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暮木くんは『彼女』が欲しい  作者: 葛生雪人
2年C組 高田栞奈

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10/25

高田栞奈①

 十二月七日。

 緩士ひろと橋本はしもとさんに告白してから五日が経過した。

 なぜか私と橋本さんはすっかり仲良くなっていて、昼休みのバレーボールに彼女が顔を出すようになった。ただし、輪に加わりはしない。女子マネよろしく、派手なプレーには手を叩いて喜び、ミスには温かい言葉をかけ。早々にこの集まりの中でマスコット的な立ち位置を築いた。

 ここ二、三日で男子参加数が増えたのは言うまでもない。

「それにしたって、どうしてこんなことになったんだろうね」

 昼休み後、教室に戻る途中で橋本さんが眉をしかめた。カワイイ顔が台無しだよと私が言うと「二人はほんとお似合いだよね」と夕莉ゆうりが茶化す。

「でも私もびっくりよ。だって橋本さんの次が高田たかだ栞奈かんなでしょ?」

 夕莉は信じられないといった表情で言って私たちの一歩前を歩いた。器用にオーバーハンドで頭上にボールを上げながら前進する。

「そんなに驚くことかな」

「驚くでしょ」

 私が言うと、二人は声をそろえる。

「私の場合はガッカリもしたけど」

 橋本さんの口からため息がもれた。橋本さんが緩士に言った『まず近くにいる人を見なくちゃ』というのは私のことを指していたのだけれど、緩士はそんなことにまったく気づかず。

 『近くにいる人』という言葉を頑張って解釈した結果、一年から同じクラスで、比較的仲がよかった女子を選んだのだ。

 まあ、身近にいる女子には違いない。

 夕莉と橋本さんはそれが不満なようで、この三日間、あきもせず文句を言い続けている。

「高田さん、悪い子じゃないよ」

「ズバズバ言い過ぎるとことがあるけどね」

 夕莉がフンと鼻息を荒くさせる。

「私は嫌いじゃないよ」

 と橋本さんが言えば「裏切り者!」と声が飛ぶ。

「裏切ったりしてないよ。私は高田さんがどうとかじゃなくて、暮木くんが私の言ったことをちゃんと理解してくれなかったことについて怒ってるだけだから」

 そもそも高田さんのことはそんなに知らないし、と言うと夕莉が水を得た魚のように説明を始めた。

「高田栞奈っていうのはね、橋本さんとは正反対。どっちかっていうとうちらの属性ね」

「うちらって、私のこと?」

「当たり前でしょ」

 他に誰がいるのと叱られて、私はしばらく口を閉じると決めた。

 夕莉はそのあとも饒舌に語った。

 高田栞奈というのは私や緩士と同じクラスの女子だ。夕莉はクラスが違うが体育の授業で一緒になるのでよく知っているのだ。

 夕莉が言うところの『うちら』と同じ体育会系。ほんわか可愛らしい橋本さんとはジャンルがだいぶ離れている。

 緩士の好みも懐が深いと言えば聞こえがいいが、つまりは節操なしなのではと思ってしまう。

 その橋本さんとは似ても似つかない体育会系女子を夕莉がどうして苦手に思っているかというと、二人とも似たもの同士だからだ。

 遠慮のない言葉選びに、誰とでもすぐ仲良くなれる人懐っこさ。運動神経抜群で、マラソン大会に球技大会と、スポーツ系の行事では上位を争い火花を散らす。

「その高田栞奈に告白するなんて、暮木は何考えてるんだ! あの子がいけるなら、才苗でいいじゃん」

 よくわからない理屈を並べる。

 マラソン大会でゴール直前に抜かれたのを根に持っているのだ。

「緩士がそう決めたんだから」

 夕莉をなだめ、橋本さんにはごめんねと謝る。橋本さんは「植月さんが悪いわけじゃないから」と言ってくれたが、夕莉の怒りはなかなか収まらないようだった。

「だって、高田栞奈だよ」

 まだ言う。

「私がどうしたって?」

 声がして私たちは振り返った。

 そこには高田栞奈が立っていた。




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