ツンデレっていいよね
入学式は自己紹介で終わりだった。死んだ俺は怒っている本田さんから無我夢中(マジで記憶ない)で逃げていった。
「ただいまあ」
妙に疲れた声を出しながら言う。
俺の家は荻浦高校から15分歩いたところにある一軒家だ。
「おかえり、お兄ちゃん」
落着きつつも愛情のふくまれる声がリビングから響いた。
中学三年になった妹、松野由香里だ。兄である俺は父に似ていて黒髪だが、
由香里は母似の茶色がかった艶のある髪をボブにしていて、兄から見ても、、、、、まあ美人だ。(卓也はシスコンです)とりあえず、卓也と由香里が実の兄弟かほんとに疑う程度には美人だった。なんなら俺は自分は橋の下で拾われたんじゃないかとたまに思っている。
「...なんか疲れてる?」
このシスター、兄の変化に敏感すぎるっっっ。自分では隠せてると思ったのに...
「まあ、ちょっとな...」
「.......まさか、学校で変なことされた???」
「いや別にそういうわけじゃないんだけど、」
新たな扉が開いたことで体力を消耗してしまったとかこの妹には絶対に言えない。
「まあ、高校デビューしようとか高校合格した時から策を練っていたくらいキモイお兄ちゃんは初日から嫌われてもしょうがないか」
確実に端々にとげのある言葉が投げつけられる。だがしかし、妹の嫌味に慣れている兄の心には全く響かないぞ。まあデビューには失敗したんだけど、
「....」
言い返せないからじゃないから。別に嫌われてるとは限らないしな!しかし次の瞬間、
「まっ、まあ、お兄ちゃんがどーしてもって言うなら、ときどき、一緒に遊んであげてもいいけど」
顔を赤らめていう妹。とりあえず心のなかで俺は、、、、死んだ。
そうこの妹も典型的なツンデレブラコンだったのだ、、、、、、
こんな妹が現実にいてしまった。オタクの理想の妹、なんて可愛らしいのだろうか。
俺は今までこのツンデレ野郎をどうやって攻略したのだろうか。
正解は----毎回死んでいた、だ
この際攻略できてないじゃないかというどっかの誰かさんからの質問は度外視する。
何とか蘇り、自室に戻った卓也。そこはみんな大好きオタク部屋だった。
本棚には、漫画、ラノベ。窓際には、アニメキャラのアクスタ。極めつけは、ベッドの等身大抱き枕。
これが自己紹介で言わなかった、俺のもう一つの趣味である。いくらオタクにやさしい世界になってきたといってもしょっぱなからおおっぴらにすると印象はよくはなくなるだろう。う、あ、なんか中学のこと思い出してきた、(もう経験済み)
そう、あれは中一の春、自己紹介をしたときにやらかした。
人って緊張すると頭のねじが外れてしまう。そのことを身をもって知った。
俺の自己紹介の番がやってきた。
そこで、なぜか、、、、そう、なぜかオタク特有のマシンガントークを始めてしまった。
そして、気が付けば、後の祭りだったのだ。
-------
そう、だから二か月くらい前から準備をしてきたのだ。
だがやらかした。あの女につられてしまった。.....本当はわかってる、結局すべて自分が悪いんだと。そしてため息をつこうとするが、あの女を思い出すとあの初めての経験が思い出される。
それにしても俺にMの癖があったとは....
それにしてもほんとに気持ちよかった、
この日、俺はあの痛みを思い出し、眠れなくなったのだった。