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3話 登校と疑問と決意

僕は学校へ続く通学路を歩いた。

正確には二人、でも一人で。

死神は僕の斜め後ろを歩いてる、足音はしない。

朝日が作る影もない。


でも触ろうと思えば触れる。

一体この死神と言うのはどういう作りになっているのだろう?

死、がついたとしては彼女は神である。


神ならなんでも可能だということなのだとうか?


…。


考えてみれば昨夜の出来事、もし僕らの会話を見ていた人、聞いていた人がいるのなら、僕は何もない空間に対して声をかけたり、後ずさりしたり、会話していたりしていたことになる。


いや、そもそも昨日の会話は聞かれていた時点で不審に思われる。

昨夜は突然の出来事でそんなことは考えないで死神と会話をしていたが、一晩明け冷静な今、昨夜の出来事を見ていた人がいたのなら、間違いなく噂はされるだろう。


でもそれは単なる噂だ。


そうだ、そんな噂されて、もし誰かが事の真相を尋ねに来たらとぼければいい。


死神との会話を直接見ていた、聞いたという人物が目の前に現れても時間的には夜。


街灯の光が届いたとしても、そんなに僕の顔は認識できないだろう。


ぼんやり考えながら僕は学校へと続く道を歩く。

学校へは、ほぼ一直線上に道が続いている。

家を出て少し歩き川沿いの道に入る。

この川はいつもゴミが流れている。


「良いことか…。」


思えば僕の心臓はこうやって歩いているときでさえ他人とは違うスピードで鼓動して魂を汚している。


少し考えればこの病気と魂の汚れの法則は見事に悪循環している。


心臓への負担、身体への負担は魂への負担、汚れ。

そして魂は心臓の原動力である。

僕が魂の汚れは増し、そしてどんどん死に近づく。


そう、動けば動くほど僕は死に近づく。


せめて病気が無ければこのスピードはかなりゆっくりで、もっと動けただろうに。


しかし、また考えてみればいろいろなケースが思い浮かぶ。

それを一つずつ死神の言ったことと照らし合わせてみる。


一つ例に取ってみよう。

例えば交通事故で死んだ人がいるとする。

そしてその人はものすごい善人だとする。


僕の病気と同じように交通事故の衝撃、痛み、ダメージというのは身体的負担なのだろう。


では、この交通事故というのは、汚れ無き魂を一気にどす黒くするまでのポイントがあるのだろうか?


この例を取ってみて僕は考えてみた。


人が死ぬ理由は魂の汚れだけではない?


ものすごい善人がたった事故を起こしただけで魂を回収されるなんてあまりにも報われなさ過ぎる。


この場合は果たして魂の汚れだけが死亡の原因なのだろうか?



そしてもう一つ、寿命について。


魂は心臓の原動力。

魂が綺麗ならば、心臓は動き続ける、つまり不死は可能ではないのか?


しかし、そんなのは実現しない。


魂が汚れている、いない関係なく、魂そのものも劣化していく。


魂をなるべく汚さないように生きる生き方、それが長生き。

健康でいることは身体的負担を解消するとともに魂への磨きをかける。


なるほど。


僕が生きるには健康になればいいだけか。

そんな簡単なことだった。

その手段として医学的に治療以外に方法を教えてくれた死神。


…。


僕は今まである程度の善人だっと思う。


でも僕の良い行いは魂の汚れのスピードに勝てなかった。

それだけのこと。


なんて単純なんだろう。


斜め後ろから着いてくる死神を見た。

相変わらず白のダウンジャケットにスカートを履いている。


夏だというのに矛盾している格好だ。


死神は着替えをしないのか?

昨日から同じ格好だ。


…そう考えていると次から次へと疑問が浮かび上がる。


寝ているのか?

ご飯は?

お風呂は?

トイレは?

家族は?

名前は?


死神が話しかけてきた。


「なによ、ずっと見ちゃって。」


外で何もない空間と話すのは目立つし不審だ。

僕には見えるが、僕以外には見えないようになっているらしいし。


可哀そうだが僕は死神を無視して視線を前に戻した。


…。


そろそろ学校に着く。


今日はやることがある。

死神が今朝出してくれて例、あれは提案だ。


恋を実らせればポイントは高い。


別にこれ以外にも良い行いでポイントが高いのはいくらでもあるだろうが、死神の話を聞いて僕はピーンときたんだ。


僕は前から気になっている女子がいる。


彼女の行動は見ていると、とても分かりやすい。


まぁ、とにかく。


僕の初の仕事が始まることになる。



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