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そういえば言ってなかったですね

 話がなかなか進みません。

 書くときのテンションでかなり中身のテンションも違う気がします。

 書くって難しいですね。

「マリーさん、…マリーさん」


(はっ! 思考がトンでた!)


 隣に座ってた隊長さんが、囁くような声でわたしの名前を呼んだ。

 

 (バレないように)深呼吸一つ。

 

 テンションがおかしかった。

 表情とかには出てないはずだけど、心の声が明らかにおかしかった。

 たぶん無表情で王様を見つめてしまったんだろう。

 アブナイアブナイ。


 (バレないように)深呼吸二つ。


 昨夜あんまり寝てないせいかな。

 緊張して眠れなかったもんな。

 あがり症だし、落ち着かないとあかりじゃなくてわたしがティーカップ割りそうだ。

 賠償保険がこの世界にあるわけないし、弁償出来ないよ!

 落ちつけ。落ちつけ~!

 王様がソファーに座ってすぐメイドさんが入れ直してくれたティーカップからたちあがる湯気を見つめて気を落ち着かせる。


「失礼しました」


 決して睨んでたわけではないのです。

 えーと、自分が聖女じゃないと思う根拠。

 聞いて意味あるのかとは思うけど。係りの人が調べるって聞いたしね。


「まず、わたしは何の力も特別な能力もない、ただの人間です。もともと身分制度のない国で、どこにでもいる国民として過ごしてきました。生活や就職に困らない常識、マナーを学び、就職して結婚しました」

「っ…結婚!? マリーは結婚していたのか!?」


 目を剥かれちゃったよ。

 王様の後ろの騎士さんと文官さん(いたんです)もおんなじような顔してる

 隊長さんもこっちを振り向かない! 確かに年齢は言わなかったけど。

 …すみませんね、身長も色気もなくて。

 でもあかりがいるんだから、それくらいは分かっててほしい。


「はい、成人して結婚しました。小さくて色気も何もないのは分かってますが、これでも相手はいたんです」


 わたしは身長148㎝、童顔だ。

 職場でもからかわれ、居酒屋に行ったら年を聞かれるのを25歳まで繰り返した。

 さすがに今は年齢確認こそされなくなったけど、仕事関係で出会う人に毎回新成人だと思われては訂正していた。

 あかりを産むときも150㎝ないと帝王切開の確率が上がりますと9ヵ月くらいの検診の時だったかな? 言われた。

 裾が広がったデニムは裾を切ればただのストレートのデニムだし、なかなかちょっとしたことに困る微妙な見た目なのだ。

 ちなみに元旦那は180㎝近い人だった。

 よくマンガとかで155㎝くらいでちゃちゃいかわいいってあるけど、全然大きいですとわたしは言いたい。


「成人…。マリーの国の成人は何歳だ?」

「お酒もタバコも二十歳(はたち)からの20歳です」


 日本人って幼く見られるって言うしね。 その日本人から年を下に見られてたから、余計そう見られたかな。


「あ~、そうか、すまない。クラウドから15歳(・・)くらいの少女と1歳くらいの()と思われる赤子だと言われていたからな。」


 15歳って。干支が一回りしちゃってるよ。

 年齢聞かれなかったから言わなかったけど…下に見られるだろうとは思ってたけど、いくらなんでも、中学生に見られることはなかったよ!

 さすがにそこまで下に見られたのは初めてで…って!


「はああぁ!? クラウドさん!?」


 思わず隣のクラウドさんに体ごと振り向いてしまった。


「そうだ、クラウド。年の確認はしなかったのか?」

「はっ! 申し訳ありません。気づけばヲルト草原にいたとの話と、シギが他に人間はいないとの確認はしましたが、年齢までは」

「え? いや、違うって! そこじゃない! あかりはわたしの娘です! 妹じゃありません!!」


「「「「はああぁ!?」」」」


「だから成人して結婚してたって言ったでしょう!?」


 隊長さんには初めて会ったとき言ったはず!

 言った…アレ?


「クラウド、お互い名乗った時に聞かなかったのか?」

「は…はっ! ヲルト草原では聖女候補様方は放心しておれたようで…」


 うん、だだっ広い草原をひたすら歩いて、ドラゴンが飛んできてドラゴン(人ん家)の躾を見て。

 それからーーーー



「貴女方はどこから来たんですか? 馬もないようですが」

「…はぁ、気がついたらいて、人がいないか歩いてました」

「歩いてここまで来たんですか?」

「はい。あ、いえ、家に帰ろうと思って、道を歩いてたんですけど、ふと気がついたらこの広いところにいたんです」

「…そう、ですか。お名前は?」

「篠原真理子です」

「シノ…ハァラ?」

「マリコ」

「マリィ?」

「マリコです」

「マリィコ」

「(欧米か?) いえ、…マリーでいいです」

「分かりましたマリー様。そちらは?」

「あかりです」

「ア・カーリー?」

「(誰だよ?) アカリ、アーリーでいいです」



 うん、娘って言ってないね。

 そのまま聖女かもしれないから王都に来てくれって言われたんだ。

 隊長さんの名前も馬車に乗ってから聞いたんだっけ。

 うわ、そう考えるとかなり無用心だな、わたし。今さらだけど。


「マリー、成人している女性に年を聞くのは失礼だと思うが、今は?」

「28です」

「「「「はああぁ!?」」」」


 どうせチビ童顔色気なしの三重苦ですよ。ケッ。

 真理子の身長、童顔の体験はわたしの実話です。

 もうすぐアラフォーと言われる年齢になりますが、いまだに新卒だと思ったと言われます。

 いきなり老けるタイプまっしぐらでとても恐怖です。

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