親友 上
ゴールデンウィーク明けの学校に登校中、俺は啓介と話していた。
「啓介は、ゴールデンウィークどうだったんだ」
「まあ、予定だらけだったからな。疲れたよ。部活もあったし」
啓介はサッカー部に入った。小学校からサッカーをやっていた啓介は、
中学時代、大会で最優秀選手に選ばれたらしい。
やっぱり啓介のスペックには驚かされる。...もちろん俺は帰宅部だ。
「あ、よっ、啓介」
啓介の友達らしき人が来た。やっぱり啓介は高校に入っても人気だった。
「あっ、よう」
啓介が困ったような顔をする。
あ、そういうことか。
「啓介、もう行ってもいいよ」
啓介には新しい友達を大切にしてほしかった。
「...わかった、ありがとう」
すまなそうな顔をして、啓介たちは行った。
「感謝するべきなのは、俺の方だよ...ありがとな」
俺は小声でそんなことを言ったのだった。
教室に入り、自分の席に座る。その途中、だった。
「おはよっ、松野君」
白石さんに挨拶された。内心、びびる。そりゃあ突然、クラスのギャルに話しかけられたらびびる。しかもなんか男どもに睨まれてる気が...
「お、おはよう..ございます」
何とか言葉を発することができた。ぼっち陰キャにはギャル耐性は皆無なのだ。
白石さんは満足そうにうなずきながら戻っていった。
なんか気に入られることしたか?...いや、そんなことはない。ゴールデンウィーク買い物事件では、由香里に変なことを吹き込まれていて、俺がやった仕事というのは、
荷物持ちくらいだった。というわけで、俺が出した結論は、ギャルの性質で、こんな陰キャにも優しくしてくれるのだろう、というものだった。
そして、俺は席に座る。ふと顔を上げ、周りを見渡すと、白石さん、本田さんが一緒にいて、その周りに女子が集まっていた。そしてそれを羨ましそうに見る男連中。
彼女たちの人気はすさまじいものだった。入学してそろそろ一か月たつが、今では先輩たちが、彼女たちを見に来るほどには人気なのであった。
やはり、俺みたいなやつが彼女と一緒にいていいのだろうか。
そう悩みかけたとき、スマホが鳴った。
『昼休み、図書室ね』
俺はその言葉にスタンプを返し、授業開始をまった。
昼休み、いつも通り本田さんが出て行くのを待ってから、弁当を持って出た。
弁当を図書室で食べようというのは、練習時間を長く確保できるように本田さんが出した意見だ。最初は反対した。俺の存在は、誰にも気づかれないからいいとしても、
彼女となるとそうはいかないだろう。しかし、俺の懸念は杞憂で終わった。
白石さんがなんとなく察して、クラスメートを言いくるめてくれたらしい。
親友って便利だよな、啓介もそんなもんだし、
親友の顔を思い浮かべながら、図書室に入る。
すると奥から話し声が聞こえた。
「ねえ、本田さん、だっけ。暇なら、俺とご飯食べない?」
俺の知らない人の声だ。
「えっと、、すいません、今人を待ってるので、」
本田さんが困ったように言う。俺はというと...物陰に隠れてみてた。あんなやばそうな先輩に突っ込む勇気はなかった。...ヘタレといいたきゃ勝手に言え。
ナンパしてる男はやはりチャラそうだった。
「いいじゃん、そんなの、てか連絡先交換しようよ。絶対後悔しないよ」
「だから、無理ですって」
本田さんは、困ったを通り越して、泣きそうになっていた。
すると、チャラ男は笑みを消し、真顔になった。
「そっか、俺に逆らうとどうなるかわかんないんだ、じゃあ教えてあげるよ」
そう言って、本田さんの腕をつかもうとした。
気づけば俺は、叫びながら、二人の前に出たのであった。