イケ様は正義です!
ブックマークしてくださってるみなさま、ありがとうございます。
増えていく数字に励まされてお陰様で3日ボウズどころか1日ボウズのわたしが続きを書けることに感謝です。
読んでくださってるみなさま、稚拙な文ですが、これからもよろしくお願いします。
おはようございます。
ただいまの時刻、午前8時28分です。
今わたしは、とても広くてお高そうな調度品がお上品に置かれている部屋に来ております。
あかりさんや、ジッとしてておくれ。
君がうっかり傷でもつけたら、お母ちゃん首くくっても弁償出来ないよ。
…テーブルを蹴ってはいけませんっ!!!
それなりに使い込まれて磨かれた飴色に輝く重厚な扉やチェストに、こんなにプレッシャー感じるとは思わなかった。
威厳と存在感に満ちてる家具が、高級感をさらに高めているようだ。
「マリーさん、顔色が良くないようですが、体調が悪いんですか?」
「いっ…、いえ、あの、家具をうっかり傷つけてしまいそうで、あかりが壊さないか、汚さないかハラハラして胃が痛いです」
「はあ、別にそこまで気にしなくてもよろしいかと…。子どもが触ったからと壊れるものでもないですよ」
隊長さんが覗き込むようにして顔を寄せてきた。
わたしはそれにますます体が固まってしまった。
隊長さん、渋いオジサマなんだもん! わたしそこまでミーハーじゃないはずなんだけど! ドラゴンのパパだけど!
応接室のふっかふかなソファーに座ってるのに、体がガチガチで筋肉痛にでもなりそうだけど、そう簡単に緊張は解けそうにない。
だって! 今座ってるソファーだって、100万円は軽くするんじゃないか、目の前のテーブルもそれくらいしそうだし、出されてるお茶のカップやソーサーも給料2~3ヵ月分は軽くするだろう。
芸能人やお金持ちのおばちゃんとかがテレビで自宅公開するときに自慢するティーセットが何十万もしてたと思う。
紅茶もコーヒーも緑茶も100均のマグカップで飲んでる我が家には、そんな高いものを買う感覚がさっぱりだ。
うっかり落として割ってしまったらと考えると、せっかく使用人さん達が入れてくれたお茶も飲めやしない!
あぁ、緊張でのどが渇くのにお茶も飲めないなんて!
(もっと庶民向けのカップでお願いプリーズ!)
「今日は、非公式の対面となります。ですので、安心してお話しください」
わたしの必死のお願いはなかったことにされた!
緊張を解そうと隊長さんは言ってくれたのだろうけど。
ムリですからー!
「いやいや、公式だろうと非公式だろうと、お城で、高そうな物がいっぱいの部屋で、王様に会うんですよ!? …ダメです、胃が痛いです。頭も痛いです。帰らせてください。お家に帰る~!」
涙で視界が悪くなってきた時、部屋の扉が開いた。
「お待たせしてすまない。ラーディア王国の王、ヴィッセル・フォード=ラーディンだ。貴女がヲルト草原に現れた聖女か」
イケ様キターーーーっっ!!!!
(えー! ヤバー! マジカッコ良すぎる~!!)
天然の金茶のツヤツヤサラサラの髪なんて初めて見た。
同じ色の瞳を囲った目は、眦が気持ち上がり気味なのに、出来たばかりと思われる目じりの薄いシワが柔らかく見せて、その上の太めの眉も米神に流れ、キリッとすっきりした印象を受ける。
どちらかといえばヨーロッパ系の顔立ちで、鼻はスッと通り、薄い唇は色は薄く、体のラインを隠さない服は高い身長と細マッチョに引き締まった体を強調している。
この国の頂点にいる方の登場に、わたしとクラウドさんは同時に立ち上がって礼をした。
クラウドさんは騎士の、わたしは単純に頭を下げただけだけど。一緒にあかりの頭も掴んで下げさせた。こうやって覚えていくんだ。
すぐに座るように指示されて、わたしたちはまたふかふかソファーに腰をおろした。
「はい、確かにわたしたちはヲルト草原にいましたが、まだ聖女様と決まったわけではありません」
さっきまでと違ってイケ様を前にした緊張に、声が震える。
「わたしは篠原真理子、この子は篠原あかりです。…こちらの名乗り方だと、マリコ・シノハラとアカリ・シノハラでしょうか。クラウド様にはマリー、アーリーとお呼びいただいています」
声が引っくり返らないように、あかりを横に座らせて、片手で動かないように引き寄せ、もう片手はぐっと握り混んで力をこめる。
敬語は得意ではないけど、よっぽど崩さなければ、そう問題もないはず。クラウドさんからもそう言われてたし。
「では、私もマリーと呼ばせてもらおう。マリーは聖女のことをどれだけ聞いたのだ。自分が聖女ではないと思う理由を教えてほしい」
王様、人の上に立つ人の威厳と存在感だけど、ムダな上から目線ていうか、変に偉ぶった態度じゃない。
(あ~、なんか印象良いわ)
それだけで、人としての質を感じるね!
同じ字を使うのに人質とはえらい違いだね!