なんか翼とか生えてる
「あー……」
手鏡に映る自分の顔や姿を、色んな角度からまじまじと見詰める。
黒髪黒眼の、今まで何度も見てきたその容貌。言う程特徴も無い普通の顔立ちで、若干眼つきが鋭いのが特徴と言えばそうかもしれない。
背丈も大して高くも無ければ低くも無く、身体付きもゴツくも無ければひょろくもない。
まあ、ここまではいい。
ここまでは。
こんなじっくり自分を見ているのは、別に俺がナルシストだからという訳じゃない。とある確認を行っているのだ。
俺は手鏡の角度を変えて背中を確認する。
そこに映っているのは――翼。
俺の背中の肩甲骨の辺りから、真っ黒いコウモリだかドラゴンだかわからないような翼が生えている。
慣れない感覚だったのでちょっと大変だったが、意識を集中させるとしっかりパタパタと動いたので、これはやはり俺の身体の一部ではあるらしい。
そして――眼。
黒眼と言ったが、実際のところ、それは片方だけであり、もう片方の眼が紅く染まっている。真っ赤っ赤である。
どうやらこれは種族が持つ固有スキルの、いわゆる魔眼というものらしいんだが……これなんて中二よ。自分にも漏れなく訪れた黒歴史を思い出すようで、すげー恥ずかしいんだけども。
そんなナリをしているくせに、今身に着けているのがジーパンとTシャツというラフな格好をしているせいで、酷くチグハグな印象を受ける。ヘタなコスプレのようだ。
つかこれ……もしかして翼の付け根の部分のTシャツ破けてないか?見えてないけど、絶対破けてるよな?
「………………寝よ」
もうなんか色々疲れてしまった俺は、そこで思考を放棄し、DP――ダンジョンポイントで布団を交換し、それを玉座の間に敷いて、寝た。
名:ユキ
種族:アークデーモン
クラス:魔王
レベル:1
HP:2100/2100
MP:6700/6700
筋力:651
耐久:685
敏捷:550
魔力:897
器用:1250
幸運:70
スキルポイント:5
固有スキル:魔力眼、言語翻訳
スキル:アイテムボックス、分析lv1
称号:異世界の魔王
DP:900