出会い
「小さい頃の夢っていつ諦めた?」
そういう彼女の目が今だに忘れられない。
僕はその春浪人することを決めた。なんとなくS大学に行こうと思っていたが中学ではトップ層にいたこともあって高校時代はあんまり勉強もしなかった。案の定S大を受けれるはずもなかった。そしてあさひ予備校に行くことになった。本田茜にあったのはその予備校に初めて行った時だった。
初日はクラス分けテストだった。寝坊したこともあってテストには間に合ったが筆記用具を忘れてしまった。周りを見るとみんな必死で単語帳やらノートを見ていて怖かった。けどそんなの考えてる場合でもなかったので隣に座っていた大人しそうな女の子に声をかけた。「すみません。筆記用具忘れちゃって…。その…貸してもらえないかと…。」そう恐る恐る言うと女の子は笑顔で「消しゴムが確かね…。うーん……。あっ!あったあった!はい。これで大丈夫かな!?」と言って貸してくれた。「うん!大丈夫!ありがとう!」僕はその子が神様のように思えた。するとテスト開始の合図があり無事テストを受けることが出来た。そして特に何もなくお礼をいって筆記用具をかえした。