、どことなく木材っぽい滑らかな感触だ。


 ……これは、もしかして、()か?


『その槍は、神の骨(・・・)を加工して造られたと言われておる「神槍」だ。少し前に話した、人間の龍王、ラルレン=フェルガーダが使っておったものらしい。一度(ひとたび)振るえば、天が()き、大地が震え、海を割ると龍族の伝承に残っておる』



 神槍:???

 品質:???



 分析スキルを発動してみたが、何もわからない。

 わかるのは、この槍が何か異様な(・・・)存在感を(・・・・)放っている(・・・・・)、ということだけだ。


「レフィ、これ、何かわかるか?」


「いや……儂の分析でも何もわからぬ。ユキ、この槍は……凄まじいぞ」


 険しい表情を浮かべ、そう答えるレフィ。


 ということは、実質この世界の誰も、これが何なのか理解出来ないということか。


 ……神の槍ね。

 その名前に現実味が出て来たじゃないか。


『人間の龍王ラルレンは、その槍を用いて龍族を従え、世に平定を(もたら)したらしい。儂らにはその槍は使えぬが、お主ならば有効に使えるであろう。龍族の秘宝の一つである故、大事にしてくれ』


「……そんなもの、貰っちまっていいのか? 俺はありがたいが……」


 いや、あんまりありがたくもないかもしれない。

 だって何か……この槍、恐ろしいし。


 安易に振るったりしたら、祟られたりとかしないだろうか。


『構わぬ。その槍と共に、ラルレンの言葉が伝わっておってな。「後世にヒト種の身でありながら龍王になってしまった苦労人がいるのならば、この槍を渡すように」、という言葉だ。つまり、お前さんのことじゃの』


 そりゃあ、後輩思いの龍王もいたものだが……正直、こんなものを貰っても、扱い切れんぞ。

 

 引き攣った顔で受けとった神槍を見ていた俺は、別の武器を持っているところをエンに見られると彼女が拗ねるので、とりあえずアイテムボックスにしまいながら、口を開いた。


「……ま、わかったよ。別に望んだ訳じゃあないが、今の龍王は俺だからな。出来る限りで気に留めておくよ。けど、過大に期待するなよ? 何度も言うようだけど、俺、龍族みたいな強さは持ってないんだからな?」


『いや、それでいい。龍王よ、この老骨の言葉を聞き入れてくれて、心より感謝する』


 そう言ってローダナスは、深々と俺に向かって頭を下げた。


 龍の里編、大分のんびりしただけになってしまいましたが、次話で終了です。


 え? 道中の旅路の方が話数が多い?

 ハハ……何のことですかネ。


 ま、まあ、色々と書かなきゃいけないことを書くための伏線回だったので、許してちょ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらもどうか、よろしくお願いいたします……! 『元勇者はのんびり過ごしたい~地球の路地裏で魔王拾った~』



書籍化してます。イラストがマジで素晴らし過ぎる……。 3rwj1gsn1yx0h0md2kerjmuxbkxz_17kt_eg_le_48te.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] うむ、許すw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ