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東方金色伝 ~ GREAT GOLD ONE  作者: 黄緑
壱ノ章
8/23

八 継承


 本日二話目の投稿です。

 遅れたお詫び、のはずですがまた次も遅れそうです。

 やっぱ見切り発車はだめですね。


2017/06/26 一部修正



「銀華、白、黒。9時になったら訓練場に集合ね」


 朝食の片付けが終わった後、僕は三人に声をかけた。


「へ?あ、分かりました!」

「分かりました、主様」

「え、あぁ、分かった」


 よし、じゃあ9時まであと一時間ちょっとあるし、自分の部屋で夢想天生の再現を続けるか。


   ~カット!~


「金色さん、なぜ皆を集めたんですか?」


 全然うまくいかないまま、時間になってしまったので訓練場に行くと全員揃っていた。

 やっぱ“程度の能力”が無いと難しいかな?

 時間ならまだまだあるしチャレンジし続けよう。


 えーと、で、理由は。


「ほら、地球にも原始的とはいえ生命が生まれ始めてるし、そろそろ銀華に継がせてもいいかなーって思って」


「「?」」「!もうですか!?早すぎませんか?」


 白と黒は疑問を、銀華は驚きを顔に浮かべている。


「そういえば白と黒には話した事無かったっけか?

 銀華は元々創造神を継いで貰うために創ったんだよ。

 まぁそれはあくまでついでの目的だったんだけどね」


「そうだったんだ……」「……」


 黒は驚き、白は予想していたのか落ち着いていて何かを考えているようだった。


 銀華は早すぎないかとか言ってたけど僕はそうは思わない。

 食事に睡眠、僕たちと遊んでいた時以外はほとんど銀華は訓練場にこもっていた事は勿論知っているし。

 銀華を創って、既にウン十数億年たっている。

 彼女が真面目な性格でほんと良かった。


「で、どうする?別に強制はしないよ?僕がこのままやっててもいいし」


 これは本音だ。

 地球を旅する上でかなり動きにくくなるだろうし……できれば継いでほしいけど。


「……いえ、やらせてください!」


 うんうん。やる気があるのはいいことだ。

 これで人類が生まれても心置きなく旅ができるね!

 今から平安京とかを描くのが超楽しみだ。やったぜ。

 ……じゃあ早速はじめようか。


 銀華と僕で“継承の術”を組み、白に力のロスを限りなく小さくしてもらう。

 この術はかなり複雑だ。

 なんせ信仰の対象を他人に分割させる必要があるから今まで研究してきた魔法や霊術、妖術を総動員しなくちゃいけない。


 銀華だけでなく白にも能力を酷使してもらう事になる。

 ……黒には“ミス”を敵とみなして監視しといてもらおう。黒は妖術を少ししかできないからできることがそれしかない。

 なんか除け者にするみたいで嫌だけど……こればっかりは仕方ない。



 黒は少し緊張がわかる顔を、白は何か言いたそうな顔を、そして銀華は覚悟を決めた顔を。

 三人はそれぞれの表情を浮かべながら、僕と1/100秒のズレもなく術の構築を始めた。


 “創造神”僕への信仰が銀華に行くように。

 僕の【あらゆるものを創造する程度の能力】を銀華に譲渡。

 なおかつ僕に巣食う虚無が銀華に届かないように。



 一時間たち、術式は何事もなく完成に近づいていく。


 僕の種族は“創造神”だ。この世界のナンバーワンにしてオンリーワン。

 魂と密接に絡み合っている能力を譲渡するということは種族が変わる可能性もある。

 というかどうなるか何て僕にも分からんよ。多分“創造”ではない“何か”を司る神になるんだろうけど。



 三時間たち、術式群は次々に組上がってゆく。


 “創造神”は世界そのものだ。

 世界が“歪んで”いけばぼくの寿命が縮まるし、僕が死ねば世界も死ぬ。

 失敗する訳にはいかない。

 やめた方が良いのではないかと少し後悔するけどいまさら中断できない。



 五時間たち、術式は何事もなく完成していき、……とうとう完成した。

 ……あ……ヤバイ、ちょっと意識が…………

 術の反動かな……?

 銀華と白も倒れるのが、暗くなっていく視界の中で見えた。


◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇□◇


「…………なんだ?」


 とある真っ白な部屋にて、ぐだーっとしていたそれなりに顔の整った中年の男は突如嫌な予感を感じ、顔をしかめた。


 彼は基本、仕事をしようとしない。

 彼には仕事を任せられる優秀な部下がいる上に食事などを必要としない。

 彼が今居る部屋も彼が自分で構築し、創ったものだ。

 よって、“虚無”によって怠惰な性格になった彼が働く事は勿論、興味を持った事以外やろうとしないことは当然といえた。


 むしろ彼が生きる理由はその“楽しみ”しか無いと言っても過言ではない。


 そんな彼が嫌な予感を感じるということは彼の楽しみ興味の対象が無くなってしまうかもしれないということで、彼はなんとしてでもそれを食い止めたかった。


 彼は普段の怠け具合から想像できないほどの速さで、楽しみにしている“こと”のリストをどこからともなく出し、それぞれ異常がないかを確認していく。


(おかしい。特に異常はない……、考え難いけど俺の世界に異常がでているのか?)


 彼の勘は外れたことが無いのだ。

 よって自分の勘を信じている彼はもう一度リストを調べ……気づいた。


 彼が送り出した転生者の一人が、自らの魂を引き裂こうとしているのを。

 それだけなら大した問題ではない。

 それはそれで“楽しみ”となりうる。


 問題はその転生者が、ただ他の“世界”に送った者……ではなく、“虚無”に送って世界を一から創らせた者であるということ。

 彼がもう二度と触れたく無いと思っていた“虚無”にわざわざ干渉して手に入れた娯楽なのだ。


 「……ッ!何やってんだ、あの馬鹿!」


 彼は悪態と溜息を吐いたあと、すぐにその対策を始めた。



 もう駄神様は出ないといったな?あれは嘘だ!


『夢想天生』

 霊夢の最終奥義。こちらが放つ弾がすべて霊夢をすり抜けるようになるというチート技。哀しみを背負ったものだけが習得できる北斗神拳究極奥義とは字が違うが、色々と共通点があるためそれが元ネタだと思われる。


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