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2話 #アプリM

 ピンポーン。


静寂を裂くように鳴った音に、俺と姉ちゃんは「ひっ」と肩を跳ねさせた。

こんな状況でインターホンなんて、心臓に悪すぎる。


……鳴り終わった後の静寂が、やけに長く感じた。


「……誰、だろ」


恐怖で心臓が暴れるように脈打った。

恐る恐るドアの覗き穴を覗く――が、真っ暗で何も見えない。


「人の気配は無さそうだけど……」


暗闇の中に誰かいるんじゃないかと、息を止めたまま、ゆっくりドアノブを回す。


ギィ……。


――暗すぎる。


外の街灯がひとつも点いていない。

俺はスマホのライトをつけ、周りを見渡した。


誰も……いない。


風もやみ、なんの音もしない。静かすぎる。

俺は、吸い込まれそうな暗闇にビビりながら、恐る恐る、一歩、足を外に出した。


その瞬間――


「うわっ!?」

足先に、コツンと硬いものが当たった。


「なに?なに?何かいたの!?」

姉の声が裏返る。


「……ダンボール?」


急いでスマホの光を照らすと、そこには小さな段ボール箱がひとつ、静かに置かれていた。


地味な茶色の箱に、白いラベルで大きくこう書かれていた。


HeyHeyHoHo Inc.


そのすぐ下、小さく刻まれた――「M」の文字。


「……え、嘘だろ。なんでここに?」


置き配? いや、違う。


誰かがわざわざ“今”ここに置いたとしか思えない。


外の空気がやけに冷たく、全身に鳥肌がたった。俺は慌ててその箱を掴み、ドアを閉める。


「この家しか電気ついてなかった。なんで?」

胸の奥がぎゅっと縮まる。


そんな中でも、ばあちゃんはのんびりとお茶をすすっていた。


「まあまあ、開けてみなさいよ」

ばあちゃんが落ち着いた声で呟く。


「……開けるの!?」

姉が顔を引きつらせた。


「開けよう」

怖いけど、気になって仕方がない。


二人で恐る恐る箱のテープを剥がす。


ベリッ……


ダンボールの中には――


本?……


と、何だ、これ……?


そこには、分厚い本と、見慣れない機械が三つずつ入っていた。


本の表紙には、大きく刻まれたMの紋章と、

金色に輝く謎の文字列が浮かんでいた。


しかし、その文字はまるで異世界の言語のようで、俺たちには読めなかった。


「……これが、魔導書ってやつ?」


古びた焦茶の革でできた表紙。

角や留め具には金の金具が付いている。

ただの本とは思えない存在感。


まさに、“魔導書”そのもの。


その横には、スマホサイズの黒い端末が三つ。

ガラスのような質感で、中央にはうっすらと「M」の文字が浮かんでいた。


「……なんだこれ。 これが、さっきの男が言ってた、リンク端末でスマホに繋げろってやつか?」


頭が追いつかない。状況の意味も、本も機械の正体もわからない。


「と、とりあえず、本、開けてみようか?」


姉がそっと本の表紙に手をかけた。

革のきしむ音が静まり返った部屋に響く。


ゆっくりと分厚い本を開く――


「……は?」

思わず声が漏れた。


だが、そこにあったのは、ただの白い厚紙。

どのページをめくっても、インクの跡ひとつない。


なんだよ、魔導書じゃなかったのかよ。

俺はダンボールに目線を戻す。

小さな紙が一枚底に張り付いていた。


ん?なんだこれ。俺はそれを読み上げる。


「“マジカルアプリをダウンロードせよ”だって……」


「え、どうやって?」

姉が紙を覗き込んでくる。


「“スマホをこの端末にかざせ”だって」


「え、それだけでいけるの?」


俺と姉は半信半疑。

とりあえず書かれている通りにスマホを端末にかざしてみる。


すると、一瞬スマホに熱が帯びた。


「なんか、スマホ熱いんだけど」


俺は恐る恐るスマホを確認する。

すると、画面には「アプリM ダウンロード中」の表示が。


「いけるんだ……」


バーの進行は遅く、完了まであと数十分はかかりそうだ。

姉も同じようにリンク端末にスマホをかざすと、勝手にアプリがダウンロードされ始めた。


「ばあちゃんの分は?」


「スマホなんて持ってないよぉ」


「……えぇ、どうするかな」


仕方なく、俺はばあちゃんの代わりにテレビに端末をかざしてみた。

やり方は正直わからなかったけど――適当にやったら、なぜか、接続された。


画面が青白く光り、文字が浮かぶ。


“ダウンロードを開始します”


その文字が、やけに不気味に見えた。


なにか、とてつもなく恐ろしいことが始まるような、そんな気がしてならなかった。

最後まで読んでくださってありがとうございます☺︎

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