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第15話 捜索開始

いよいよピーターさんやグレイさんの捜索活動が始まった。

僕はハーミットとガーディさんと3人1組になって草原を進んでいく。

 痕跡や異常がないかを広く探すため、みんなで上から見るとジグザグな線になるような陣形を組んでゆっくりと西に歩いていく。


「皆さん無事だといいのですが……」

「なんにせよ、何かあったことは間違いねぇからな、俺たちも気をつけて進むぞ」

「は、はい……」


 2時間ほどかけて西の平原を進むと川に到達した。この川がリッツさんが言っていた水を汲む可能性があった場所らしい。

 ここにくるまでにピーターさん達をの安否がわかるような手がかりはなく、獣や魔物の気配も感じられなかったことを考えると、ピーターさん達はまだこの川の先にいるようだ。


「そんなに馬鹿みたいにでかい川じゃないにしても、それなりに深ぇな……入って渡るのはよくねぇか……」

「リンス!この辺に橋はねぇのか!?」

「ダメっすね!前あった場所のは魔物の襲撃の時に落ちちまったのか使えねえっす!」

「そうか……」


 ガーディさんは川に少し入り、長い棒を突き刺したりしながら川底を確認している。

 リンスさんはこの辺りも少し詳しいのか、若干北寄りにあったと言う橋の状況を確認しに行ってくれたが、状況は良くないらしい。


「ピーターさん達はどうにかして渡ったんですよね?」

「昼間っすからね、底が浅いところを無理やり渡ったんなら追いかけるのは無理っすね」

「あ……あの……」

「ハーミット?どうかした?」

「え……えっと、少し川幅が狭いところなら攻撃魔法を組み合わせたらもしかしたら渡れる場所を作れるかもしれません……」

「ほんとか!?」

「おそらく……ですが……」

「やってみてもらっていいですよね、ガーディさん!」

「ああ!時間も惜しいしな、頼むぜ!」

「は……はい!」

「少し狭いところならこっちっす!」


 リンスさんに誘導されて、北の端を少し超えたあたりの場所に辿り着いた。

 それでも川幅は10mほどはあると言った感じだ。

 「いきます!」ハーミットはそう言ってから杖を構えて集中する。


『アースランス!!』


 ハーミットが呪文を唱えると、5〜6mほどの先端の尖った土の柱が斜め上方向に向かって1本突き出した。


『アースランス!!』


 さらに何度か呪文を唱えると、5〜6mの柱で何人か同時に人が登れるほどの坂が出来上がる。


「ハーミット、でもこれじゃ半分ちょっとまでしか届かないよ?」

「で……ですので、先端に移動して、ギリギリ魔法の有効範囲に収まってる反対側の岸辺からこちらに向かって柱を突き出そうと思います……」


そう言ってハーミットは坂を登っていく。

足取りがふらついているので、僕もついて行った方が良さそうだと思ってハーミットを追いかける。

 

「ハーミット……大丈夫??」

「ブ、ブレイブくん……大丈夫ですよこれくらい……きゃ!」

「おっと……ちょっと心配だから手を繋いでいこう、ほら」

「あっ///」

「ん?なにか言った?」

「な、なんでもないです……///」

「そっか、ほらもう少しで先端だよ」


 少し急な斜面にできた、柱と柱の隙間に足を取られたハーミットが倒れそうだったのを支え、手を繋いで坂を登っていく。

 ハーミットの手を引っ張りながら、坂の先端近くまでたどり着くと、魔法を使うと言うので、少しだけ離れようと手を離す。


「あっ……」

「えっ、あっ……さ、さっきはごめんね、急に手を握っちゃって……」

「だ、大丈夫です!……むしろ……///」


 手を離すとハーミットは繋いでいた手を見ながら、少し残念そうな声を上げる。

 先ほどは意識していなかったけど、少しひんやりして柔らかい手の感触が手に残っているようでなんだかとても恥ずかしくなって来た。

 そして、むしろってその先はなんだったんだろう……

 すこしドキドキしながらハーミットと視線が合うたびにちょっとだけ照れくさいような気持ちになり、2人でモジモジとしていると下から声が聞こえてくる。


「おい!2人とも大丈夫か〜?無理そうなら一度戻ってこい!」

「そうだった……ハーミット、大丈夫そう?」

「は……はい!大丈夫だと思います……」


暗くなって来たのと、フードでその表情までは分からなかったけど、自分のてを包み込むようにしてにぎにぎしながら恥ずかしそうに答えるハーミットの仕草はとても可愛かった。


「ガーディさん!行けそうみたいです〜!」

「おう!そりゃよかった!完成したら教えてくれ!」


ハーミットの代わりに僕がガーディさんに伝えると、ハーミットは早速魔法を唱える。

 先ほどはこちらから飛び出して行った柱が、今回はこっちに勢いよく向かってくる。

 

「うわっ!」

「ふふっ、大丈夫ですよブレイブくん……流石に仲間に当てるようなことはしませんから……」

「そうかもしれないけどさ……やっぱり初めて見るしびっくりするよ……」

「そうですよね、びっくりさせてごめんなさい……」

「いや、ハーミットは悪くないよ……」

「ありがとうございます……でも、ブレイブくんはびっくりした時そんな声を出すんですね」

「ちょっと、恥ずかしいから言わないでよ」


 魔法の速さや迫力に対してびっくりした僕を見てハーミットはクスリと笑っていた。びっくりしたところを見られたのも、改めて指摘されたことにも恥ずかしくなる。

 そんなこんながありながらも、ハーミットの魔法によって急拵えではあるけど、橋が完成した。

 

「結構急だから気をつけてくださいね」

「おう、俺たちは問題ねぇぞ!なあ?」

「っす!にしても魔法ってすげっすね兄貴!」

「そうだな!魔法がなけりゃ渡るのも一苦労だったぜ」

「ハーミット、ありがとね」

「み、みなさんのお役に立てたなら良かったです……」


 みんなに魔法を褒められてハーミットは恥ずかしくなったのか、僕を盾にするように後ろに回り込む。


「にしてもブレイブ、ハーミットとは仲良くやれてるみたいで良かったじゃねぇか!大事にしろよ!」

「もちろん!大切にしてますよ!」

「なんだ、大切って、そっちのいい関係だったのか!そりゃ悪かったな!」

「「ワハハ!!」」

「ち、違います!仲間としてってことですよ!!ね、ハーミット!」

「ブレイブくんが……私を大切にって……///」

「こりゃ聞いてねぇな……スマねぇからかいすぎちまったな……」

「い、いや……大丈夫です」


 こうしてみんなでわいわいと話しながら、ハーミットが作ってくれた橋を渡り、ピーターさんの捜索を続ける。

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