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最強のドラゴンライダー

今回はドラゴンの目線です。

このお話は漫画版を描こうかなと思っています_(:3 」∠)_人型を描くのが苦手なので

アタシの名前はレイラ。黒龍部隊になるイーサンのドラゴン。入団手続きのため、王国に着いたところだ。

「あと1人来るはずだが……お、来たきた。こりゃすごいな!精鋭色が1人以上とは!それも2人とも黒龍のライダーか!」

興奮気味に教官の青龍部隊バーラットが言う。

皆とは少し離れたところに降り立ったライダーと黒龍。驚いたことに、黒龍はアタシよりも黒く、黒龍で最も強くなる深紅だった。そしてライダーの方は小柄で、顔つきが幼い。まだ子供みたいだけど、あのドラゴンは何を考えてるのかしら?

「よし、ステラとグレイヴ。だな。」

ステラ……女の子みたいな名前。

「ライダーは俺と、ドラゴンは俺の相棒ランジェスに着いて行け。」

ライダー皆が返事をした。

「レイラ、また後でな。」

えぇ。悪さしないでよ。こっちまで悪評が立つことになるんだから。

「しねぇって。」

苦笑いしながらそう言うと、同じ黒龍ライダーのステラに話しかけに行った。ステラは暗い表情をしていたが、イーサンが話しかけると、笑顔を見せた。その子のドラゴン……グレイヴはと言うと、他のドラゴン達と違い、自分の主を見送る訳でもなくスタスタとランジェスの方へと歩き出していた。アタシは小走りで彼に追いついた。他のドラゴン達も後ろから着いてきた。

「ちょっと、そこの黒龍。」

返事がない。無視?いいわ。上等よ。

「あなたの主と仲悪いの?……どこから来たの?……あなたの主はどうしてそんな幼いように見えるの?……なんで子供を選んだの?」

「黙れ。」

「黙らない。アタシはレイラ。黒龍同士交流は深めた方がいいわ。グレイヴ。」

グレイヴは大きく溜息をつく。

「あなたは見てなかったみたいだけど、あなたの主とアタシの主、もう仲良さそうよ。」

「空気を読んでいるだけだろ。」

入団後実技授業にて。

「ほらね?」

2人はもうすっかり楽しそうにお喋りしていた。


別のライダーと会話する授業が始まった。これは割とすんなり……というかアタシとステラが1番早かったと思う。

ねぇステラ、あなたってなんだか小柄だわ?失礼を承知で聞きたいんだけど、あなたって何歳?

「13。」

え、随分と若いのね。普通なら20前後……グレイヴ、子供には荷が重すぎるんじゃないの?

ライダーになればそれ相応の力が着く。

それは……そうだけど。

少し時間はかかったが、イーサンもグレイヴと会話することができたようだ。というか、そもそもグレイヴが喋ろうとしない。

次にライダーは基礎魔法、ドラゴンは炎ブレスの特訓。

「いいか、ドラゴンの炎は自然や人間、ライダーの魔法でできる炎とは訳が違う。色が青白いからと言って、それが熱く強い訳では無い。」

そう言ってランジェスは軽く細い炎を吹いた。色は白かった。

「喉を熱くし、自分の主を守ることを想像するんだ。そして思いっきり息を吐く。」

今度は太く大きい炎を吐いた。的は真っ黒に染まった。

「じゃ、やってみろ。火炎放射が出来たら、次は火球を教える。」

そう言ってランジェスは移動しようと歩き出すと、一瞬、青紫色の光とともに爆発が起こった。見ると、全ての的が青紫色の炎に包まれていた。的だけでなく、地面も。

「今……誰がやった?」

グレイヴの方を見ると、寝ていた。しかし、薄らと口元から細い煙が上がっていた。

「グレイヴ?」

「なんだ。」

「あなたがやったの?」

「それがどうした。」

すると、ランジェスが近づいてきた。

「グレイヴか?やったのは。それも爆炎弾とは。」

「火球と違うの?」

「その名の通り爆発する火球だ。かなり高度な技で、長らく生きた私でもまだできない。いつからできるように?」

「産まれた時には既に火は吹けた。爆炎弾は大人になった直後だな。俺はもう終わったんだ、早く寝かせてくれ。」

そう言うと再び目を閉じた。周りが呆気に取られている中、彼はお構い無しに昼寝を始めた。

私はライダー達の方を見た。彼の主であるステラは、基礎魔法を出せるようになるのが1番遅かった。


それからイーサンよりもあの子のことが心配でならなかった。というのも、それ以降の特訓で13なのもあるだろうが、明らかに他のライダーよりも筋力が無かった。何か持病でも持っているのではと。

それから義務特訓は来ないことが増えた。グレイヴも。

夜になり、物音が聞こえて目が覚めた。

龍舎の外に出ると、あの子……ステラがいた。少し離れたところにグレイヴもいる。ステラは迷路のような沢山の棒を駆け抜けながら、決まった的に木剣で斬りつけていた。

遅い!……殺す敵の順番を考えろ!我武者羅に斬っても不利になるだけだ!

「分かってるって!うるさいなぁ!」

バカタレ!味方を斬ってどうする!

「本物じゃないからいいでしょ!」

練習でやらかす奴は実戦でもやる。愚か者め。

「ちょっと黙っててよ!大人になった瞬間ごちゃごちゃ口出ししてさぁ!」

すると、グレイヴが赤黒い光線を吐き出した。魔法ブレスも吐けるなんて。気づけば障害物となる棒が全て破壊されていた。

「いたた……急に何?」

お前が死ねば俺も死ぬ。お前はそれを理解してないようだな。

「じゃあなんで……女の私を選んだのさ。」

え、あの子女の子なの?

グレイヴは何も言わずに龍舎に戻ってきた。

ちょっとグレイヴ、さすがに酷いんじゃない?あなたが黒龍なら、自然と力は着くわ。そんな急がなくても……それに、女の子って……あなた一体何を考えてるの?

黒龍の乗り手にしては弱すぎるな。

当たり前でしょ!?

グレイヴはアタシを無視して帰って行った。ステラの方を見ると、まだ特訓していた。


あれから数日が過ぎた。さすがに女であることを隠し通すことはできないようで、ライダー達はステラに対して、不信感や嫌悪感を漏らし、ドラゴン達はグレイヴを非難した。2人とも、気にしてないみたいだったけど。

そしてさすが黒龍の乗り手だからなのか、イーサンと並んで成績は優秀だった。すぐに正式に黒龍部隊となった。

「よ、レイラ。一緒に酒でも飲まねぇか?」

あらイーサン。アタシは要らない。っていうかドラゴンは飲食必要ないの知ってるでしょ。

「はははって元気無いな。どうかしたか?」

あなたのペアであるステラのことなんだけど。

「……あ、あぁステラか。どうかしたか?」

まだ子供で、女の子で、なんだか心配で。ねぇ、あの子は部屋で大丈夫なの?

「……あいつ、精鋭部隊皆に嫌われてるよ。赤龍部隊長を除いてな。特に白龍部隊からの嫌がらせが酷い。この前なんか……いや、やめとくよ。」

黒龍部隊は?仲間は守ってあげてるの?イーサンは?

「……。」

黙った。黒龍の乗り手は一匹狼になることが多い。気に食わない者がいれば、たとえ仲間であろうと遠ざけようとする。

「すまんレイラ。黒龍の仲間も、ステラを好きじゃないみたいでな。ライダーは弱すぎるのに、ドラゴンは1番強いことが気に食わないみたいでさ……俺も守ってやりたかったけど……自分が標的になるんじゃないかって思っちまって、一緒になって……あ、誰もいないところだとちゃんとステラを慰めてるぞ?」

いい大人が何してんのよ。

すると、外からまた特訓する音が聞こえてきた。グレイヴは……龍舎で寝ていた。

「なんだ?」

ステラよ……力をつけようと必死なのよ。

見ると、大分筋力は着いたみたいで、自分よりも遥かに大きな騎龍武器を振るっていた。

すると、突然ステラは血を吐いた。

「ちょ、おい!ステラ!」

そう言ってイーサンは走って行った。アタシも着いていく。

「イーサン……いたのか。」

「血を吐くまでやるなよ!」

「もっと強くならないと。」

イーサンの言う通りよ!少しくらい休みなさい!

「……私のやることに、口出しするな。」

そう言うと去っていってしまった。


あれから更に数年が経った。ステラは随分と大人になり、毎夜特訓している音が聞こえてくる。時々、グレイヴとステラの怒号も聞こえてくる。アタシの部屋が出入口に近いから尚更だ。様子を見ると、ステラは死ぬ気で努力していた。血を吐いてもお構い無しに続けていた。

そんなある日のこと、珍しくステラ自信がグレイヴの元へ龍舎に来ていた。片目を開け、聞き耳を立てる。

「グレイヴ。」

……なんだ。

「私と勝負して。」

……はぁ。

やれやれと言わんばかりに立ち上がり、外に出て行く。ステラも後を着いていく。しばらくしてから、私も出入口で隠れて見た。ステラとグレイヴは弧を描くように移動して様子を伺っていた。そしてグレイヴが尻尾で先手を取った。ステラは回避し、突っ込む。しかし、グレイヴが横から翼で追撃し、ステラを打った。何度挑戦しても、グレイヴの巨体にずっと翻弄されていた。別のライダーと空中戦することはあっても、ライダーと相棒のドラゴンと特訓している所を見るのは初めてだった。


それからアタシは毎日その様子を眺めた。徐々にステラはグレイヴの動きに慣れ、それに比例してグレイヴの攻撃はどんどん苛烈になっていった。

そして……

「ほらグレイヴ!いつもの動きはどこに置いてきた?怠けすぎて衰えたんじゃないか?」

ふん!小賢しいヤツめ。

気づけばステラは見たこともないような素早い動きで、逆にグレイヴを翻弄していた。そして2人は笑顔だった。笑顔を一度も見せなかった彼でも、口角が上がっていた。

ステラの騎龍武器が青紫色の炎に包まれた。レガーレだ。彼女だけ唯一発現していなかったのに。それをグレイヴに切りつけるが、彼は翼で自分を守った。

更に月日が経った。気づけば、黒龍部隊の間でステラを嫌う者はいなくなっていた。それ相応の力を着けたのもあるだろうが、何よりも彼女はとても心優しかった。見習い生の内でも、他の仲間に助言やお手本をして見せていた。そして今では貧困層にも手を差し伸べるようなライダーになっていた。

何となく、グレイヴが突出して強かった理由が分かったような気がした。彼は、1番弱く、1番若かったステラを守るためにあんなに早く強くなったのだろうと。

アタシは確信した。ステラはきっと最強のライダーになる。総帥を超える程の。あの、ドラゴン達の間で伝わる…希望の蒼き星になると。

外伝は不定期に更新予定です。

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