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暗がりに火を灯す  作者: makoto
11/12

2-5

 こんこん、とノックが2回。……特に何も頼んでいなかったはずであったが。忍はびくりと体を震わせ、椅子に預けていた体を真っ直ぐに戻した。扉の方へと体を向けると、奥から控えめではあるがよく通る声が忍に呼びかける。


「……失礼します。仙道に言われてお茶を持ってきました」


 「どうぞ」と忍が声をかけると、扉が開かれる。仙道のような丁寧なお辞儀。ひらりと使用人の着る、簡素な着物をたなびかせて少女は部屋に入り、机の上にお茶とお菓子を置いた。


「……ありがとうございます」


 突然のことに忍は驚きながらも御礼をいう。そのまま、翻っていくかと思いきや少女は忍につかつかと近づき、彼の顔をじっと見つめた。


「忍様、と仰るのですよね」


 あまりにも不躾な視線に、忍は戸惑いながらも、「は、はい」と返事をする。しばしの間、二者の間に睨み合いが続いて。――といっても、忍に関しては睨んだつもりなど毛頭なかったのであるが。ようやく、少女は覚悟を決めたのか目を釣りあげて、口を大きく開けた。


「一体、お嬢様とどのような関係で?」

「……は?」


 予想もしていなかった質問に、あまりにも間抜けな声が漏れる。忍は慌てて自身の口を塞いだ。眼前には逃さないというふうに立ちはだかる少女。背後にはまるで威嚇している猫のような幻覚が見えるような気がするような、しないような。


「……えと、どのような関係って」


 戸惑いながらも、言葉を返そうと試みる。しかし、扉の音で忍の言葉は遮られた。忍と少女の視線がそちらの方に吸い寄せられる。


「……全く、帰ってこないと思ったら。辞めなさい蘭々」


 扉の外に腕を組んでたつ仙道。


「げ、仙道!」


 視線は、鋭く蘭々と呼ばれた少女に刺さる。ひょいと少女は忍の後ろに隠れたが。


「……見苦しいところをお見せして申し訳ありません」


 容易に回収され仙道の隣でぷいと頬を膨らませ、忍に対する反省の姿勢をとらされてるのであった。といっても、反省はあまりしてなさそうである様子の蘭々。渋い顔をした仙道は、悩ましげに眉間に指を立てる。


「……気にしないでください。ただ、お嬢様が男性を屋敷に連れてきて、彼女も興味を持っているだけなんです」

「そうだ!」


 相変わらず不服そうな様子の蘭々はふいに、先ほど蘭々が言った「どのような関係」という言葉が思い浮かぶ。どのような関係って、まさかそんな風に思われていたとは夢にも思わなかったというか。思いもよらない仙道の言葉に、忍はぎょっと目を向けた。


「あの、仙道さん」

「何でしょうか、忍様」

「別に、彼女とはそんな関係では……」

「……じゃあ、どういう関係なの!」


 話終わらないうちに隣の蘭々が、先ほどの丁寧な様子など欠片ほども覚えていないかのように、大きく声を上げた。ぺしり、と彼女の額を叩いて押しとどめる仙道。

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