第43話 深層ダンジョン攻略後編Ⅱ
しばらく睡眠をとると起きる時間がやってきた……
「おはようございます、リッツさん……」
「おう、おはようブレイブ、ちゃんと眠れたか?」
「流石にダンジョンで寝ることになるとは思ってなかったので……あんまりちゃんとは寝れなかったですね……」
「まあ、そうだよな……こればっかりは仕方ない」
床で寝ていたことで体は痛いが、頭は昨日よりもスッキリとしている。どんな環境でも寝ると言うことは大切だと実感する。
「みんなおはよう!」
「……ああ、異常はなかったぞ……」
「おはようございます」
「おはようブレイブ」
シェルターから出るとダンジョンは変わらず明るく、目の前には広大な水面が輝いている。
これがダンジョンの中でなければすごく気持ちのいい目覚めだっただろう。
「これからの方針を話したい」
「はい!」
リッツさんの声で全員が集まる。
「これからやることだが……とりあえずこの湖らしきものに潜るチームと湖を中心に散策するチームに別れる。そして、何も発見できなかった場合には、一度滝のところまで引き返そうと思っている」
「引き返してもあの滝は登れないと思うわよ……」
「滝から分岐した別の川を下って行くことも視野に入れている。この湖につながっている川はこれしかない。つまり他の川は別のところに繋がっているってことだ」
「……そうだな……」
「わかりました、そうしたら僕は湖に潜ります……その間に散策してもらえれば……」
「私も潜る方に行くわ、泳ぐのは得意だし」
「私はあまり泳げないので……探索に行きます……ブレイブくん、気をつけ行ってきてくださいね」
「……探索に加わろう……」
『探索の方が役に立てそうなの〜』
「じゃあ俺は潜る方に行くとしよう」
こうしてチーム分けを行い、行動を始める
「すごい冷たいですね……」
「暖まったから余計に冷たく感じるわね……」
「だが行くしかないぞ」
「わかってます!それじゃあ行きましょう」
湖は手前3mほどは膝くらいまでの水深しかなかったのに、その先はいきなり深くなっていた。
水面に浮かびながら底の方を目を凝らして何かないか探して行く。
「……リッツさん、あれは?」
「どれだ…………あれか……」
僕たちの視線の先には不自然に出っ張った真四角の岩がある。明らかに人工的に切り出されたような形だが、置かれたものというよりは、底から生えているような一体感がある。
「近づかないとわからないですし、行ってみましょうか……」
「待て……アーネス!来てくれ!」
「何かあったのかしら?」
「今から俺とブレイブであれを調査してくる。何かあったらグレイ達を呼んできてくれ」
「……わかったわ」
ダンジョンでは何があるかわからない。今まで散々な目に遭ってきているから警戒するに越したことはない。
母に見守られながら僕たちは水底を目指して潜水して行く。
川底はかなり深く、10mほどは潜ってきただろうか……
近くで見れば見るほどに不思議な存在だった。
水底から盛り上がったような繋ぎ目の無い出っ張り、だけど自然に作られたものではありえないほど真四角の形
……そしてこれは……
「ぷはっ……リッツさん、あれは……」
「ああ、またあの仕掛けみたいだな……」
浮上した僕たちは目撃したものについて話をする。丸い穴と少し縦長の穴そして、それを繋ぐような線や文字……
リッチの部屋にあったものと同じだった。
「何かわかったかしら?」
「リッチの部屋にあった呪いの杖とナイフを使う仕掛けと同じものがあった」
「そうだったの……」
「一度みんなのところに戻るぞ」
僕たちはシェルターの所に戻り、グレイさんとハーミットにも仕掛けがあったことを話す
「……こちらには魔物はいなかった……」
「探知魔法も使ったのですが……気配がまるで無くて……」
『遠くまで見てみたけど生き物がいないの〜』
「いかにもって感じの怪しさですね……」
「だが、進むためにはやるしかないだろう」
「全員で起動するのでいいですか?」
「何があるかわからんからな、集まっていた方がいいだろう……」
「……ああ……」
こうして僕たちは仕掛けを起動するために再び水の中に移動する。
実際に起動させるのは母と僕の2人で、残りのメンバーは水面付近で待機という形になった。
「母さん、行くよ……3.2.1……今!」
「ええ!」
ーーーブゥン……ーーー
起動を確認したので急いで水面に浮上する
「ぷはっ!起動してきました!」
「さぁ、何が起きるか……」
「……なんだが水が減っている気がするわよ」
「どうする?シェルター側までいくか?」
「一旦そうしよう!急いで泳げ!!」
水はどこかに吸い込まれて消える感じではないのに、なぜか水量が減って行くという不思議な現象にあいながら、僕たちはシェルターのそばで事態に備えることにした。
ーーーパリン!!!ーーー
装置の起動後、何かが割れるような音と共に、空に穴が空き、太い木の根が降りてくる。
木の根はそのまま仕掛けの箱に突き刺さると、根の表面が螺旋階段のように変化する。
「あそこから登れってことなんでしょうか……」
「そうとしか考えられんな……」
「け、結構高さありますから、魔法で道を作りましょうか?」
「そうだな……いや、待て!」
ーーードシンーーー
ーーードシンドシンーーー
「ここで出てくるのか……」
「……ミノタウロス……」
木の根の階段を上から威圧するようにゆっくりと降りてくるのは右手に持った斧が血に染まり、左手には見覚えのある盾を持ったミノタウロスだった。
『ブモォォォォ!!!!』
こちらを見て雄叫びを上げるミノタウロスは探し物を見つけたような、どこか嬉しそな雰囲気すら纏っている。
結局はこいつを倒さないと帰れないってことか……
「とりあえずこの高台を確保できたのは良かったですね……間に合わなかったら下で直接戦うことになってましたから」
「そうだな……だが下に岩も落ちてるからな……こちらが魔法で攻撃しても向こうも色々と投擲してくるだろう」
「作戦を立てましょう……正面から戦っても今は勝てないでしょうから……」




