表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/23

おいはらう



「いや、この時期の雷雲かみなりぐもはよめないものです。 ねえヒコイチさん、わたしはここらで雨をしのぐので、先におりてください。たしか、ふもとすぐの集落には、お茶屋かなにか、あるでしょうから」


「ダイキチさんをおいて行くわけねえでしょ?だいたい、降ってくるのもまだすこし間があるかもしれねえし」

 いっているそばから、ばたばたと大粒の雨が木々の葉をたたきはじめた。


 お山にあるおやしろをまわっていたときの、あのあおいそらが嘘のようだ。


「ああ、ふりだしましたねえ」


 大粒の水があたりだした笠をあげ、上をみたダイキチは、セイベイの店でこのまえ仕立てた合羽かっぱのえりもとをあわせながら、ヒコイチへむいた。

「この合羽があれば、たいていの雨でもしのげましょう。ねえ、ヒコイチさん、先にいってお茶でも飲んでまっていてくださいな。わたくしもどこか大きな木で雨をよけて、小降りになるのを待ってから、おいかけますから」

 ねえ、そうしましょう、さあ、いってください、とダイキチはむこうをみながらヒコイチに手をふった。


 その、おいはらうようなしぐさに片方の眉をあげ、ヒコイチはダイキチがちらちらと顔をむけ気にする山道のむこうに目をむける。



  ゴロゴロゴロ



 また、雷が低くなりひびき、いよいよ雨あしが強まりはじめ、山の木々の葉を通して山道をぬらしはじめた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ