チャレンジ精神は大事です
全体のPV数がいつの間にか5000近くに・・・
なんで・・・・??
「・・・・で、今日はどうするんだ??」
本日二度目の質問に、俺は「うーん」と首を傾げた。
ちなみに一度目の時は、学校もないなら、どうせならのんびり贅沢に朝寝坊しようとした俺をご丁寧に日の出前に叩き起こしてくれた上での問いかけだったので
え、マジふざけんな
せめて夜が明けてから起こせよ筋肉ボケめ
とか寝ぼけた俺がグスタフをぶっ飛ばした事でお流れとなった。
チート設定で筋力諸々が上がってるらしく、グスタフは楽々吹っ飛ばされてくれたので俺は幸せな二度寝を思う存分味わい、今の時刻は朝と昼の中間といったところか。
夜遅くまで起きていた訳ではないので、この時間はさすがに「寝すぎたか?」とも思うに値するものだったが昨日はイロイロあったのでOKという事にしておいた。うん。
「とりあえず、字が書けるようになりたい・・・かな??」
読めるし話せるのに書けないというのは若干もどかしいものがあるのだ。
書けるに越したことはないし、何をするにも楽になるだろうと踏んだからでもあるけど。
「字・・・か」
どう教えるべきかと悩むグスタフに俺は少し考えて「図書館みたいなのに行ければ大丈夫だ」と告げた。
少しばかり不思議そうな顔をされたが自信満々な俺を見て大丈夫だと判断したのか、グスタフは街の中心にある大きな図書館に連れて行ってくれた。
高い天井まで伸びる背の高い本棚がズラリと並んでいる図書館の中の光景は壮観で、「うへぇ~」と俺は思わず声をあげた。
読書が趣味なタイプではなかったので、本ばかりの部屋に魅力は感じない。
というより、圧迫感がスゴイ。
「この世界1の図書館だからな。驚いたか??」
まるで自分の事のように胸を張って自慢するグスタフを手を振って適当にかわした俺は、迷わず案内板を見て絵本コーナーへと直行する。
「絵本コーナーか?」
「そー。読めるし話せるから、後は字自体を覚えるだけだと思うんだよね。でも、びっしり字が書かれてると飽きるから絵本が妥当かな~と。」
「ほぅ。・・・それにしても何故、書けないのだろうな?」
「・・・・それは俺が知りたいよ」
字も書けるようにしといてくれれば良かったのにとは思うが、他が色々アンフェアなので諦めもつこうというものだ。
オールマイティーは、なんか怖いかんな。。
俺は本棚から絵本を数冊ごっそり抜き取ってきて、「記憶」を発動させ、パラパラと言葉と絵を覚えていく。
読めているのだから、記号の様な字の並びを覚えるだけだ。
魔法もあるし、らくしょーだぜ!
と、そんな感じのノリで図書館で午前中の時間を過ごし、文字の形と文法、読みを一致させ紙に書くという作業を繰り返した俺は難なく文字を書けるようになっていた。
綺麗な字とはお世辞にも言えないが、読むのに苦労はない程度なので俺的には大満足だ。
・・・が、書けるようになった喜びと同時に日本語を忘れてしまうんじゃないかという恐ろしさを感じるようにもなっていた。
無意識に話す言葉が日本語ではないのはなんとなく分かっていたからその恐怖感も一塩だったりする。
日本語分からなくなったらどうしよ・・・・と悩んだ末に、俺は平仮名と片仮名と覚えうる漢字を紙に書き、「記憶」で覚え直すという強硬手段に出ることにした。
異世界にいる事が「当たり前」な感覚になってしまう事が怖かったんだ。
俺は、ここでは異端者。それを忘れたくなかった。
・・・・その結果、紙に無心で超高速で異世界の言葉を書き続ける俺と、その横で聖書を捲る筋肉の塊の神官長が、周りから変な眼で見られていたのは致し方のない事だったと言えよう・・・・・。
*********
「こちらがギルドカードになります」
図書館から出てグスタフと別れた俺はその足で冒険者ギルドへと向かった。
さすがにグスタフは神官長としての仕事があるらしい。
教会の人が恐ろしい顔で図書館に来た時は何事かと思ったが、なるほど、確かに考えてみれば立場ある人が俺なんかにずっと付き合っていられ訳ないんだなと納得して俺は素直に引っ張られていくグスタフを見送った。
決して、鬼の形相の神官さん達が怖かったわけじゃないぞ??
うん・・・違うぞ??
「あの・・・??」
出来上がったばかりの俺のギルドカードを差し出したまま放置状態のお姉さんに慌てて謝って、俺は回想を振り払った。
カードを受け取り、お姉さんにお礼を言って依頼がびっしりと貼られた掲示板に即直行。
さっきまで「お勉強」していたから今度は「運動」のお時間だ。
「ん~・・・・。ど・れ・に・し・よ・う・か・な~っと・・・」
よくある神頼みのアレで選んでいると、
『コレですかね』
と横から黒いモフモフの手が伸びてきた。
!?!?!?
驚愕に固まる俺を『なんですか?』と馬鹿を見るみたいに見ているのはナイトだった。
やっべ
・・・・・・存在、すっかり忘れてた
『ことごとく失礼ですね』
はぁ・・・。と深く溜息をついたナイトは、『まぁ、いいでしょう』と鼻で笑った後に
『これですよ、コレ。これを受けなさい』
と、てしてしと一つの依頼状を叩いた。
[ランク.B ジャロディスタ沈静化任務]
と書かれた依頼書に「はて?」と俺は首をかしげ、自分のギルドカードを確認する。
思った通り、俺のランクは最低ランクの「F」。
当たり前だ。だって俺、登録したばっかだもんね。
「いやいや、お前話聞いてた?自分のランクより上の任務は1つ上のくらいしか受けられないってギルドのお姉さんが・・・」
『は?聞いてましたが何か?』
「え?じゃあ・・・・」
じゃあ、オワカリデスヨネ??
ランク.Bと言えば、S・Aに続く高ランク任務。
駆け出し冒険者の俺ごときがそんな高ランク任務受けられるわけがない。
『それが何ですか。小さいランクのやってたって貴方には無駄なだけですよ。それに勇者とやるためにも手っ取り早く経験を積む必要がありますからね。問答無用でコレ、受けなさい』
・・・・・・・・俺に死ねと????
頭の中ではジャロディスタの情報がぐるぐると回っている。
なんで知ってんのかって、文字を覚えるために行った図書館で見た子供向けの「どうぶつずかん」に書いてあったからだ。
【ジャロディスタ 属性.光】
相手を殺すことを決してしない珍しい魔獣
純白の姿は美しい高潔な存在
普段は大人しいが、怒らせると手に負えなくなる。
とか確か書いてあった。
「記憶」で覚えた情報なので、間違ってはいないはずだ。
補足情報だが、絵本に書かれていた情報は子供でも分かりやすい砕けた言葉だった。
俺が勝手に自分に分かりやすいように色々変換しただけで。
閑話休題。話それたな・・・。
・・・てか、この絵本情報がホントなら少なくとも俺、死ぬ心配はないのか。。。
「沈静化ってのが何だかな~・・・」
引っかかりどころだ。
討伐でもなく、捕獲でもないとはどういうことなのか。
『ジャロディスタはこの国では神聖な生き物なんですよ。殺して良いわけないでしょう』
「ふ~ん。」
それは初耳だ。
光を司るトライト神を祀る教会があるからなのかな?とあたりを付けつつ、掲示板から依頼状を引っぺがす。
ちなみに、ナイトが出てきた瞬間から周りの時間は一時停止中だ。
コイツ、出てくるたびに世界の時間を止めるつもりなんだろうか????という疑問が湧いたが、聞いたらボロクソに言われそうなので止めておいた。
依頼状を持ってカウンター前に行くと、ナイトがスッと俺の影に消えて時が動き出す。
あぁ、コイツ出てくるたびに時間止める気なんだろうなとなんとなく確信した。
「これ、受けたいんだけど出来る??」
「えっ・・・!?・・・あ、少々お待ちください」
ギルドカードと依頼状をカウンターに置くと、俺に吃驚したお姉さんが目をパチクリさせて慌てて受け取る。
お姉さんからすれば、俺が突然目の前に現れたように見えたんだろう。
驚かせてゴメンネー
「・・・え~と、条件を満たしていないので受けることはできませんね。自分に見合ったものから選んでいくのがいいと思いますよ??」
「・・・・ですよねー」
返されたギルドカードを受け取って俺は頷いた。
案の定だったので、失望感は特にない。
というか、寧ろ俺が受けたくて持ってきた依頼状ではないので欠片ほどもそんな感情はない。
さっきギルド登録したばかりのビギナーが、無茶をしようとするのはよくある事なのか、お姉さんは言い聞かせるようにして俺に微笑む。
『実力は有り余るほどあるんですがね』
ボソッと呟かれたナイトの呟きは俺にしか届かずに影に消える。
だが見た目からして、そんなにガッシリしてるわけじゃない俺に無茶そうな依頼をギルド側がやらせる訳もないと分かっていたのか、ナイトは俺がお姉さんに謝るのを静かに聞いていた。
これでやっと分かったか、馬鹿め。
ギルドでの依頼はコツコツやっていくしか・・・・
『だから、要はギルドを通さなければいいんですよ。勝手に動いて鎮静化させる分には問題ないでしょう』
さらりと彼は言ってのけた。
・・・・俺、初めて猫科の生き物に殺意が湧いたよ・・・・
滅べ、馬鹿虎ーーーーーーー!!
こんなんで大丈夫でしょうか・・・・??
不安;;
少々短くなってしまいましたが、次は長くなる予定なのでご容赦ください
あぁ・・・短いと自覚したハズなのに1話分の長さが改善されないorz