表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/23

笠に蓑(みの)


 このあたりは杉や松が競うように上へ上へとのびていて、ただでさえ薄暗い道はいよいよ暗い。



 その曲がったほそい山道を、むこうからやってくる藁色の細いかたまりがみえた。



 いや、みのだ。



 笠をかぶり蓑をはおった男が、むこうからしっかりとした足取りでやってくる。




「 ヒコイチさん、――  なにもしゃべらないでください」


 ダイキチがヒコイチを見ないまま、ふところの手ぬぐいをだしながら低い声で命じる。


 返事をしそうになったヒコイチはあわててうなずいた。




「 ―― こんな降りになってしまって、参りましたなあ 」

 ダイキチが大きな声で、男が近づく前に声をかけた。



 笠をひきあげた男が、ようやくダイキチに気づいたように足をとめから、いやほんとうに、と寄ってきた。

「 ―― こんな山の中でひとり雨をしのぐのも退屈だし、駆けおりようとおもうておりましたが、これはまた、あまやどりのお仲間とはありがたい」


 親しみのもてる、はっきりとした声の、ヒコイチより上だろうが若い男だ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ