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東方金色伝 ~ GREAT GOLD ONE  作者: 黄緑
壱ノ章
3/23

三 外見


2017/06/26 一部修正



 気がついたら何もないところにいた。


 なにこのデジャヴ。

 だけど真っ白空間より不思議さが増してる。


 ここを漢字一文字で表すなら『無』。

 浮遊感があり、前後左右上下の区別がつかない。前に進もうとしても進んだ感覚がしない。

 宇宙や色、自分の体の感触すらも無い。


 色が『無い』と透明だというのは間違いだと思った。自分がここにいて正気を保っていることに疑問を抱いてしまうレベルだ。

 ……はてしない物語の虚無ってこんな感じなのかな……


 なるほど。世界を創るってそういう意味か。この何もないところから世界はできるんだな。


『そーだよ!あと君が正気なのは特典2の効果。

 常人だったら一瞬でSAN値直葬コースだよ。今の君でも急がないと感情が無くなってくから急いだほうがいいよ!?』


 神様!?でもまわりには何も無い。頭に直接声が響いてきた。


(これが念話ですか?面白いですね!)


『そ、れ、よ、り、も!!早く世界を創ろう!

 虚無に長居しすぎると感情が消えてくって言ったでしょ!!』


 凄い勢いで急かされた。僕もこんなとこに居たくはない。


(はい。でもどうやればいいですか?)


『今からイメージを送るから何も考えずにそれを「創る!」って強く念じ続けて。』


 言われる通りにすると段々意識が遠のいていき、ふと気づいた時には僕の回りに無数の星が瞬いていた。

 しばらく見入っていたけどかなり大事な過程を飛ばしているような気がする。

 ……アレだよアレ。ビックバンは?


『お疲-ザザッ-。無事世-ザッ-が完成したみたいだね』


(あ、お疲れ様です。……じゃなくて!ビックバンはどうしたんですか?起こした記憶がないんですが……)


『あぁ、ビッ-ザ-バンが起きて地球ができるまで待つのはすごい苦痛だからねぇ。ビックバンから地球がで-ザッ-まで君には眠ってもらった。』


 (……わざわざそうする必要あったんでsh


『勿論あったとも!俺が言うんだから間違い無い!宇宙創ってから地球ができ-ザ-までヒマでヒマで仕方なくて、しかも虚無に“向上心”を削ら-ザッ-てたせいで修行とかやる気があんまり起きず、寝たら起きたのが飛鳥時代で寝てる間に生まれた神が好き勝手やってるわ、因果律の調整をしてなかった分世界のあちこちに歪みがで-ッザッ-てるわでそれ片付けるのに九世紀も-ザ-かったんだよ!!!!!……はぁ……はぁ』


 聞き流していたがなんか大変そうなのは伝わった。


『とにかく、ビックバンからやってもいいことないから!爆発もしんどいし!いいね!?』


 アッハイ。


(ところでノイズがひどいんですが……大丈夫なんですか?)


『……はぁ。ん?あ-ザ-、世界を跨いだ念話だからねー。調整するからちょっと待って。

 -ザザザザッザザッ……ザザッ……ザッ……ザ-、これで大丈夫なはず。まだ聞こえるようなら言って。もとい、念じてね。

 ……それよりも体の調子はどう?馴染んでる?』


 そう言えば凄く肌触りのいい服を着ているみたいだ。

 体の感触がある。すっかり忘れてた。


 ……視界の端に金色の長い髪が見えるけど気のせいだ。気のせいであってほしい。


『鏡でも創ってどんな体になったか見れば?これからはその体が君の体なんだから。

 あ、外見は完全ランダムだからね。どんな外見でも当方は一切その責任を負いませんのでそこんとこよろしくー』


 非常に嫌な予感がする。でも確認しないといけないし、家にあった姿見と同じ物を創った。


 ……気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気のせいだ気の気のせいだ気のせいだ気のせいだせいだ気のせいだろ気のせいに違いないむしろ気のせいじゃなかったらどうすんだよやっぱ気のせいだよ気のせいだって気のせいだ気のせいだ………………………………


『おーい、名無し(仮)君どーしたのー?』


 ……うん。現実逃避していてもしかたがない。現実を見よう。


「神様、これはどういうことですか?(怒)」


 僕の怒りを込めて出した声は澄んだ子供の声になっていた。

 なんで宇宙なのに声出るんだろ?

 ……まあいいか。こっちの方が今は大事だ。


『エ?ナンノコト?オレハナンニモシテナイヨ?

 アレレ?コエガカワッテルネ?ビックリダヨー!』


「とぼけないでくださいよ。

 そのわざとらしい棒読みを止めて僕をこんな幼女に変えた理由をとっとと白状してください」


『ザザザザザザザザッザザザザザザッザ…………』


「ノイズで誤魔化そうとすな!」


『おかけになった電話番号は電波が届かない所にあるか、電源が入っていないか、現在使われていないか、かわいい女の子じゃないとかかりません。ピーーッをお確かめの上、お掛け直しください』


 確認しろってのかよ!


『……外見ランダムっていうのは本当だよ?デフォで少しの美男美女補正があるけれども。……性別の欄をちょっといじっただけで』


 そう。僕は完全に美幼女になっていた。


 鏡を見ると金髪金目の可愛らしい顔を諦めの表情で歪ませた幼女もこちらを見てくる。

 身長は110~120cm位だろうか、華奢な体つきだ。髪は腰まで垂らしており、髪飾り等はつけていない。

 服も特徴的で、教材の国語便覧に載っていた狩衣かりぎぬに近い形をしており、白一色。ところどころに金色の糸で刺繍がほどこしてあり、露先や袖括の緒も金色。背には、小さめの太極が金色の枠に囲われて縫い付けられていた。白い足袋をはいており、烏帽子はかぶっていなかった。


 この服、かなり良い布を使ったようで、肌触りがいい上に動きやすい。通気性は普通の服と同じぐらいに感じる。少し派手な気もするが全然派手に見えず、似合っている。


 要約。少し服装が変な美幼女。

 気が滅入る。これからは女の子として生きていかなきゃいけないのだろうか……。


 っていうか可愛い女の子なんだったら普通にかかるじゃん。電話、というか念話。


 ……ん?男と、女。……太極??……そうだ!

 【陰と陽を反転させる程度の能力】で性別を反転させれば……!

 男が陽で女は陰。だったらできるはず。


 “陰陽反転-男女”


 どっと疲れが押し寄せてきた。成功は……したようだ。ちゃんとある(・・)

 容姿はまったく変わっていないが。女の子と男の娘、なりたい方を選べといわれたら僕は男であることを選ぶね。

 この能力、使いづらいと思っていたがかなり使い道が多い。

 ……ただ燃費はかなり悪いようだけど。疲れた。


『ごめんなー、性別変えちゃってよー。謝るからー。でもいろいろと頑張れよ、これから。(ニヤニヤ)』


「ん?もういい。能力で男に戻ったから。それよりこれからどうすれば」


『戻った?どういうことだ?能力?

 ……あぁ陰と陽の反転か。ちっ、その手があったか、つまんねーの。

 まぁもうこっちからは干渉できないし諦めるしかねーか。次から気を付けよう』


 目の前にいたら殴りかかってるところだ。


『でも幼いのは俺のせいじゃないよ』


 嘘だね。㌔㍉コンってやつだ。


「で?どうすればいいの?」


『おー、口調変えた?そっちのほうが俺としてもやりやすいからいいけど。

 じゃあ創造神としての仕事の説明するからよく聞いてね。

 一つ目は因果律の調整。これやんないと世界に歪みができて悪い影響を及ぼし、やがて世界を崩壊させる。だからなるべくこまめにやった方がいい。具体的には十年に一度くらい。

 二つ目は脅威の排除。世界を破滅に導く存在を排除する。隕石とか魔王とか超兵器とかそういうの。自分で消してもいいし部下にやらせてもいいし、どんな方法をとってもいい。最近は人間に任せるのがはやってるみたいだよ?勇者とかに任命して。

 まず因果律のいじり方をイメージで送るから覚えて』


 説明されたあとイメージが送られてきた。

 ……うわ、大変そう。丸一日かかるんじゃね?これ。

 十年に一度でこまめというのも頷ける。


『おっと、時間のようだ。あ、あと君の知識にその世界の基礎知識とか入れといたから。じゃあよい神生を!ばいばーい!』


 嵐のように神様は去って?いった。



 神様はもう出番はない予定。


『はてしない物語』

 ミヒャエル・エンデによる児童向けファンタジー。文庫版も出ているらしいが赤絹の表紙以外は認めない!(作者の個人的な思いなので気にしないでください)


『~かわいい女の子じゃないと~』

 某ボカロが元ネタ。


『㌔㍉コン』

 『君ロリコン』と読む。考えた人は天才だと自分は思ってます。


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