肩書きは魔王様??
綺良は基本へたれな性格ですが、曲がったことが嫌いな優しい子ですから頑張って頂きたいものです(笑)
そんでもって、余談ですが次で黒虎君の名前が決まります^^
唖然、呆然、愕然。
今の俺にピッタリな言葉がどれかって?
・・・勿論全部だ。
こういうのって大抵は勇者だろーとかついつい脱力してしまう。
エクスカリバーとかオリハルコン製の剣とかを振り回す勇ましい正義の味方、勇者。
人々に害をなすモノをバッサバッサ切り倒して世界に平和を齎す皆の味方。
小さい頃、誰もが夢見たのはきっと魔王なんかじゃなくて勇者のハズだ。
な の に
俺がまさかの魔王サマ。
「お前ごときに負けるはずなかろう!」的テンションでいつも偉そうで、でも最終的にはほぼ全ての物語で勇者に負けてしまう敗北者それが魔王。
・・・しかし、魔王が負けて世界が平和になる話を見るたびに、「馬鹿だなーコイツ。実力もないのになんで魔王なんかやってんの?」と鼻でせせら笑ってたこの俺がまさかその敗北者になろうとは!!
世も末なんじゃなかろうかー。とか自分のことながら魔王選抜(?)の基準が心配になってしまう。
誰がこんな日本生まれ日本育ちの善良な俺が魔王になると予測出来ただろうか。
・・・いや、誰も出来なかったに違いない。。
とりあえず頭を下げたままの虎に顔を上げさせて、聞き間違いの線を期待して一応恐る恐る聞いてみたりするがキッパリと応えてしまう。
「いま・・・・魔王って言った?」
『はい』
「人違い・・・・なんじゃ」
『ありえません。』
おーまいがー!!
魔王の俺を見守ってくれる神様なんていなさそうだが、とりあえず定番の驚き方をしてみる。
しかし、当たり前のように聞き間違いじゃなかった。
人違いでもないらしい。
淡々と話す虎に軽く頭痛を覚える。
全て聞かなかった事にしてふて寝したい気分だ。
「魔王・・・・ね」
ははっ・・・と空笑いが零れる。
ゲームで「激弱っ」とか言いながら倒してた魔王にまさか自分がなろうとは。。
もう笑いしか出んぞ。
「嘘だね・・・ありえん・・・・そう、そうだっ!!これは俺の妄想だ!きっとそうに違いない!!」
『主様・・・。』
世界が一時停止しているのをいいことに頭を抱えてブツブツ呟いてたら虎が、残念そうな呆れたような溜息をつく。
悪かったな、こんなんで!!
とか叫ぶ。心の中で。
*********
「不毛だ・・・」
しばらく悶々と頭を悩ませていた俺だったが、正解の見えなさそうな思考を無理矢理追い出す事で復活を果たした。
ひとまずは、疑問を横に置いて置くことにする。
一人で考えた所で俺の脳みそに異世界の情報なんてものは存在しないのだから、いくら頭を悩ませたって答えが出るわけがない。
時間の無駄だ。
さしあたっての問題は、賢そうな虎に聞くことで解決することにして、俺は目を虎に向けた。
「えーっと、お前名前は?」
虎相手にアンタとかいう勇気、俺にはない。
やっと自分ワールドから帰ってきた俺に虎は尻尾を一振りすると『ない』と当たり前のように答えた。
『私は魔王様に仕えるただの魔獣ですから。名などありません』ということらしい。
魔王に仕えるってことは、この虎は俺に仕えてんの?あぁ、だからさっき僕って言ってたわけ??
『はい』
頭の中の疑問に虎がサラリと答える。
今更ながらに気づくが虎は口で喋っている訳ではないらしい。
多分、テレパシーみたいなものだと思われる。
だから頭の中も読めちゃうよーみたいな?
・・・プライバシーもなにもあったもんじゃない。
ま、そんな些細な事もうどーでもいいけどね。俺は。
「名前ねーのかよ・・・・不便だな。」
付き合いが長くなりそうなので、虎に了承を貰って俺は名前をつけることにした。
ネーミングセンスが問われる瞬間だ。
んー。と暫く唸ってから、ポンッと手を打つ。
割と早くインスピレーションが湧いたようだ。
「ナイトってのはどーよ」
『ナイト・・・・ですか?』
意味を計りかねているのか、虎が僅かに首を傾げた。
かーわーいーいー!
とかつい思ってしまったのは秘密だ。
一瞬顔を顰めていたのでばれてる可能性大だが。
なんてったって俺、犬より猫派ですからね。しょうがないじゃん。
「俺の世界の言葉で『夜』って意味。綴りは違うが同じ読み方で『騎士』って意味もあるな。」
NightとKnight、夜と騎士という二つの意味を併せ持つ持つ名。
なんかかっこよくね!?
とか自分の閃きに内心で拍手を贈るが、虎は無表情で『ふ~ん』というような表情だ。
あれ?俺ハズした??とは思ったが今更後には引けないので、虎の名前はナイトに決定。
問答無用。文句は言わせない。
俺が気に入ったからね。
「んで、ナイト。俺はどうしたら良いわけ??なんかやらなきゃいけないことがあるんだろ??」
それこそ定番中の定番だ。
きっとあれだろ??勇者を倒せば元の世界に帰れるんだろ????
という俺の予想に違わず、ナイトはコクリと小さく頷いた。
『はい。魔王様には、勇者を倒していただきたく存じます。』
「勇者・・・ねぇ・・・」
はいきた。定番中の定番だな。やっぱりね~・・・とは俺の心の声。
『はい。憎き存在、平和を乱す勇者に裁きの鉄槌を・・・』
なんてナイトは言うが、平和を乱すっていう言葉は「勇者」には似合わなすぎる。
大分、勇者に対しての偏見があるらしい。
ナイトが魔王側だからだろうなー偏見はいけないよ?偏見は。
勇者も世界の人々の為に戦ってるんだろうに・・・。ってかむしろ魔王が悪役なんだからそれは当て擦りもいいところだろ。
と我が敵勇者に同情の思いが浮かぶ。
・・・と、ナイトは俺の思考を読んだのか天を仰ぐようにして軽く首を振って溜息をついた。
心底、呆れた。といった風のナイトにさすがにムッとして、「なんだよ」とつっけんどんに言い放つ。
『勇者はこの世界のほぼ全ての生き物から憎まれています。あれは、自分の為だけにしか生きない存在。唯一勇者に立ち向かえる魔王を迎えることを、私は待ち焦がれておりました。』
理解するのに少しばかり時間が必要だった。
え、なに言ってんのコイツ?とばかりにナイトをついついガン見してしまう。
勇者は人間の味方でしょ??魔王って人間に嫌われてるんでしょ??
それがスタンダードな設定のはずだろ????
まぁ、もし、それが仮に本当の話だとしてだよ、チミ。。
それって勇者じゃなくね?????
みたいに思って途方に暮れた俺の感想は絶対に間違っていない。
後書き 名前、ナイトに決定~。
黒いからですよ、・・・・ハイ。
ネーミングセンスの無さに残念な思いでいっぱいですが、タマよりはきっとマシなはず。。
これから登場人物増える予定なのに名前大丈夫かな・・・・・