最後の体験 結末
突然ですが最終回として2話に分けるつもりでしたが、ひとつにまとめてしまったので、最終回になりました。
勇輝はコルトガバメントの引き金を引いた。
カチン
「は!?」勇輝は拍子抜けたような声をあげた。
ガバメントに弾は込めれていなかった。
「クソッ!沢田の奴(利哉の事)弾込めろって頼んだのに!」勇輝はコルトガバメントを未来に向かって投げつける。
しかし、効くはずもなく未来の腹に当たる。
(どうする!?後ろは行き止まり、武器もない……これまでか?)勇輝がそう考えたときあることに気がつく。
(未来の腰に銃が!)未来の腰にグロッグが刺さっていることに勇輝は気がついたのだ。
(これを失敗すればゲームオーバー確定だな!)勇輝がそう思い、未来の銃を取りに行こうとした時、
ガシッ
「な!?」勇輝の両肩を未来が掴む、
(そこまで近づいてたのか!?)勇輝は未来の腕を掴むが、力が強くて振りほどけない。
未来が口を大きく開けた。そして、勇輝を噛もうとする。
「やめろ!………クソッ!聞こえてねぇのか?」勇輝が言うが未来は勇輝を餌としか見ていない。
(力が抜けてきた………ここまでか……)勇輝はついに諦めた。
そして、勇輝は未来を押さえていた腕の力を抜く。
未来は素早く勇輝の喉元に噛みつく。
ガブッ
「ガハッ………」勇輝は言葉にならないほどの痛みを感じている。
未来は飛び付くように噛んできて、勇輝は後ろにのけぞる様な体制だったが耐えれず、右足を後ろに一歩下げる。
しかし、地面はなかった。
勇輝は後ろから高架橋の上から落ちる。
未来は噛みついたままで、一緒に落ちていく。
ゴシャァァン
勇輝と未来は下の白いワンボックスカーの上に落ちた。
そして、勇輝の意識は途絶えた。
「うわっ!………あれ?」勇輝が目を覚ます。
そこはKANAME支社だった。
「これはゲームだったよな……」勇輝が呟く。
一人の男性が走ってきた。
「お疲れ様でした。」そう言いながら、勇輝に被せたバイクのヘルメットの様なものを外す。
「それでは、ロビーに戻って休んでいてください。渡すものがございますので。」そう言って店員はどこかに行ってしまった。
勇輝はロビーに戻る。
自動ドアをくぐると何人かの人が駆け寄ってくる。
「クリアーしたのか?」
「エンディングどうだった?」
質問はクリアーしたことを前提としたことばかりだった。
「クリアーはしてねぇよ。……誰かさんが俺のガバメントに弾を込めなかったからな。そして、誰かさんのゾンビに食われたよ。」勇輝は未来と利哉の方を見て言った。
「ギクリ」二人は一瞬ビクッとした。
まず言い訳を始めたのは未来だった。
「沢田が弾を込めなかったから私が田中(勇輝の事)に噛みつく事になったんだから。」未来は言う。
「はぁ!?そりゃ弾を込めなかったのは事実だ。でもな、噛まれたことを隠していたお前も悪いだろうが!」利哉が言い返す。
すると、後ろから利哉が叩かれた。
パシン
「いってーな!誰……だ…よ…」利哉は後ろを振り返り驚いた。
「多岐?」(恭子の事)利哉は驚いている。
「男でしょ!男がグチグチいうな!」恭子はそう言うが周りの何人もの人がニヤニヤ笑っている。
「な……何よ」恭子は感づいているが気づいてない振りをした。
「お前……俺に好きとか言ってなかった?」利哉が言う。
恭子の顔が一気に真っ赤になる。
そして、利哉にアッパーを喰らわせた。
利哉が後ろに倒れる。
武が駆け寄る。
「ワン・ツー・スリー」床を叩きながら言う。
「多岐 恭子選手の勝利!」武がそう言いながら恭子の右腕を上げる。
「うるさいッ!!」恭子は武にもアッパーを喰らわせた。
武も後ろに倒れて動かなくなる。
「ダブルノックアウトだ……」未来は言う。
そこで佐紀も勇輝にちょっかいを出した。
「そう言えば…田中も藤林さん達が心中したとき泣いてなかった?」佐紀が言う。
「わ~~~!バカバカバカ!」勇輝は必死に声でかき消そうとするが遅い。
「藤林ぃ~~って」佐紀は勇輝の真似をしている。
「だから、やめて~~!」勇輝の顔は真っ赤だ。
幸子がよってくる。
「へぇ~~、まだ思ってくれてるんだ。」幸子が言う。
「だ、だから……どどどうしたんだよ。」かなり勇輝は動揺している。
「いいよ。付き合っても。」幸子が照れくさそうに言う。
周りから歓声と口笛が起こる。
いつ起きたのか、武が駆け寄る。
「良かったな~。……あれ?」武が言う。
「どうしたの?」未来が聞く。
「こりゃダメだ。完全に方針状態だ。」武が勇輝の頬をペシペシ叩くが反応しない。
「まぁ、このゲームで二組のカップルが出来たな。」武がまとめる。
「そう言う自分は出来て無いじゃん。」佐紀が言う。
「お前でもいいぞ。」武が言う。
「お断りします。」佐紀が断る。
笑いが巻き起こる。
利哉もいつのまにか起きている。
店員が突然出てきた。
「お取り込み中のところ申し訳ございませんが……渡すものがございますので……名前を呼びましたら取りに来てください。」
一人一人の名前を店員が呼び始めた。
勇輝も正気に戻る。
「何渡してるんだ?」勇輝が聞く。
「さぁ?」幸子が言う。
そして、全員にDVDが渡された。
「あれ?俺4枚だ。」
「俺は一枚。」みんなが疑問に思っている。
店員が説明をした。
「これはゲームでの自分自身の行動記録となっており、それを映像にして、一枚六時間で収録させていただきました。」
「ってことは、自分がなにしたかって事も分かるんだな。」利哉が言う。
「はい。そうです。自分目線なので全員違う内容になっています。l店員が言う。
「世界にひとつのDVDだな。」武が言う。
「そうだな。」勇輝は4枚のDVDを見る。
「お帰りはあちらです。」店員は正面入り口を指差す。
「帰るか。」利哉が言う。
「そうだな。まさかの彼女もできたし。」勇輝が言う。
勇輝達がKANAME支社の自動ドアをくぐった。
そして、KANAME支社を後にした。
人気があれば続編もあります。
ひとまずこれでおしまいです。
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