体験12 第二の事故
漢字でどちらか迷った漢字は平仮名で書いてます。
勇輝が運転する軽トラックには荷台に乗っている人も合わせれば8人しかのっていなかった。
「どこいくんだよ?」徐っ席に乗っている利哉が聞く。
「野々市市役所に決まってるだろ。」勇輝が放置車両をかわしながら言った。
「あそこには自衛隊が基地作っていたんだろ。それならこんなボロい軽トラじゃなくて装甲車とか乗りたいな。」勇輝が言った。
ドン
道の真ん中にいたゾンビを跳ね飛ばした。軽トラックのフロントガラスの右下の端に蜘蛛の巣のようなヒビが入る。
「ほら。」勇輝が言う。
「わかった。大体もうつくじゃねぇか。」ため息をつきながら利哉が言う。
そして、2人の会話が終わったとき佐紀が叫んだ。
「あの女子が追いかけてる!」
勇輝はサイドミラーを見た。確かに、60kで走っている軽トラックを追ってきている。
「もっとスピード出せよ!」後ろの荷台に乗っている男子が言う。
「無理だ!これ以上スピード出すと放置車両をかわせねぇ!」勇輝が反論した。
「むぐっ………」男子はハンドルを握っているのは勇輝なのでそれ以上はなにも言えなかった。
「市役所だ!」利哉が言う。
市役所が見えてきた。
その間もドンドン狂暴な女子と軽トラックの間合いは詰められていく。
勇輝がサイドミラーを見ていると、利哉が大声で言った。
「前!勇輝!前みろ!」切羽詰まっている。
勇輝が前を見ると大破した2台のブルドーザーが前方の道を塞いでいた。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」慌てた勇輝はハンドルを右に切る。
軽トラックはブルドーザーをギリギリかわしたが、今度は市役所の前にあるそこまで大きくないロータリーを突っ切り正面玄関にスピードを緩めず突っ込みそうになる。
勇輝はブレーキを踏み、サイドブレーキを上げた。
しかし、荷台に乗っている人達は頭をかばうような姿勢をとっている。
ブレーキ音が響く、
ガシャァン
ドン
軽トラックは正面出入り口の自動ドアを突き破り受け付けに突っ込んだ。
そして、軽トラックから降りて利哉と勇輝は、
「お前事故り過ぎだ!」利哉がキレる。
「うるさい!お前運転できないだろうが!」勇輝も言い返す。
「知らねーよ!俺ら高一だぞ!運転できる方がおかしいだろ!」利哉がさらに言い返す。
「別に出来ても……」勇輝がまた言い返そうとしたときだった。
タタタタタタ
先程助けた女子がMP5を天井に乱射した。
利哉と勇輝は唖然としていた。
「ケンカするならゲーム終わってからにして!これ以上するなら殺すよ!」そういいながらMP5を向けてくる。
「はい……」利哉と勇輝は同時に返事した。
「来たぞ!」男子が叫んだ。
狂暴な女子は市役所の前のロータリーに立っていた。そして、ロータリーに止めてある“野々市市役所”と横にステッカーが貼ってある白いよく業務用として使われる普通乗用車に向かった。
そして、しゃがんだ。
「まさか………逃げろ!奥に逃げろ!」武が叫んだ。
「何で?」上下二連式散弾銃を構えた勇輝が言う。
狂暴な女子は市役所の普通乗用車を持ち上げ、頭の上に掲げた。
すると、受け付けに突っ込んだ軽トラックの周りにいた人達は顔色を変えた。
「逃げろ!」武が叫んだ。
みんなは、市役所の奥へとバラバラに逃げていった。
そして、狂暴な女子は市役所の普通乗用車を市役所の正面玄関に向かって投げた。
また事故ったな。