二 能力
2017/06/26 一部修正
「うん、わかった。じゃあもう堅苦しい口調やめてもいいよね」
神様の口調と雰囲気がいっきに柔らかく、いや軽くなり、僕の先程までの「渋いオジサン」という印象を「チャラいオッサン」に塗り替えた。
えー……なにこの変わりよう……残念だわー……何が残念って声が無駄に渋いところが残念だわー……
「いやーだって君が転生するんだったら俺の世界の住民に俺の事はもう伝わらない訳だし!俺が口調変えなきゃいけない理由が無いじゃないか!あの口調疲れるんだよ。と、俺の事はどうでもいいんだ。
転生してくれるんだよね、ありがとう!実は君が転生する世界はもう決まってるんだよ、ん……?あれ!?ちょ、嘘でしょ!?」
神様がなにやら慌て出した。
こんなにわかりやすい慌て方は僕の十四年という短い人生の中でも見たことない。
どうしたんだろ?
「うっわー、タイミング悪!
ちっ、仕事増やすなよ、ったく。何でよりにもよって今なんだよ。なんなの?俺なんかした?まったくもう……」
「えーと、なにがあったんですか?」
「……ブツブツ、ん?あぁ、うん。
君を転生させる筈だった世界のパラレルワールドの、えーと在庫かな?……うん在庫がなくなっちゃっててね?
パラレルワールドを君の手で創ってもらわなきゃいけないんだよ……。
いやー重ね重ねごめんね」
え?一から世界を創るの?それって世界の創造主になるってこと?
なんか面倒そう。面倒なのはやだなー……
「ピンポーン!実際は俺が手伝うから一からじゃないし、君にはもう拒否権はないんだけど……」
なんか酷くない?まぁ転生したいから別にどうでもいいんだけどね。
それより僕はチートの方が気になる。
どんなのなのかな~楽しみだな~オラわくわくしてきたぞ!
「それのことなんだけどね、俺が君にあげる特典は三つ。
一つ目が転生特典、二つ目が手違いについてのお詫び、三つ目が世界を創るために必要な能力。普通は一つ目だけなんだよ?」
やたっ!超ラッキー!!
「そ、それでどんな能力をくれるんですか?」
「一つ目はダーツかくじ引きで運任せに決める。
二つ目が君の学習能力、精神力及び記憶の定着力の超倍増。
んでもって三つ目が世界創造には必須の【あらゆるものを創造する程度の能力】。
以上三点になりまーs
「【程度の能力】っ!?まさか転生先の世界って東方なんですか!?」
……人のセリフを遮らないでくれない?東方で合ってるんだけけどさ」
「すいません。つい、びっくりして……」
うーん、東方か~。
好き嫌いでいうと圧倒的に好きだけど、初めて買った紅魔郷でeasyモードで美鈴にピチュらされまくってあまりやらなかったんだよなー。
弾幕避ける自信がない。大丈夫かな……?
「だってあの世界だったらどんなにチートでも大丈夫だし、君が妄想してるように無双し放題!さらに記憶は残るから未来をある程度は知ってる。
あくまでもパラレルワールドだから歴史は多少変わるけど、君けっこう有利だよ?
ああそれと能力で新しい能力創るのはできないから」
Ha!?('д')何故に?
あらゆるものっていってたから能力無限増殖ktkrって思ってたのに……
「だってそれじゃあ特典の数決める意味ないじゃん。それにチートすぎると人生つまんないよ。
……じゃあ能力決めちゃおうか。くじ引きとダーツどっちにする?」
もっともな神様の言い分に何も言えなかった。
すこし残念な気もするけど転生させてくれる上に能力くれるんだから文句は(あんまり)無い。
「くじ引きでお願いします。ダーツだと外しそうで怖いので」
的に当たらなくて能力無し、てのは悲しすぎる。
「分かった。じゃあこれ引いて」
上の面に丸い穴が開いたオレンジ色の立方体を渡された。
中を覗くとびっしりと三角に折られた紙が詰まっている。
……これに決めたっ!
「思いきりのいい引き方したねー。ちょっと見るよ。
……うわー使い勝手悪そー。ドンマイ、充分それだって強いはずさ!」
僕が引いた紙には【陰と陽を反転させる程度の能力】と書かれていた。
陰と陽?それってあの白黒の円?
操るでも司るでもなく反転させる、かぁ……使い勝手悪そうだな……死にスキルにならなければいいけど。
「じゃあ転生させるよ~。
あっちに行って暫くは俺と通信できるようにするから、それじゃあ行ってらっしゃーい!」
えっ?
「そんな急に言わ……れて、も…………」
僕の意識はすぐにブラックアウトした。
神様のキャラが定まらない……
『美鈴にピチュらされまくって』
理由は低速移動の存在を知らなかったから。作者の実話。
『オレンジ色の立方体』
中の紙に書いてある能力は神様の部下が一晩で作ってくれました。全2000種。そのため微妙な能力や使い所がわからないような能力もいっぱいある。徹夜テンションだからね、しかたないね。