閑話:風呂は程よい広さが良い
ダンジョン内部に、夕闇が訪れた頃。
幼女組がクタクタになるまで遊び回り、そろそろ帰ろうと真・玉座の間に繋がる扉へと向かおうとした――その時。
「――うっ……」
突如訪れる、立ち眩み。
それはかなり強烈な立ち眩みで、思わず片手で頭を押さえ、もう片方の手で近くの壁にもたれ掛かる。
全身に感じる倦怠感。
グルグルと視界が回り、吐き気がこみあげる。
「……? あるじ、だいじょうぶ……?」
隣にいて、たまたま俺の様子に気が付いたシィが、心配そうな様子でこちらを眺める。
「あ、あぁ、大、丈夫だ。ちょっとくらっと来ただけだから……」
心配させないようそう言いながらも俺は、荒く呼吸を繰り返す。
しばらくそうしていると、その立ち眩みは時間の経過と共に少しずつ軽減していき――やがて、何事も無かったかのように収まる。
「……何だったんだ、いったい」
と、俺はそう声に出してから、自身の異変に気が付いた。
――声が、甲高いものではなく、ちゃんと変声期の過ぎたものに戻っている。
即座に俺は、自身の手足と身体をバッと見下ろし、様子を確認する。
俺の身体はいつの間にか、元の大人のサイズに戻っていた。
DPで交換した男児用子供服の至る所が破け、パッツンパッツンになっているという随分マヌケな恰好をしているが……それは、今の俺にとっては些細な問題であった。
「よっ……よっしゃアアアアア!!戻ったアアアアアアア!!」
歓喜の雄叫びをあげ、両拳を上に向かってグンと伸ばす。
隣で一瞬、唐突な叫び声にビクッ、とエンが肩を跳ねさせたのを見て、ちょっと申し訳ないと思った。
「あれ、ユっ君、おにいちゃんに戻っちゃったの?」
「フハハハ、残念だったなイルーナ!!ユっ君はもう死んだのだ!!ここからは魔王ユキの時間である!!」
「そっかぁ。ざんねん。ユっ君かわいかったのになぁ」
「……ん。残念」
悪いが二人とも、もう俺は二度とユっ君には戻らねぇ。
あんな惨めな姿は、今回限りでこりごりだ。
……まあ、途中から、久しぶりに子供に戻ったようでちょっと楽しかったことも確かだけどさ。
「よかったネ、あるじ!」
「おうよ! ――さ、帰るぞ、お前ら。晩飯と風呂が待ってるぜ」
「お腹すいたー!」
そうして俺は、意気揚々と幼女組を連れ、真・玉座の間に繋がる扉のドアノブを回した。
* * *
「――フゥ……」
チャポン、と湯船に身体を沈め、小さく息を吐き出す。
ちょうど良い湯加減の湯が、幼女組と共に一日遊び回った身体に気持ち良い。
その幼女組はと言うと、先程までは俺と一緒にこの旅館の温泉に浸かっていたのだが、少しして眠くなってしまったらしく、先に上がって行った。
きっと今頃彼女らは、イルーナは布団に包まって、シィはスライム形態に戻って愛用のクッションでそれぞれ眠り、そしてエンはまだ眠くないため、他の住人達と何かしらやっていることだろう。
恐らくは、レイラ辺りに将棋を挑んでいるのではないだろうか。
彼女はボードゲーム系だと将棋が一番好きらしく、そして割とストイックな性格をしているため、楽に勝てるレフィ辺りではなく、我が家において最もボードゲームが強いレイラによく勝負を挑むのだ。
あんまり関係ないことだが、和服少女のエンが将棋をやっている様子は、中々様になっていてカッコいい。
カッコ可愛くて、もはや敵無しだ。
ちなみに、我が家の将棋の強さランキングは、
1:レイラ
2:イルーナ
3:エン
4:俺
5:ネル
6:リュー
7:レフィ
8:シィ
と、なっている。
このランキングは、他のボードゲームでも大体同じような感じで、3位より下は若干順位が変動したりするのだが……レイラはともかく、脅威的なのはイルーナである。
彼女、ニコニコのほほんとしていながら、それはもう鬼のようにボードゲームが強い。
笑顔から放たれるえげつない手は、対戦相手を白目にする程だ。
いや、実際に白目になっているヤツは見たことないけど。
以前は何だか、対戦中に少しこちらに遠慮しているような感じがしたので、「こういうことで遠慮するのは、あんまり良くないんだぜ?」と諭したところ、それからはもう、レイラ以外には笑顔で常勝無敗である。
恐らくは、我が家の博識メイドと同じく、地頭が相当良いのだろう。
外で、俺vs幼女組で遊んでいる時なんかも、いっつもイルーナが司令塔になっているしな。
逆に、最下位はレフィではなくシィなのだが、彼女は弱いというより、多分ルールを覚えていないのだと思われる。
ニコニコしながら対局し、「あ、まちがえちゃっタ!」とか言う時の彼女の愛おしさと言ったら、もう無敵である。
やはり彼女は、我がダンジョンの癒しのペットなのだ。
と、そんな取り留めもないことを考えながら、一人ゆったりと湯船に浸かっていた俺だったが――その時、ガラリという浴室の扉の開く音が耳に届く。
えっ、と思い、振り返ったそこにいたのは――レフィ、リュー、ネルの三人。
「なっ――」
三人共バスタオル一枚だけを身に付け、レフィは両腕を組んで仁王立ち、リューは「にへへ」と照れ臭そうにしながらその隣に佇み、ネルはメチャクチャ恥ずかしそうにしながらバスタオルがずり落ちないよう腕で押さえている。
彼女らが巻くバスタオルから伸びる細い手足と、きめ細かな肌が、非常にエロい。
レフィの全裸などは、正直よく見ているので最近では平気になって来ていたのだが……しかし隠されていると、むしろこう、グッと来るものがある。
タオル一枚であるために、くっきりと浮かび上がる身体のラインや、首筋の下に見えるうなじと鎖骨なんかも――。
俺は、釘付けになっていた視線を意志の力で捻じ伏せ、思わずあんぐりと開いていた口をどうにかこうにか動かす。
「おっ、お前ら、な、何だよ急に!?」
「む? 何を驚いておる。今までも散々共に入って来たじゃろう」
「お前とはそうだけども! ど、どうしたんだ、その後ろの二人は」
「い、いやぁ、そのぉ……レフィに唆されて、ね」
「ま、まあ、そういうことっす」
「何じゃ、ヒトの番は、こういうものも共に入るのではないのか?」
「ぼ、僕のとこは、お風呂に入る習慣なんてなかったから、そういうことはちょっとわかんないや」
「ウチもっす。水浴びは川でするぐらいだったっすから。……もう、今じゃお風呂のない生活は考えられないっすけど」
「全くじゃな。もはや湯浴みをせねば、気持ち悪く思うようになってしまったわ」
会話もそこそこに、彼女らはシャワーの下に置かれた風呂椅子にそれぞれ腰を下ろし、身体を洗い始める。
当然、身体を洗う訳なので、そのバスタオルは払われ――。
「…………フゥゥ」
俺は、彼女らの方から視線を外し、外に広がる草原と夜空の方に顔を向け、深く深く息を吐き出す。
心頭滅却。
明鏡止水。
大悟徹底。
いや、後ろの二つは、ちょっと違うか。
とにかく、落ち着くのだ、ユキよ。
ここで何かしらのリアクションを見せてしまうと、何だか負けた気がするし、それに我が家には幼い子供達がいるのだ。
そういう、教育的に良くないものは見せられ……あれ?
よく考えたら、ここにいるのは大人組だけである。
幼女組がおらず、彼女らと俺だけしかいない、というのは、我がダンジョンにおいてあまりあることではない。
だったら、別に……いいのか?
この機会に、誘惑に負けてしまい、彼女らと、その……男女が致すことを致しても、良いのだろうか?
…………いやいやいや、何を血迷っている。
今俺達は、ただ一緒に風呂に入っているだけ。
そう、夫婦であれば一緒に風呂に入ることもあるだろう。当たり前のことだ。
……まあ、実質的な夫婦と言えば、まだレフィのみなのだが。
とすると、関係性で言えば、ネルとリューは「恋人」と言った方が正しいのだろうか。
……何か、響き的には「夫婦」より「恋人」の方が恥ずかしい感じだな。
と、そうして一人、葛藤を繰り広げていると――突如、トンと背中に柔らかいものがのしかかる。
「おわっ」
「何をブツブツ言っておるんじゃ、お主は?」
後ろからこちらに抱き付くようにして腕を回し、俺の肩に自身の首を乗せるのは、他の少女達よりも先に身体を洗い終えた、レフィ。
ニヤリと小悪魔的な笑みを浮かべ、からかうように横から俺の顔を覗き込む。
ふわりと鼻孔をくすぐる、彼女の良い匂い。
触れた頬が熱く熱を持ち、背中に感じる彼女の胸の感触に、俺の心拍が一気に跳ね上がる。
レフィとの接触は、大分慣れたと思っていたのだが……やはり、大分状況に流されている面があるのかもしれない。
というか、以前から思っていたが、レフィはちょっと、小悪魔的側面がある。
からかって、こちらの反応を楽しむのだ。
「べっ、別に何でもねぇよ」
「そうか? ……それにしても残念じゃ。お主の童子の姿は、それはもう可愛かったのじゃが。こちらの図体はちと、可愛げが無いぞ」
「悪かったな、可愛く出来なくて。子猫の真似でもしてやろうか」
「カカ、ちょっと見てみたくはあるが、遠慮しておくかの」
そう笑って彼女は俺から離れると、チャポンと湯船に身体を沈ませる。
――何故か、俺の膝上に。
「おっ、おい!」
「何じゃ」
「何じゃ、じゃねぇよ!?何故俺の膝上に乗る!!」
「? 別に、良いじゃろう。いつものことではないか」
「いや、これはいつものことじゃないと思うが!?」
彼女の臀部の感触が、直に膝上に感じてしまい、ヤバい。
何故、今前に座ってはダメなのか。
その理由は、語らずとも自ずと理解出来るはずだ。
「……二人って、ホントに仲良いよね。ちょっと羨ましいよ」
「まあ、ここの住人の中で、一番付き合いが長い二人っすからねぇ」
そう会話を交わしながら、ネルとリューもまた、湯船の中に身体を沈める。
全裸のレフィとは違い、彼女らは再びバスタオルを身体に巻いているのだが……濡れているため先程よりもさらにピタッとバスタオルが身体に張り付き、ちょうど湯船と境界線のところにある胸をこれでもかと言わんばかりに強調している。
ちなみに、幼女組を抜いて我が家の胸のサイズのランキングは、
1:レイラ
2:ネル
3:リュー
4:レフィ
となっており、レイラがこちらでも不動の一位、ネルが着痩せするタイプでそこそこ育ったものを持っていて、リューとレフィがほぼ変わらない程である。
今の彼女らを見るに、若干リューの方が大きいぐらいか。
……こんなことを考えているとバレたら、俺は外の森に埋められるかもしれないな。
「……な、なぁ、諸君。いったいどうしたんだ。俺は今、すごく恥ずかしいのだが」
この湯船はそこそこ広く造られているが、流石に四人も入ると手狭になる。
しかも、彼女らが俺の左右に陣取ったため、あちこち身体が触れ合い、これもまたヤバい。
さながら、四方が地雷原になった気分である。
「い、いや、そりゃ僕達だって恥ずかしいけど……でも」
「ウチらとご主人だけ、っていうのは、こういう時ぐらいしかないっすからね。いや、別に普段も楽しいから、決して嫌っていう訳じゃないんすけど」
互いに顔を見合わせ、はにかみ気味の笑みを浮かべる彼女ら。
「ま、そういうことじゃ。こういう機会でもなければ、儂らだけでゆっくり話す、ということもないじゃろうからな。こうして二人も連れて来た」
「……まあ、確かにな」
一番初めこそ、このダンジョンには俺とレフィしかいなかったが……今となってはここには、最初の頃では考えられない程多くの者達が住んでいる。
騒がしいのは嫌いじゃないし、我がダンジョンの面々皆と一緒にいるのも好きなのだが、中々俺達だけ、という機会がないことも確かだ。
「……じゃあ、他のヤツらはどうしてる? イルーナとシィは寝たか?」
「うん、二人はもうお休み。それでエンちゃんとレイラが、さっきまでショーギやってたよ」
「やっぱりそうか……レイラには、足を向けて眠れないな」
「うむ。彼奴がいなければ、ここは回らんじゃろうな。儂らがこうしていられるのも、彼奴のお陰という訳じゃ。――そう言えばお主、レイラのことは嫁にはせぬのか? 童女どもはともかく、儂らの中で彼奴だけ仲間外れになってしまっておるが」
「確かにそうっすね。ご主人、レイラは娶らないんすか?」
平然とそんなことを言う彼女らに、俺は苦笑を浮かべて答える。
「いや、嫁ってそういう理由で作るもんじゃないだろうが。仲間外れが可哀想だから嫁にするって、大分失礼な理由だぞ」
というか本来嫁って言うのは、一人だけのはずだし。
コイツら、ちょっと感覚が麻痺して来てるぞ。
「ま、まあ、二人の言うこともわかるけどね。こういうのは気持ちの問題だからさ」
と、最近我がダンジョンに染まりつつあるが、まだまだ常識人枠のネルが、二人にそう言って諭す。
「……ネル、俺は、お前がウチに来てくれて本当に良かったと思うぞ」
「え、待って、何で今のタイミングでそれを言うの?」
怪訝そうな表情を浮かべるネルに、俺はハハ、と笑って、彼女の方から首を前に戻した。
――感じるのは、三人の温もり。
直に触れた肌から伝わる、彼女らの熱と、呼吸による微かな身体の動き。
それが何とも心地良く、安心する気分にさせられる。
……会話を交わしたことで、少し落ち着いたのだろう。
暴れ回っていた俺の心拍は、いつの間にか、少し動悸が早いぐらいに収まっていた。
――悪くない。
今の状況でこんなことを思うのは、自分がスケベ野郎な気がして微妙に思うところがなくもないのだが……こうして少女達に身体を寄せられ、慕われていることが実感出来るのは、何だかすごく気分が良い。
しかも、それが自分の嫁とも言うべき存在。
上手く言葉に出来ないのだが、自分が……そう、自分が幸せなのだということを、身に染みる程に感じることが出来る。
ただふざけ、寄り添い、共にいることが出来るだけで、この上なく幸福を感じるのだ。
「…………」
俺は、ふと両手を広げると、左右の二人の肩を抱き寄せる。
こちらに身体を預けているレフィには、先程とは逆に、俺が彼女の肩に首を乗せて頭を寄せる。
「あっ……」
「ご、ご主人……」
「む、何じゃ、先程までおどおどしておったヤツが、急に大胆になったの。儂らに甘えたくでもなったか?」
冗談めかしてニヤリと笑みを浮かべるレフィに、俺は笑いながら答える。
「いや……俺、やっぱりお前らが好きだと思ってさ」
と、そう言うと彼女らは、恐らく風呂で温まったからとは違う理由で、頬を赤く染める。
「なっ……な、何さ、おにーさん、急に」
「ほ、ホントっすよ、ご主人。ちょ、ちょっとビックリしたっす」
「……お主も、存外臭いセリフが言えるんじゃの」
まあ、そうかもな。
こんな気分でもなければ、普段は絶対口にしないだろう。
ただ――それだけの気分にさせられるものが、今のこの空間にはあった。
俺はやはり、彼女らがどうしようもなく好きなのだ。
そんなどうしようもなく好きな相手と共に、寄り添いながらゆったりと湯に浸かっているのだ。
この気分の良さは、もはや言葉にせずとも伝わるだろう。
――そうして、非常に良い気分で温まっていた俺は、ふと頭に浮かんだ疑問を、口に出す。
「――そう言えば結局、あのポーションはどっから出て来たもんなんだろうな」
何だか、よくわからない内に効果も終わっちまったし。
と、何気なく言った、その俺の言葉に。
一瞬だけピク、とレフィが身体を反応させたのを、俺は見逃さなかった。
「……レフィさん? 何やら、心当たりがおありのようで?」
「い、いや、どうかの。か、勘違いかもしれん」
「レ フ ィ さ ん?」
「…………そ、その、じゃな」
一字一句を強調するようにしながら彼女の名を呼ぶと、やがてレフィは観念したようで、ダラダラと冷や汗を流しながら言葉を続ける。
「……あ、後になって思い出したのじゃがの。以前にお主、ポーションの効果を確かめようと、数本出して研究しておったことがあったじゃろう?」
「おう」
ポーションを自作出来たらDP消費を少し抑えられるかもしれないと、その成分を研究してみようと思ったことがあったのだ。
ただまあ、結果としてわかったことと言えば、液体の内部に大量の魔力、それも人の持つ魔力とは微妙に性質の異なったものが含まれているということのみだったのだが。
つまりは、ほぼ何一つわからなかった、ということだ。
「その……その時に少々興味を惹かれ、お主の見ていないところで一本、ポーションに儂の魔力をしこたま流し込んだ様々な素材を混ぜ合わせたことがあっての。まあ、すぐに飽きて、お主が作業していたところにそれを戻したのじゃが……」
俺から顔を逸らし、誤魔化すように「ハハハ……」と曖昧な笑みを浮かべるレフィ。
「……なぁ、レフィさんや。お前今日、俺に自業自得だか何だか、言ってなかったっけか? ん?」
「さ、さての。……し、しかし、もしかしたら物を作ったのは儂だったかもしれぬが、それを勝手に飲んだのはお主じゃ。自業自得なのは、確かではないか?」
「まあ、それもそうだが――って、んな訳あるかァッ!!」
「ぬわぁっ!?」
ザバァと湯船から俺が勢いよく立ち上がったことにより、俺の上に乗っていたレフィが頭から湯の中にザブンとダイブする。
「ゴフッ、ケホッ……な、何をするんじゃ!!思い切り湯を飲んでしもうたではないか!?」
「うるせぇ!!結局お前のせいじゃねぇか!!そのアホな思い付きのせいで、俺が今日一日どんだけ大変だったと思ってやがる!!」
「よ、よう言うわ!!お主とて、途中からは満更でもなさそうな様子で童女どもと遊んでおったではないか!?」
「そんなことないですぅ!!お前のせいでずーっと超迷惑してましたー!!」
「そっ、そんなのお主の匙加減ではないか!?というか、何じゃそのイラっと来る口調は!?」
「……リュー、先に出てる?」
「……そうっすね。長くなりそうっすから、それが良さそうっす」
「悪いなレフィ!!今の俺には可愛げがないんでな!!お前が好むようには毛程も振る舞えねぇんだわ!!」
「フン、そうじゃの、今のお主は口の悪い、ただただ小憎らしいだけの男じゃからの! 全く、少しぐらいは童子の時の――」
と、騒ぎ出した俺達の横で、リューとネルが苦笑を浮かべ、立ち上がったのが視界の端に見えたが……それでもなお、俺とレフィは飽きることなく、それこそ「仲良く」という形容詞が似合う程に、言い合いを続けていたのだった――。