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蓮華ちゃんの事件簿  作者: 琴宮類
3/5

おや、始動でしょうか。

  こんにちは、蓮華です。

 国家認定犯罪者ハンター・・・・・・になろうとしています。

 

 今はただの学生ですけど。 


 今日、私は学校が終わりある場所に来ておりました。


 駅前から裏へ裏へ、狭い道をくぐり抜けると一軒のバーがあります。

 階段を降り扉を叩くと、しばらくしてここの女主人が出てきました。


「あ、こんにちは」


「お、蓮華か。って分かってたけどね。ま、入りな」


 長い髪を一つに束ね、タバコをくわえながら笑いかけてくれます。

 名はサヨリさん。隠れ情報屋です。


 お店の前にはいくつもの監視カメラが設置してあります。

 なので、私が近くまで来た時点でサヨリさんにはわかっていたのです。

 

「なんだ、また情報が欲しいのか?」


「ええ、そろそろ私も夢に向かって本格的に動こうかと思いましてね。あ、後、一つ聞きたい事もあるんですよ」


 中に入ると私はカウンターに腰掛けます。

 表向きの営業はまだなのでここには私達だけでした。


 薄暗い店内。落ち着いたシックな雰囲気。制服を着た学生の私にはかなり場違いに思えます。


「まずはあれです。最近頻繁してる少女連続失踪事件、あれについて、なにかサヨリさんは知ってます?」

 

 私がそういうと、サヨリさんは、頭をかきながら首を横に振りました。


「ただじゃ教えられない、と言いたいとこだけどね、実のところ私のとこにも全く情報は入ってこないよ。そもそも犯人なんているのかね、とさえ思える。むしろ全員家出してるんじゃないかって。その方がよっぽど納得できる。それほどになんの手がかりもない」


 あらあら、サヨリさんの耳にさえ入ってこないのなら、本当にそうなんでしょうね。

 どうなんでしょ、もう全員どこかに連れ去られてこの町にはいないのかもしれません。

 あれだけの人数を個人で隠してはおけないでしょう。それでなくてもどんどん増えていってます。

 まぁ、それは、生きていればの話ですけどね。


 すぐに殺してしまっているのなら処理する方法はいくらでもあります。

 でも、それだと本当に目的がわかりません。性的な暴行目的なら生かしておくでしょうし、ただ殺すだけなら態々連れ去る必要もないような。死姦や拷問が目的ならそのかぎりではありませんが。なにはともあれ今は推測することしかできませんね。


「ま、そっちはなにか分かったら教えて下さい。それでは本題にはいります」


「ん、おう、金さえ払えばなんでも教えてやるよ、知ってることならな」


 情報屋のところに来たのです、欲しいのは情報、買うのも情報。


「そうですね、ではとびっきりの犯罪者の情報をください。今現在も暗躍中で警察も手こずってるような、そんな異常者系がいいです」


 名を売るために、こういう輩をどんどん捕まえていこうと思います。


「ふ~ん、異常者系ね、あるのはあるけどな。でも、私が出せるのはすでに犯人がほぼ明白なやつか、犯罪者クラブに登録しているやつくらいかな」


 犯罪者クラブ。裏で犯罪者を支援する団体ですね。名が売れていれば売れているほどその恩恵は大きいみたいです。会員制で上はプラチナまであるとかないとか。


「あそこはとにかくやばい。こっちも危ない橋渡ってるからな、情報はめちゃくちゃ高いぞ、それでもいいなら・・・・・・」


 サヨリさんは私の前にタブレットを置きました。

 画面にはいくつかのリストが。


「好きなのを選べ、値段は個々で違う。危険度もピンキリ」


 顔写真付きのものから、アンノウンまで様々ですね。

 

「最初ですからね。そこそこ大物がいいです。お、これなんか良い感じです」


 画面を指さし、サヨリさんの前に。その瞬間、サヨリさんの眉が動きました。


「・・・・・・首刈りジョーソンか。ノコギリで首を切断しまくってる殺人鬼だな。被害者は今の所4人。犯罪者クラブの会員ではないが、ちょっといきなり危険すぎだろ、ますは万引き犯くらいにしておけよ」


「いやいや、いうなれば私のデビュー戦です。センセーションを巻き起こすのです」


 ふんっと鼻息を出します。


「ま、死んでも知らんぞ。こいつなら200万だな。前払いでよろしく~」


 む、なかなかお高いですね。


「学生割引とかありましたっけ?」


「はっ、あるわけないだろ。それでなくともお前は結構稼いでるはずだ。サヨリさまの目は誤魔化せないよ」


 まぁ、蓄えはありますけど。

 私、まずサヨリさんから借金して情報を買いました。それを元手に増やしていったのですね。インなんとかとか、テンなんとかをしながら慎重にです。借金は即返済しました。


「ペーパーの方に経由で入金しておきますね。後で確認してください」


「うい、毎度ありー。どれ、首刈りジョーソンだっけ」


 こうして私の標的は決まりました。



「じゃあ、くれぐれも死ぬなよー。ま、お前なら殺人鬼相手でもなんとかなりそうだから困る。なんせ、ここを見つけ中に入れたくらいだ」


「私は諦めが悪いのが取り柄ですので、それではまた~」


 

 サヨリさんに見送られ外に出ました。


 改めてここに入れるまでは大変でしたよ。私どうしても会いたかった人がいたんです。だからその人の情報を追ってまずここに辿り着きました。凄い情報屋がいるらしいと。ですがそれは信憑性のほとんどない噂程度のもの。未成年なので酒場としての時間には入れません、なので数ヶ月間遠目に観察していました。昼間に怪しげな人達が出入りしてたのは確認できたのですがそれだけでは確信が持てない。店自体はとてもガードが堅い、ならばと出入りしている方を調べたんです。そしたら裏家業やら政治家の秘書やら堅気じゃない人が多かった。


 これはと思い、あとはひたすらドアをノックしたのです。

 雨の日も風の日も、毎日毎日ドアを叩きました。

 まぁ、完全に無視ですよね。相手には私の姿は見えているでしょうし、子供ですのでただのイタズラかと思われてたかもしれません。


 それでもめげずにドアを叩き続けたある日、ついにその扉は開いたのです。

 たしか、2年目の大雪の日でしたっけ。

 出てきたサヨリさんが私を中にいれ、暖かい紅茶を出してくれたのは。


 なんだかんだで私はサヨリさんに気に入られました。引退したら私が今まで築き上げた全部のパイプをお前に譲って後継者にしてやる、なんて言うほどです、勿論ただではないでしょうけど。


 脱線しましたが、すぐにでも行動を起こしましょう。卒業するまで時間はそれほどありません。


 まずはこの首刈りジョーソンを捕らえようと思います。

 そうなると下準備から始めないとですね。

 さて、どんな方なのでしょうか、今から少し楽しみです。


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