体験20 申し込み
展開が早すぎる!
「良いか、絶対に工大には近づくなよ。工大に行くなんてもっての他だ。」健二が冷たく言う。
「分かってるよ!」そう言いながら勇輝は路線バスのハンドルを左に切る。
路線バスは環状道路を曲がって鶴来街道に入った。
後ろについてきている夏海も同じように曲がる。
路線バスは放置車両を避けるためにかなり荒っぽい運転だった。
「もっと優しく運転できないの!?」女子が言う。
「不満があるなら変わるか?」少しキレぎみで勇輝が答える。
女子は黙りこんだ。
すると、夏海が乗ったオフロードバイクが接近してきた。
「もっとスピード上げろ!」武が言う。
しかし、オフロードバイクはさらに迫ってくる。
「クソォォォォ!」武が持っていた89式小銃を夏海目掛けて乱射する。
ダダダダダダ
夏海はオフロードバイクの座るところに器用に立ち、飛んだ。
ドン!
路線バスの天井から何かが乗った音がした。
オフロードバイクは無人になり、放置車両に激突した。
「天井に乗った!」健二が言う。
健二は持っていたMP5を天井に目掛けて乱射する。
タタタタタタ
しかし、当たった様子はない。
すると、夏海は後ろの割れた窓から入ってきた。
全員が銃を向ける。
すると、以外にも喋り始めた。
「オマエラノナカカラヒトリト、ショウブガシタイ。」カタコトだが確かに皆には聞こえた。
「え………」皆は呆気にとられた。
皆はてっきりすぐに攻撃してくるかと思ったからだ。
「勝負って何だよ。」利哉が聞く。
すると、ちゃんと質問に答えた。
「イッタイイチノタイマンダ。」その間も鶴来街道を路線バスは突き進む。
「一対一か、負けたらどうなるんだ?」利哉がさらに聞く。
「ソノトキハゼイインコロス。」さらっと酷いことを答える。
「トニカクノノイチチュウガッコウノグラウンドニムカッテモラオウカ。」夏海が言う。
「ここは仕方ない。従うぞ。」勇輝はそう言いバスを野々市中学校に向かわせた。
野々市中学校のグラウンドにバスを入れ、入ったところにあるテニスコートの前にバスを停めた。
野々市中学校に来るまで夏海は一番後ろの四人座れる座席の真ん中で座っていた。
もう辺りは暗くなって、グラウンドはナイターがついていた。
「ちゃんとボス戦はゾンビが来ないんだな。」男子が言う。
「サア、ダレガワタシトタタカウ?」闘いたくて夏海は仕方がないようだ。
「どうする?」佐紀が聞く。
すると、スッと手が上がる。
「私やりたいんだけど。」それは、野々市市役所で武器を要求してきた生意気な女子だった。
「………誰?」勇輝が聞く。
「お前知らないのか?高校の女子剣道県大会で優勝した多岐 恭子(たき きょうこ)だぞ。」利哉が言う。
「知らないな。」勇輝が言う。
「鈍感だな。」利哉があきれている。
そして、耳元でボソッと言った。
「あのロングツインテールとスタイル、顔も良い、さらに成績優秀、なのに性格がなぁ……」利哉がため息をついたとき、
「なんか言った?」恭子が笑顔で水平二連式散弾銃を利哉の顎に突きつける。
「別に………何も……」利哉の表情はひきつっている。
「んじゃあ、行ってくるね。」そう言い、水平二連式散弾銃を持って夏海の元へ行った。
「オマエカ。」夏海は言う。
「何よ。不満?」恭子は言う。
「ナニデショウブスルンダ?」夏海が聞く。
「その腰に刺さっている警棒ね。それで良いわ。」恭子は夏海の腰にある2本の警棒を指差した。
「イイガ、ケイボウハナマヌルイ。」そう言うと警棒を抜き、地面においた。
すると、警棒が2本とも日本刀に変わった。
「さすがゲームね。」恭子は感心している。
そして、水平二連式を勇輝達がいる方に投げた。利哉のがキャッチした。
「私が勝つまでしっかり持ってなさい。」恭子は言う。
「わかった。」利哉は返事をした。
夏海が勇輝達に忠告した。
「コノタタカイニマキコマレタクナカッタラバスノナカニイテクダサイ。」
勇輝達は素直に応じた。
全員がバスに乗った。
恭子は日本刀を持った。
夏海も日本刀を取る。
二人は少し離れる。
そして、
「ハジメルゾ。」真剣勝負が始まった。
次回のバトルシーンは頑張ろう。




