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第12話 いざ森の中へ

リッツさんの屋敷を出発する時に、南側の様子も見ていきたいとガーディさんにお願いしたため、倒壊した南門の方向に僕たちのグループは向かって歩いていく。

 街の中は南門に近づくにつれ、徐々に残骸が散らかっている場所が増えていき、南門の近くまでくると倒壊して住むことができない建物がたくさんあった。


「これは……ひどいですね……」

「ああ、すげぇことになってんな」


 僕とガーディさんはそんなことを呟きながら残骸を踏み超えて街の外へと向かっていく。

 僕たちの役目はこの残骸を片付けることでも、城壁を立て直すことでもない。わかってはいても、目の前で困っている人や、安心して夜を明かせないであろう人の姿を見たり、今困っている人と視線が合ってしまえば、すぐにでもこの手を差し伸べたくなってしまう。


「ガーディさん……あの人達……」

「気にするな、俺たちは俺達の仕事をやりきるぞ!」

「でも……」

「ブレイブ!俺たちがここで足を止めちまえば、ここだけじゃない、街のみんなが餓えるんだぞ!あっちは兵士や旦那に任せるんだ!」

「兄貴の言うとおりだぜブレイブ、俺たちが外の様子を見て来て、食糧を持って帰って来て、外はしばらく安全だって言ってやった方がみんな安心するだろうぜ」

「っ……わかり……ました……」

「そんな顔すんなブレイブ!お前の気持ちは正しい!胸を張ってみんなに行ってくるって言ってやれ!」


 ガーディさんは拳を握りしめて悔しそうにしている僕の頭を少し乱暴に撫でながら励ましてくれる。

 そんな会話が聞こえていたのか辺りの住人の人達は手を止めてこちらの様子を伺っていた。

 きっと伝えるべきだろう、いまは手伝えなくてごめんなさいと……それでもみんなのために外にいくのだと……


「皆さんごめんなさい!僕は……僕たちは!この街のみんなが餓えて明日の生活に困らないようにするために、外に出て食糧や薬草を探しに行って来ます!

 今困っている皆さんを見捨てるわけじゃありません。必ず、この後、僕たちの仲間がみんなの手伝いに来ます!

 少しだけ耐えてください!絶対に希望はあります!諦めないでください!」


 住人の人達がその時どう思っていたのか、少し怖くて顔を見れなかった。勢いよく頭を下げた後、すぐに僕は少し先で待ってくれていたガーディさん達の元に合流し、外へと歩き出した。


「みなさん!お待たせしました!」

「おう!ブレイブ!こっちまで聞こえて来たが……なかなか良かったぜ!」

「そ、そうですかね……結局伝えるだけ伝えて逃げて来ちゃいましたし……」

「んなことはいいんだよ!伝えることが大事なんだぜ!」

「兄貴の言うとおり!きっと伝わってますぜ!」

「ありがとうございます!」


 ガーディさん達と合流し、しばらく平原を進むと深い森が見えて来た。


「あれは……」

「あれが俺たちが今日狩りをする予定の森だ!」

「俺たちも入るのは久しぶりですが、この辺りの森の中じゃ比較的安全なほうですぜ!」

「まぁ、今回はブレイブもいるからな!安全を最優先で、獣を探していくぞ!」

「「おーー!!」」


普段は魔物が出るかわからないため、森に入るのはピーターさん達のような街を行き来する特殊な商人やその護衛、そして腕に自身があり、ダンジョンに挑むような人達だけだ。

 以前までは危険を犯さなくても、ダンジョンアイテムが食糧を生産してくれていたので、普通の人はこうして森に足を運ぶ必要がなかったからだ。

 こうして得体の知れない森に足を運ばなくてはならなくなったことで改めて生活が一変してしまったのだと感じる。


「よし、さっそく森に入る!前はドッチとカーズ、左右はリンス、ウォッシュ後ろはハイター!頼むぞ、採取班とブレイブは陣形の中央に入れ!」

「「任せてください兄貴!」」

「「おう!」」

「分かりました」

「いくぞ!」


 ガーディさんの力強い指示でみんなが配置につき、ゆっくりと森に入っていく。

 ドキドキする気持ちと不安になる気持ちでそわそわしているとガーディさんが話しかけてくれる。


「ブレイブ、大丈夫だ!いきなり戦えだのなんだの言うつもりはねぇ!」

「は、はい!」

「まずは陣形と、各持ち場が何をするのかをしっかり覚えておけ!」

「分かりました……」

「まずは前はドッチとカーズだが、痕跡の捜索と索敵だ。

 獣が歩けば足跡ができる。飯を食えば糞もする。そういう獲物が残した痕跡をまず見つける」

「痕跡を見つける……新しい方がいいってことですか?」

「それは状況によりやすね、兄貴なんかは新しい痕跡を辿って大型の獣でも正面から仕留めにいくタイプですが、俺たちなんかみたいなヒョロガリは少し古くても痕跡の数が多い場所に罠を張ったりしやすからね、罠の方は後でやりながら教えまっせ!」


 腕に自信がなくても罠を使うことで獲物を仕留められるとリンスさんが話を続けてくれた。罠を仕掛けることが僕にもできれば、街にいる人達のために貢献できそうで嬉しくなる。


「次に後ろのハイターだが、索敵よりもマッピングや避難経路の確保が、メインになる。森や洞窟、ダンジョンなんかじゃ無理をすれば怪我じゃ済まねぇのはもちろん、迷っちまったらどうにもならねぇからな。

 そして左右のリンスとウォッシュだが、前後でやりたいことができた時のサポートと伝達、そして索敵だ。

 それぞれの役割なんざ言うのは簡単だが、いざやるとなるとかなり負担になる」


 森を歩いていきながら、ガーディさんやその仲間達の解説を聞きつつ、ゆっくりとした足取りで森の奥へと進んでいく。

 たくさん教わることがあり、頭がパンクしそうになるが必死に食らいついていく。

 

「ブレイブは最初に前の動きを覚えるといいかも知れねぇっす」

「リンスさん……」

「左右や後ろの動きってのは経験がないうちはミスも多くなるっす。前の動きは、痕跡の方はこう言うものって覚えるだけで半分は役割ができるっすからね。索敵の方はやっぱり経験も必要ですし、進むのか撤退するのか判断力も必要なんで、むしろベテランが常に前にいないと心配なんすけどね」

「分かりました……まずは痕跡について勉強します」

「知識が身につけば、足跡からある程度の獲物の大きさ、数、動きの癖なんかがわかるようになるっす。糞からは食生活や習性がわかるっすから、罠にかけるのが上手になるっすね」


 リンスさんは勉強すれば簡単に見分けられるようになると言いながら前を進むドッチさんとカーズさん達についていく。

 僕も遅れずに進んでいかないと……

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