表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨宿りにカマキリのことをきくはなし  作者: ぽすしち
 四

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/23

ひどいと思い、ここにいる

 

 ダイキチが持ち歩く塩で、錆びた鎌とおやしろのまわりを《お清め》して、クスノキに手をあわせてからそこをあとにして、あとは何事もなく無事に帰り着いたのだが、つぎの日になるとじっとしていられずに、ダイキチのお屋敷を早くからおとずれてしまった。


 ダイキチは驚きもせず、いつものようにヒコイチをむかえてくれ、『先生』は、あの鎌をおさめに出かけている、とおしえた。


「 あの、黒いかめも、いっしょに『おさめて』いただけるようにしました。あれは、わたしらにはどうにかできるものではございません」


「やっぱり、ありゃあ、戦から逃げた、サムライかなにかの祟りってことですかい?」


「お侍・・・なのでしょうかなあ・・・わたくしにはサブロウさんの足に髪をからめてひきずられる、たくさんの首がみえただけですが・・・、 ともかく、瓶のなかにあんなに骨をためこむなんて、やはり、なにかの『まじない』なのでしょうな」





 サブロウは、刀にとりつかれたせいで首にこだわり、人をおそった。

 それをとめようとしたシロウは、ひとり山の中、兄をさがしつづけるなかで、兄はきこりに殺されたのを知る。


 だが、殺された兄は、幽霊になってもまだ人を襲いつづけた。


 坊主にもしずめられなかった兄をとめようとした弟は、両手に鎌をもち、ひとり山の中をさがしあるきまわる。 兄の幽霊には出会えずに、人を襲うことはとめられずに、気ばかりあせり、昼も夜も、もとの暮らしもすてて、さがし、あるく。  ―― やがて、杉の葉で着物をこしらえ、どこに出るともわからぬ兄の姿を、《なにかに憑りつかれた》ようにさがしまわる弟は、オオカマキリのバケモノとまちがえられたのだろうか?



 ひどいはなしだとヒコイチはおもった。


 そうくちにしたら、ダイキチも、おおきくうなずいた。



  だから、こうして三月みつきほどたったいま、ヒコイチはまた、ここにいる。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ