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学生からやり直しましょう

 今年もあと一ヶ月。

 いろいろと忙しい月ですが、健康や家事、事故に気をつけてお過ごしください。

 ラーディア王国は500年ほど前に建国された小国である。

 しかし、周りを険しい山、その麓は実りの多い木々が生え、土地は肥えており、唯一山のない南西側は海に面している。

 国民性も穏やかで争い事の少ない国である。

 その昔は他国が土地を求めて戦争を仕掛けてくる時代があったが、山にドラゴンが住み着くようになるとそれも無くなった。

 戦争終了の感謝をドラゴンに捧げてからはお互いに良い関係を築けるようになり、今では村や街の近くに住み始めるドラゴンも少なくない。極めて珍しいことではあるが、そのお陰でますます他国からの侵略は阻止され、ラーディア王国とドラゴンの関係はより良くなっていった。


「ドラゴンも王国の人達も優しい人達だったんですね~」


 ただいまお勉強中。

 教科書には優しい顔をしたドラゴンとニコニコ笑った人間が描かれている。

 絵本である。

 ウィンダリン先生は優しい先生でした。


「そもそも、最初のドラゴンさんはどうして山に住み着いたんですか?」

「人の手がほとんど入っていなくて魔物や動物といった食料が多かったから、と言われています」

「魔物がいるんですか!?」

「はい。ドラゴンが住み着く前は魔物被害も深刻だったと文献に残ってます。ですが、ドラゴンが住み着いた後は食事事情か魔物が逃げ出したのかは分かりませんが」

「じゃあ王国の上層部は侵略が無くなって、国民は魔物被害が無くなっての感謝だったんでしょうか」


 よく怖がらなかったのね~、国民のみんな。

 あんな大きいのがやって来たら絶望がまずきそうだ。


「そうですね。そうかもしれません。もともとドラゴンはドラゴンしかいない島でコロニーを作ってるそうですが、ラーディア王国の周りの山で産まれるドラゴンも今はいるそうです」

「へー、じゃあ、ドラゴンの赤ちゃんが見れるかもしれないんですね!」

「山の中でも険しいところに巣を作ってるとのことなので、難しいかと思いますが」

「そうですか~、残念」

「では、文字の書き取りをいたしましょう」


 絵本の表紙から書かれてる文字を真似ていく。

 英語アルファベットと言うよりロシア語に近い文字を書き順を確認しながら書いていく。

 一つずつ単語を読みながら書いていくと頭に入りやすいわたしは、先生にそういう勉強の仕方をお願いしていた。

 ホントは写経みたいになぞれたら字もキレイになりそうなんだけど、薄い紙はないそうで、コツコツと頑張ることにした。

 言葉は通じるのに文字は読み書き出来なかったことが分かった時はクラウドさんと頭を傾げた。

 どうせならそこまで面倒見てほしかったけど出来ないものは仕方ないし不便だからやるしかない。

 隣ではあかりがペンを持ってぐちゃぐちゃと書きなぐっている。

 とにかく読み書きが出来ないと勉強を進められないのでしばらくはウィンダリン先生の授業が中心になるそうだ。

 マナーは同時進行らしいけど。


(マナーとかマジで苦手なんだけど。日本のだって畳の縁を踏まないとかそれくらいしか知らないし!)


 障子や襖は立ったまま開けてましたが何か?

 手が塞がってるときは足を使ったりもしましたが何か?

 ナイフとフォークなんてほとんど使ってないし、お箸とは言わないから竹と小刀があったらください。作るから。


「失礼致します。お茶をお持ちいたしました」


 ぶつぶつ単語を読みながら書いていると軽いノックとアルラの声がした。


「それでは休憩にしましょうか」

「は~い」

「あ~」


 あかりをだっこしてお茶が置いてあるテーブルに向かうと、アルラがお菓子を用意していた。


「アルラ、ありがとう」

「お勉強お疲れ様でございます。マリー様のお好きなお茶菓子をお持ちいたしましたので、ゆっくりご休憩ください」

「いやあ、久しぶりにあれだけ字を書いたし。普段は手紙も書くことなんてないし」


 メールとかはよく打ってたけどね。

 とは言えないけど。


「腕もお疲れでございましょう、夜にはマッサージの得意な者を呼びますので」

「えっ!? そこまでしてもらえるものなの? ちょっと甘やかしすぎない? 王族じゃないんだよ?」


 破格の厚待遇ですな!

 聖女ってそこまでなの!?


「いいえ、頑張っていらっしゃるのですから当然でございます」

「はあ、ソウナンデスカ…」


 確かに頑張ってはいるけど…。


「そうですね、マリー様はとても頑張っていらっしゃるのでそれくらいは当然ですね」


 ウィンダリン先生まで!?

 お手柔らかにとは言ったけど、ご褒美(そっち)にきたか~!

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